猫の体調不良は歩き方にも表れることがあります。「歩き方がいつもと違うな、おかしいな」と感じたら、ケガや病気をしていないかチェックしましょう。今回は、猫の歩き方からわかる心配したい病気や症状についてご紹介します。
猫がこんな歩き方をしていたらチェック!
注意したい歩き方や観察したいポイントとは
猫は4本足で歩くので、足の1本を痛めても上手にかばって歩くことがあります。しかし、飼い猫が足をかばって歩いていれば、飼い主が見ておかしいとわかるはずです。どんな具合におかしいか、そして他にどんな症状が出ているかを確認しましょう。
猫の体に異常があるときの歩き方
猫の体に何か異常がある場合は、次のような歩き方をすることがあります。
- 足をひきずる
- 足をかばって歩く
- 歩き方がぎくしゃくしている
- 歩いてよろける
- ふらふらしている
「変だな」と思ったときチェックしたい猫の様子
猫の歩く様子を見て、いつもと違うと少しでも感じたときは、歩く姿だけでなく他にもおかしな様子がないか観察してみてください。次のようなチェックポイントがあります。
- 食欲はいつも通りあるか、それとも食欲不振か
- 急に歩き方がおかしくなったかどうか
- 歩き方がおかしくなる前に外に出ていたか
- 体の同じ部分を掻いたりなめたりしていないか
- 同じ場所をぐるぐるしていないか
- 体つきが痩せてきていないか
- もともと持っている病気はあるか
- ショック症状は出ていないか
- 眼球が小刻みに動いていないか
ショック症状が起こっていないかどうかを確認するときは、口の中を見てみてください。いつもより白っぽくなっていて、脈が弱いようであれば命に関わる危険な状態の可能性があります。すぐに病院へ連れて行きましょう。
歩き方がおかしいときに考えられるケガや病気とは
猫の歩く様子を見て、変だなと感じたときは、次のようなケガや病気を疑うことができます。
- 爪の伸びすぎによるケガ
- 骨折や脱臼、椎間板ヘルニア
- 股関節などの異常
- 脳や神経の障害
- 耳の病気
- 毒物による中毒症状
- 内臓疾患
ケガをしているときの歩き方の特徴
猫が足を引きずったり、かばうようであればケガを疑おう
猫の歩行異常はいくつかのパターンがありますが、ケガをしているときは足をひきずったり、かばったりする様子が多くみられます。考えられるケガから、それぞれどのような症状や様子を見せることが多いか見ていきましょう。
足を触らせてくれるかどうか確認
足を引きずったりかばったりしている様子が見られたら、けがの部位や程度を確認するためにも、猫の足を優しく触ってみてください。触らせてくれる場合は、猫自身痛みを我慢できる程度と考えられます。ですが、痛みがひどいときや重傷の場合は、触ろうとしても嫌がり触らせてくれません。また、うなったりして威嚇されたり、ひっかいたりすることもあります。
また、ケガが原因の場合は、痛めている部分をなめたり噛んだりする様子が見られます。どの足に異常があるかわかりづらいときは、猫の様子を見てどこか1か所ばかり舐めていないか観察してください。
爪によるケガ
猫が足をかばうケガの一つに、爪が関係していることがあります。歩き方が変だと思ったときは、爪も一緒にチェックしてみてください。爪が折れて出血していることが原因の場合や、爪が伸びすぎて肉球に食い込んでいる場合もあります。特に高齢猫になるにつれ十分な爪とぎができなくなり、肉球に刺さって出血している事もあるので注意しましょう。
爪によるケガを発見した場合は、止血剤で出血を止めて消毒をするか、病院で処置をしてもらうことをおすすめします。
骨折や脱臼、椎間板ヘルニア
足を引きずったり、かばうようにして歩いているとき疑われるのは、骨折や脱臼、椎間板ヘルニアです。前足や後ろ足の片方を引きずっているようであれば、骨折や脱臼をしているケースもあり、下半身自体を引きずるようであれば、脊髄の損傷や椎間板ヘルニアが疑われます。
骨折や脱臼を起こす原因については、家の中であれば高いところからの落下、外に出る猫の場合は、飼い主が知らない間に交通事故に遭っているとも考えられます。気づいたらすぐに病院で診察を受けるようにしましょう。
他にも、ぎくしゃくと腰をかばうようにして歩いている場合は、股関節や腰椎に障害を抱えていることがあります。
病気など体に異常が起こっているときの猫の歩き方の特徴
ふらふらしたり、よろけたりする時は、すぐに病院へ
猫の歩き方を見て、ふらふらしたり、よろけたりしている場合は、病気や急を伴う病気の可能性があります。気づいたらすぐに病院へ行くことが大事です。
脳や脊髄など神経に障害が起こった場合
猫の歩き方がふらふらしているときは、体が衰弱しているケースも考えられますが、脳や脊髄などの神経に何らかの異常が起こっている可能性があります。神経障害の場合、同じところをぐるぐると回ることもあるので、猫の行動をきちんと観察しましょう。
また、もし子猫の時期にふらふらと歩くような様子が見られる場合は、先天的な脳障害を抱えている場合もあります。
内耳炎
ふらつきの原因は、内耳炎など耳の病気にかかっている可能性も考えられます。耳は平衡感覚を司っている器官なので、炎症を起こすことでまっすぐ歩けなくなることもあります。内耳炎の場合、神経障害の場合と同様、同じところをぐるぐる回ったり、運動障害が起こることがあります。
低カリウム血症などの腎機能障害
猫がうなだれたように頭を下げ、ヨロヨロと歩いたりふらついているようであれば、低カリウム血症などの腎機能障害が原因かもしれません。低カリウム血症とは、尿中にカリウムの排泄量が増加することで、血液中のカリウムが少なくなってしまうことです。
その他に注意したい病気とは
病気の種類によっては、突然歩行困難が起こる事もあるので注意が必要です。
心臓に既往歴がある場合は動脈血栓症に注意
心筋症など、心臓に既往歴がある猫の場合は、動脈血栓症のリスクがあります。動脈血栓症は、激痛を伴う突然の血流障害で、急に後ろ足に麻痺が起こるのが主な特徴です。猫によってはあまりの激痛から悲鳴をあげたり、嘔吐することもあります。
ガンが原因で起こることも
猫の歩行不全は、ガンが原因で起こることもあります。また、高齢の猫になると、骨肉腫が発病しやすく、足を引きずるなどの症状が慢性的にみられるのが特徴ですが、突然悪化し、骨折を引き起こすこともあります。
食べ物が原因で急に症状が出る場合も
薬品など、有害なものを食べてしまったことで、中毒症状により歩行不全を起こす事があります。中毒症状の場合、口の中が白っぽくなるなどのショック症状が見られますので、チェックしてください。このような症状を確認した場合は、すぐに病院へ連れて行きましょう。
また、普段の食事が原因で考えられる病気は、チアミン欠乏症です。チアミンとは、水溶性のビタミンB1のことです。チアミン欠乏症に陥る原因としては、半年以上保存しているキャットフードを、猫にご飯として与えている場合が考えられます。キャットフードを長期保存するとチアミンが破壊され、猫にとって大事な栄養バランスが崩れた状態になってしまいます。
チアミン欠乏症は急にけいれんを起こしたり、失明や昏睡状態に陥ることもある危険な病気です。命に関わる重大な病気ですので、普段からキャットフードの賞味期限を守り、猫が栄養不良にならないよう注意しましょう。
猫の歩き方がおかしいときは体の様子もチェック
状態を観察して必要であればすぐに病院へ
猫が足をかばったり、引きずったりしているときは、ケガをしている可能性が高いです。まずは足を触り、どの足を痛めているか確認しましょう。特に高齢の猫は、伸びた爪が肉球に刺さっていることがあります。もし触らせてくれない場合は、痛みが強く骨折や股関節異常など、重傷の可能性も高いので病院で診察を受けるようにしましょう。
また、ふらふらしたり、よろけるなどの症状が見られる場合は、内耳炎などに炎症を起こしてる場合や、脳などに神経障害が起こっていると考えられます。他にも、中毒や病気のショック症状が原因で歩行不全を起こすこともあります。猫の歩き方ひとつで、命に関わるような病気が見つかる場合がありますので、変だなと思ったらすぐに病院へ連れていくことが重要です。その際、いつからどんな症状が出ていたかも思い出し獣医に伝えられるようにしておきましょう。
猫の歩き方がおかしいときにチェックすることや、考えられるケガや病気とは
- 猫が足を引きずったり、かばう様子を見せるときは、足を触って出血などのケガがないかチェックしよう。
- 足を触らせてくれないときは、骨折や脱臼、股関節異常など重傷の可能性もある。
- 猫がふらふらしたり、よろけたりするときは、内耳炎や神経障害の可能性を念頭において、すぐに病院へ連れて行こう。
- 急に倒れたり歩行困難になった場合は、ショック症状が起こっていないかもチェックしよう。
- 心臓に持病がある場合や、普段与えている食事によっては、急な発作や病気を引き起こすこともあるので注意しよう。