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甘やかしが犬のストレスに?正しいしつけ・環境がストレスを減らす

寂しそうな犬

人や犬に限らず、野生の動物たちもみんな、天敵や飢餓、ケガなど、何らかのストレスを感じながら生きています。そのため、ストレスを感じずに生きることは、本来難しいことです。とはいえ、必要なストレス以外はできるだけなくしたいものですよね。

特に生きる上で余計なストレスは、体調にも悪い影響を及ぼします。犬の場合、人と一緒に暮らす上で信頼関係にも傷をつける可能性があるので、なおさら取り除きたいことの一つです。ところで、そんなストレスの原因が、実は「甘やかし」にあるかもしれないことをご存じでしょうか?正しくしつけをし、過ごしやすい環境を与えることが、犬にとって何よりストレスフリーな状態に近づけるのです。

甘やかしはトラブルの元

本来は感じないはずのストレスに繋がる

生きていく上で、ある程度の我慢は必要です。例えば人間も、お金がなければ質素なご飯で我慢しますよね。おやつだって、食べたくても食べられないときは諦めるはずです。それは、犬も同じことです。

もし毎日、値段もそれなりにする、おいしいご飯を食べさせていると、いざというとき、もう少し安いドッグフードに切り替えようと思っても、受け付けてくれないというトラブルが起こります。それを無理に食べさせようとすれば、それは犬にとってストレスなのです。

この他にも、飼い主は意識していないことが、甘やかしになることもあります。あとから変えようと思っても、一度染みついた生活習慣を変えることは、犬にとって難しいことです。そのため、なるべく早いうちから次のような点を意識して飼うことが大切です。

時には我慢する状況を作る

先ほど例に出したご飯とストレスの関係は、いつもおいしいご飯を食べさせていたことが原因にあると考えられます。豪華なご飯は、毎日ではなく、食欲がなさそうにしているときだけにするなどのけじめをつけていれば、起こらないことです。また、いつもと違うご飯にして食べてくれなかったとしても、「今日はこれがご飯だよ」と甘やかさずにいることが大事です。

一度ついた習慣は変えるのが難しい

甘やかしがなぜいけないか。かわいいからあげたくなる、仕方ないこと、と思われる方もいるかもしれません。たしかに、家の中だけで一生を過ごすことができれば特に問題は起こらないかもしれません。ですが、犬だってケガや病気をすることがあります。状態によっては、入院することになるかもしれません。

となると、病院は家と違って他の犬もいますし、いつでも構ってもらえるわけでも、必ずしも愛犬が「おいしい」と感じられるご飯がもらえるとは限りません。もし、犬がそれまで何も我慢をしたことがなかったら、そうした状況を理解することは困難です。そのため、いつもと違う状況や環境に慣れることができず、結果的に大きなストレスへと変わりやすくなります。

こんなことも甘やかしになる

甘やかしの例はご飯だけではありません。次のようなことも要注意です。

  • 毎回ご飯を手で与えている
  • おやつを毎日あげている
  • 遊んでほしそうにしていると無視できないで構ってしまう
  • おもちゃを与えたときは、気が済むまで遊ばせている
  • 毎日一緒に添い寝している

どれも、絶対にしてはいけないというわけではありません。ただ、毎回言うことを聞いていると、それが犬にとって「普通」になります。そうすると違う環境になったとき、本来なら我慢できる範囲のことが、できない犬になってしまいます。

どの習慣も、何回かに一回は我慢することを覚えさせましょう。そうすることで、犬がストレスを感じにくくなる、耐性を作ることにもつながります。また、飼い主のことを、「自分のいうことを聞いてくれる人」ではなく、きちんと「ボス」と認識してくれるようにもなるはずです。

犬のストレスを減らすしつけをしよう

正しくほめて、正しく叱る

甘やかしすぎず、適度に厳しさも持った正しいしつけをすることで、余計なストレスを犬に与える可能性は減らせます。特に、社会化が始まる生後1~2カ月くらいからのしつけは、犬が自分のポジションを決める大事な時期です。この時期に正しい意識を植え付けることで、犬と人との正しい力関係も作りやすくなります。

ほめるときは思い切りほめる

しつけに大切なことはアメとムチです。いいことをしてくれたときは、その場で思いっきりほめてあげましょう。ただし、この時必ずしもおやつを与えなければいけないわけではありません。スキンシップだけでも十分です。「これはいいこと、それをすると飼い主にほめてもらえる」と理解してもらいましょう。

悪いことをしたらその場で叱る

犬は後から怒られても、何が原因で叱られているのか理解できません。だから悪いことをしたら、その場ですぐに叱ることが鉄則です。そのとき、飼い主が怒っていることを、正しく犬に伝わるような叱り方をしましょう。

  1. 犬を動かないように保定し、束縛する。小型犬であれば、首の皮をつかみ、そのこぶしを床に押し付ける。
  2. 目を見て、にらみながら低い声で「ダメ!」「ノー!」などの言葉を浴びせます。
  3. 組み伏せている場合、犬が諦めて力を抜いたら離してもOKです。

このように、叱るときは犬を組み伏せて、決まり文句を浴びせることが大切です。これを繰り返すうちに、犬は「悪いことをしたら叱られる、はむかっても押さえつけられて勝てない、ボスは飼い主」と学習するようになります。

飼い主がボス、という力関係を築けないと、犬は飼い主が自分より下だと思い込むようになります。そうすると「権勢症候群(アルファシンドローム)」という状態にもなりやすくなります。これは、普段は機嫌が良くても、飼い主が怒ったときは「自分より下なのに、偉そうにするな!」と言わんばかりにはむかってきたり、言うことを聞かないようになる状態のことを言います。

とはいえ、殴ったり、棒でたたくような暴力をふるってはいけません。そうしたやり方でしつけようと思っても、犬には通じないことがほとんどですし、かえって犬に大きなストレスを与えてしまいます。そして、暴力によるストレスは、犬を極端に怖がりな性格にさせたり、凶暴化させやすくなります。普段はびくびくしているのに、こちらが油断するとすぐに嚙みつくなどの性格になってしまうと、お互い暮らしにくい状況にもなりかねません。

さらに、内分泌系のバランスが崩れ、副腎機能が低下するなど、体の機能を損なうこともあります。そんな疾患が起こった場合、一生治療が必要となり、その費用も高額になります。健康で長生きしてほしいと思っても、しつけの仕方一つで真逆になるなんてことは避けたいですよね。

留守中は「天罰」作戦をとろう

家族が家にいる間は、犬が悪いことをしたらすぐ叱る、ということができるものの、留守中はどうしようもありません。そこで、留守の間は次のような方法で対策を取りましょう。

  • 入ってはいけない場所に両面テープを貼る。ガムテープの場合は粘着面が上に来るようにする。

これは天罰作戦とも呼ばれる方法です。台所など、犬が入ってほしくないところの入り口や、テーブルの上などに仕掛けておきましょう。そうすると、留守中でも犬がそこを踏めば、べたべたひっついて嫌な思いをさせる(=天罰が下る)ことができます。犬に「飼い主がいないときなら自由に出入りしたり、つまみ食いしても怒られない」と勘違いさせないために、有効な手段です。

ストレスをためない安心出来る生活環境を用意しよう

ゆとりあるスペースと、寂しくならない工夫を

犬がストレスをためないようにするには、生活環境も考えてあげる必要があります。

スペースが狭くないか

一般的に、大型犬であれば8畳程度のスペースに2頭まで、小型犬は6畳程度に3頭までが限界と言われています。それ以上の数を飼うと、犬にとってストレスになることがあります。特に最初は広々暮らしていたのに、だんだんスペースが狭くなった場合に、よりストレスを感じやすくなります。

犬同士のケンカに注意

多頭飼いは、犬同士のトラブルも起こりやすくなります。犬にも性格があり、ボス的存在の犬の性格が、飼い主の愛情を独り占めしたいタイプだった場合、下の立場の犬を傷つけることがあります。それぞれの性格をよく観察し、仲が悪そうなら十分な間合いがとれるスペースを作るか、1階と2階とで居住スペースを分けるなどの配慮をしましょう。

留守番はほどほどが大切

お仕事をされている方なら、日中犬に留守番をしてもらう機会も多くなりますよね。ですが、この留守番にも注意が必要です。毎日長時間留守番をさせられると、依存心の強い犬の場合ストレスになることがあります。これが行き過ぎると、「分離不安」と呼ばれる状態になることもあります。

分離不安は、犬が飼い主を溺愛し、ちょっと離れるだけで不安になり、周囲のものを壊したり、吠え続けたりします。これは、生まれ持った犬の性格によるものもあれば、飼い主が普段べったり甘やかしていて起こることもあります。留守番できる力はある程度必要ですが、犬は元々群れを作って生きていた動物ですので、一人の時間が苦手ということが多いです。できる限り、毎日、長時間、家に誰もいない状態を作るのはなるべく避けるようにしましょう。

とはいえ、なかなかそうもいかないという場合は、出かけるときと帰ってきたとき、犬がどんなに吠えたりアピールしてきても、落ち着くまで構わないように心がけてみましょう。甘えても、飼い主が反応してくれない、と理解してくれれば徐々に落ち着いていくこともあるからです。

べったりの関係はストレスを招く元

力関係をはっきりさせて仲良く暮らそう

かわいい犬を見ていると、ついつい甘やかしたくなりますが、それがストレスの原因になることも多くあります。適度に我慢させるときも作って、環境が変わってもストレスを減らせるようなしつけを行いましょう。ただし、犬が精神的余裕を持って暮らせるような専用スペースを作ってあげることは必要です。

また、ほめるときは思いっきりほめてあげた方がいいですが、叱るときは手を上げたり、怒鳴ったりするのではなく、冷静に組み伏せるよう心がけましょう。そうして飼い主との力関係がはっきりすれば、犬も勘違いや混乱をせず、ストレスのない暮らしにも繋がります。

犬のストレスを減らす正しいしつけのポイント

  • 甘やかしすぎず、時には我慢することを覚えさせることで、環境の変化にストレスを感じにくい耐性をつくる。留守番をさせる前後も構いすぎないことが大切。
  • ほめるときは思いっきりほめる。このときスキンシップだけでも十分OK。
  • 叱るときは、犬を保定するか組み伏せて、低い声で決まり文句(ダメ、ノーなど)を言う。犬が諦めるまで続ける。暴力をふるうと逆にストレスになることもある。
  • 飼い主が上、と思わせられることが、犬の勘違いや混乱を起こさず、お互い快適に暮らせるポイント。
  • 多頭飼いをするときは、犬のストレスがないよう、ゆとりのある空間づくりを心がけよう。

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