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猫が触られるのを嫌がるとき|関節・骨の異常に注意

猫の手

いつもは触っても平気な場所なのに、今日は嫌がる・・・もしかしたら猫の骨や関節など、体のどこかに、何か異常が起こっているかもしれません。今回は、猫が触られるのを嫌がるときや、身を守るようにじっとしているときに注意したいケガや病気の可能性についてご紹介します。

猫の体に起こりやすい関節や骨の異常とは

どんな様子を見せたとき注意すればいいか

まずは、関節や骨に異常を抱えているとき、猫がどんな様子を見せるのかを見ていきましょう。そして、おかしいなと思った時、どういったチェックが必要かについてもご紹介します。

猫がこんな様子を見せたら注意しよう

猫を観察していて、次のような様子が見られるときは、一度獣医の診察を受けるようにしましょう。

  • 元気がない、食欲不振
  • 抱き上げると抵抗したり、鳴き声をあげる
  • 体を触ろうとすると嫌がる
  • 背中を丸め、じっとしていることが多い
  • おなかのあたりをかばっているような姿勢でいる

さらに、おなかをかばうような様子を見せつつ嘔吐をした場合や、「排せつスタイル」と呼ばれる排便のときの姿勢を頻繁にとる場合は、より症状が深刻な可能性があります。すぐに病院へ連れていきましょう。

猫の体をチェックしよう

元気がないだけでなく、普段はスキンシップを嫌がらないのに、いきなり嫌がるようになる、ということは、触ろうとしている部分に「痛み」があると考えられます。猫が触られるのを嫌がるそぶりを見せたときは、全体的に体をチェックしましょう。チェックの仕方は次の通りです。

  • 外傷や腫れがないか確認する
  • 特に外傷が見当たらない場合は、骨、関節の異常や、内臓疾患を疑ってみる

特に放し飼いの猫や、未去勢のオス猫の場合、他の猫とケンカをする確率が高くなります。そして、ケンカからケガもしやすく、腫れや痛みを伴う「膿瘍」という状態の傷を作ることも多くあります。また、ケンカから、猫免疫不全ウイルスに感染し内臓に何らかの異常が起こる場合もあります。他にも、放し飼いなら、飼い主が知らない間に、交通事故に遭っている可能性もあります。また、室内飼いでも、転落事故によって、ケガをしていることがあるので油断できません。

猫が起こしやすい関節炎や骨の疾患

ケンカによる傷や、内臓疾患以外に、猫は高いところからの転落などにより、次のような疾患になることがあります。

  • 打撲
  • 脱臼
  • 骨折
  • 骨粗しょう症
  • 関節炎
  • 椎間板ヘルニア
  • 変形性脊椎症

特に体を丸めてじっとしている場合は、背骨などに痛みを抱えている可能性があります。

猫に起こりやすい骨の疾患

脱臼、骨折、骨粗しょう症・・・それぞれの原因や症状

猫の体において、骨に異常がある場合の多くは、脱臼や骨折、骨粗しょう症が原因と考えられます。どんな猫でも起こる可能性がありますので、それぞれの原因や症状、予防策について見ていきましょう。

脱臼は室内飼いでリスクを減らそう

脱臼は、足やヒジなどの関節に強い力や衝撃が加わることで、ずれたり、外れたりした状態のことです。脱臼する原因と治療方法については次の通りです。

原因 高いところからの転落や、交通事故
治療方法 脱臼した部位を整復し、固定する。症状の度合いによって、麻酔をし、手術をすることもある。

猫が次のような動きを見せるときは、脱臼の可能性があります。

  • 脱臼が四肢(ヒザ、ヒジなど)で起きている場合は、脱臼した足をかばったり、浮かせるようにして歩く
  • 歩行が不安定で、触られるのを嫌がる

転落による脱臼の場合、骨折や靭帯の損傷も起こすことがあります。さらに、交通事故の場合は内臓にダメージを受けることもあります。骨折や靭帯などを損傷している場合、患部が熱をもったり腫れることが多く、歩行が不安定になることが多いので、触るのを嫌がる場合は、疑ってみてください。脱臼自体は、命に関わるケースは少ないものの、外傷がなく見た目には分かりづらいケースもあるので、変だなと思ったときは病院へ連れていくことが大切です。

また、脱臼を予防することは難しいですが、他の猫とのケンカや、交通事故などのリスクが減る室内飼いの方が、脱臼をする確率は低くなります。ただし、室内飼いでも、肥満になると関節に負担をかけ、脱臼しやすくなるので、適正体重を維持することも大事です。

歩き方が不自然なときは骨折も疑おう

猫は身軽な印象がありますが、時には骨折することもあります。気が付かず放置していると、骨が変形したまま引っ付いたり、関節炎を起こすきっかけになることもあるので注意しましょう。骨折する原因と治療方法については次の通りです。

原因 高いところからの転落や、交通事故
治療方法 骨折した部位を整復し、しばらく動かさないようにして固定する。その後リハビリを行う。複雑骨折の場合は、治療が難しい場合や、時間がかかることも多い。また、内臓や神経もダメージを受けている場合や、ショック状態になっている場合はそちらの治療を優先し、骨折の治療は落ち着いてから行われることが多い。

猫が次のような行動を見せるときは、骨折の可能性を疑いましょう。

  • 歩き方が不自然、かばうような動きを見せる
  • 外出から帰宅したときなど、普段と様子が違っている場合
  • 腫れがある
  • 元気がない、食欲不振

骨折は、一か所だけなら命に関わる可能性は低いですが、痛みがひどいと元気や食欲がなくなることがあります。また、交通事故や高いところから落下した場合は、内臓や神経にダメージを受け、命に関わることもあるので、すぐに病院へ連れていきましょう。症状としては、骨折した部分の周囲が腫れたり、猫の動きも骨折した部分をかばうような動作が見られます。

交通事故に遭わないよう、室内飼いをすることである程度リスクは減らせますが、マンションの高層階などに住んでいる場合は、ベランダなどからの転落事故にも注意が必要です。例えばベランダに干してある布団の上に飛び乗って転落することもあるからです。そのため、室内飼いでも、窓の開けっぱなしや、猫をベランダに出すときは目を離さないなど、常に注意しておかなければなりません。

高齢猫は骨粗しょう症に注意

猫も年を取ると、骨粗しょう症のリスクが高まります。骨粗しょう症とは、骨の中がスカスカの状態になって、骨自体がもろくなる病気です。骨粗しょう症になると、小さな衝撃でも骨折しやすくなってしまうので注意が必要です。原因と治療方法については次の通りです。

原因 加齢、運動不足、栄養不足、副甲状腺機能亢進症
治療方法 バランスのいい食事、痛み止めの注射

残念ながら、骨粗しょう症によって曲がってしまった骨が元に戻ることはありません。ですが、栄養バランスの整った食事をとることで、痛みを軽減することができます。痛み止めの注射と共に、上手に付き合っていくことになります。そして、猫に次のような様子が見られたら、骨粗しょう症の疑いがあります。

  • 肩甲骨の下など、背骨が曲がっている
  • 腰のあたりなどからコキコキといった音が鳴る
  • まっすぐ歩いたり、立ち上がることが難しくなる
  • 年齢とともに、骨密度が低下することは、ある程度避けられない部分があります。ですが、若いうちから、バランスのいい食事を心がけるなど、出来る限りの予防は必要です。特に手作りでご飯を用意される方は、ほうれん草に注意しましょう。ほうれん草に含まれるシュウ酸が骨粗しょう症の原因になることがあるからです。

    また、すでに骨粗しょう症になってしまった猫の場合は、背骨を反らすような抱かれ方をすると痛みを感じることも多いので、スキンシップの仕方に注意しましょう。

    猫に起こりやすい関節の疾患

    それぞれの原因や症状

    猫の元気がなかったり、動きがいつもと違うときは、関節に問題があることもあります。特に多い関節炎や、椎間板ヘルニア、変形性脊椎症の、それぞれがどんな原因や症状を持つのかご紹介します。

    痛みや腫れを伴いやすい関節炎

    関節炎とは名前の通り、関節に炎症が起こる病気です。猫が起こしやすい関節炎には、いくつか種類があります。それぞれの症状や、特徴は次の通りです。

    病名 症状 猫の様子 治療方法 予防方法
    感染性関節炎 外傷や骨髄炎が原因で関節に細菌が入り込んで感染し、炎症を起こす。症状が重くなると膿がたまり「化膿性関節炎」になることも。 食欲不振、元気がない、発熱、関節の腫れや痛み 切開して洗浄やレーザー治療、鎮痛剤、抗生剤投与など。治りやすくするため、治療中は激しい運動を避けるのがポイント。 室内飼いにし生活環境を清潔に保つ、ワクチン接種、バランスのいい食事、ストレスを減らす。
    免疫介在性関節炎 猫の持つ、体を守るための免疫細胞が、何かのきっかけで自分の関節を攻撃、破壊する病気。関節リウマチとも呼ばれる。 食欲不振、元気がない、発熱、歩けなくなる 抗リウマチ薬や、抗炎症薬の投与、プラセンタ注射や栄養療法 免疫介在性関節炎は、元々持っている免疫機能の異常や、炎症や腫瘍性疾患から起こることもあり、まだ分からない部分が多い病気。そのためまだ確実な予防法がないので、早期発見、治療が大切。

    徐々に関節がダメージを受ける変形性関節症

    炎症とは違いますが、慢性的な関節疾患として、「変形性関節症」という問題もあります。変形性関節症は、ヒザやヒジ、股関節、背骨や脊椎など全ての関節で起こる可能性があります。背骨付近で起こった場合、「変形性脊椎症」と呼ばれます。症状や特徴は次の通りです。

    病名 症状 猫の様子 治療方法 予防方法
    変形性関節症 加齢や病気、ケガ、遺伝などの原因から起こる、慢性的な変形性関節疾患の一つ。関節を滑らかに保つ滑液や、クッションの役目を果たす軟骨の機能にダメージが蓄積し、動くと痛みを伴い、動作がゆっくりになる。そのため、じっとしていることが増える。 以前に比べてあまり動かない、遊ばない、高いところへジャンプしない、起き上がるとき動作がゆっくりになる。 変形した関節を元通りにすることは難しいため、関節への負担を和らげられるよう、運動制限や体重管理、手術や投薬などによる治療を行う。 なるべく健康でいられるよう、若いうちから適度な運動や適切な食事を心がける。肥満の場合も発症しやすいので、体重管理は大切。

    他にも、スコティッシュフォールドやペルシャなど、品種によって「骨軟骨異形成症」という病気になる可能性があります。骨軟骨異形成症は、手足に「骨瘤」と呼ばれるコブができる病気で、遺伝的な原因が強いと言われています。そのため、猫によっては若いうちから症状が表れることもあります。

    背骨の病気、椎間板ヘルニア

    脊椎だけでなく、背骨の病気には、「椎間板ヘルニア」と呼ばれる疾患もあります。原因や症状、治療方法などについてご紹介します。

    病名 症状 猫の様子 治療方法 予防方法
    椎間板ヘルニア 背骨の関節に存在する「椎間板」と呼ばれるクッション的存在の軟骨にダメージが加わり、変形した状態になること。他の神経を刺激し、痛みを伴うことが多い。転落やケンカによる外傷が原因になることもあれば、肥満が関係することもある。 突然触られるのを嫌がるようになる、段差を避ける、歩行困難、立ち上がれなくなる、排尿・便障害 痛みだけなら安静にして点滴や鎮痛剤投与、あるいはレーザー治療を行う。麻痺がある場合は手術をする場合もある。 なるべく椎間板に負担をかけないよう、若いうちから肥満防止のため体重管理をしたり、適度な運動が大切。他の猫とケンカをしたり交通事故に遭うのを防ぐため、室内飼いにするのも効果的。

    椎間板ヘルニアは、場合によっては神経が死んでしまう「脊髄軟化症」という病気の可能性もあります。症状が進行し、急激に悪化する場合は、脊髄軟化症も疑いましょう。ただし、脊髄軟化症は、現在のところ治療法がないため、命に関わるケースも多いのが実情です。

    座った姿勢に不自然さを感じる場合は、股関節形成不全症かも

    犬によく見られる病気の一つ、「股関節形成不全症」は、猫でもまれに起こることがあります。症状や特徴は次の通りです。

    病名 症状 猫の様子 治療方法 予防方法
    股関節形成不全症 大腿骨と骨盤の間にある、股関節の形が変形する病気。成長するうちに、骨盤と大腿骨との形が合わなくなる状態のこと。 猫が腰を振るように歩いたり、後ろ足を折りたためなくなっている場合や、ジャンプや階段の上り下りができない状態、痛そうにしているときは病気の可能性がある。原因は先天性のものの場合と、子猫のときに栄養を摂りすぎた場合に起こりやすい。 鎮痛剤や手術で症状改善をはかったり、体重管理を行う。また、段差を歩かせないようにするなど、関節に負担がかからないような環境づくりを行うことも治療の一つ。 成長過程で発症することもあるので、子猫時代に栄養を与えすぎないよう、食事管理を行うことが大切。

    外傷がなくても、猫が触られるのを嫌がる場合は病気を疑おう

    歩き方や食事の様子などもチェックして、様子を見て病院へ

    猫が触られるのを嫌がるときは、何らかの痛みを抱えていると考えられます。まずは外傷をチェックしましょう。放し飼いの場合は、交通事故や他の猫とケンカをした可能性があるほか、室内飼いでも高いところから落下し、ケガをしているかもしれません。

    特に外傷が見当たらないときは、骨や関節に何らかの炎症、病気が起こっている疑いがあります。肥満猫や、シニア猫の場合は、体の状態から関節炎や骨のトラブルが起こりやすくなっていることもあります。嘔吐や排せつスタイルを続けるようであれば、すぐに病院で診てもらうようにしましょう。

    関節や骨のトラブルは、なるべく普段から栄養管理、体重管理を心がけることが第一です。ですが、一旦病気の症状が出たら、悪化させないよう、飼い主の方で猫が暮らしやすいよう、生活環境を整え、サポートしてあげることが重要です。

    猫が触られるのを嫌がる場合に考えられるトラブル

    • 猫の元気がない、食欲不振、歩き方が変、体を丸めてじっとしている、触ろうとすると嫌がるなどの様子が見られたら、まずはケガをしていないかチェックしよう。
    • 外傷がないのに猫の様子がおかしいときは、「関節や骨にトラブルがあるかもしれない」と疑って病院を受診しよう。特に嘔吐や頻繁に排せつスタイルをとるときは至急診察を受けよう。
    • 交通事故以外にも、高いところから落下した場合に脱臼や骨折をしたり、椎間板ヘルニアを起こす可能性があるので、腫れなどがないかチェックしよう。
    • 猫の場合、傷口から関節に細菌が入る「感染性関節炎」や、人間のリウマチと同じような症状の「免疫介在性関節炎」などの関節炎を引き起こしやすい。
    • 加齢とともに「骨粗しょう症」や、「変形性脊椎症」、「股関節形成不全症」などの病気になることもある。予防策として、若いうちから体重管理や栄養管理を整え、適度な運動ができる環境を整えることも大事。

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