大事な愛猫には少しでも長生きしてもらいたいもの。そのためには、かかりつけ獣医がいることが重要な要素の一つです。今回は、かかりつけの獣医師を持つメリットや選び方などについてご紹介します。
愛猫のためにかかりつけ獣医が必要な理由
かかりつけ獣医がいるメリットとは
なぜかかりつけ獣医を持つことが大切なのか。猫を飼い始めたばかりの方の中にはあまりピンとこない方もいるかもしれません。そこでまずは、かかりつけ獣医がいることのメリットについて考えてみましょう。
「万が一」のときに安心して診察が受けられる
かかりつけ獣医がいることの最大のメリットは、もしもの時に安心して預けたり、診察を受けられるということです。
今は若くて元気な猫でも、いずれは年老いていくものです。高齢になればなるほど、病気のリスクは高まります。さらに、年齢に関係なくいつ何時愛猫が事故に遭ったり、ケガをするかわかりません。
できるだけ小さいうちから定期的に健康診断を受けることによって、愛猫の性格や体の特徴を獣医に知ってもらうことができるとともに、病歴や年齢、体重といったデータも蓄積されていきます。万が一何かあったときも、かかりつけの信頼できる獣医師に的確な診察を受けることが出来ます。
特に決まった病院を持たないという選択肢もないわけではありませんが、いざというとき安心して診てもらえる先生がいるというのは、飼い主にとっても心強いものです。
定期的な健康診断を受ける
猫にも人間と同じように、健康かどうかをチェックする「基準値」が存在します。とはいえ猫も個体差があり、基準値に入っていないといって不健康とは限らず、基準値内だからといって安心、というわけでもありません。
そのため、愛猫の基本的な健康値を把握し現状を調べるためにも、定期的な健康診断を受けることがポイントです。獣医師の立場からしても、的確な判断をするためにある程度のデータが必要となります。結果、かかりつけ獣医のもとで定期的にデータを蓄積し、若いときから健康状態を把握して貰うことが大切です。
定期的に通うことで猫も病院に慣れる
人間でも、病院といえば病気やケガをしたときに行くところ、という意識の方が多いかもしれません。猫の場合は、病気やケガをしたときだけ動物病院に行っていると、「病院=痛いことをされるところ、怖くて嫌な場所」と認識してしまうことでしょう。
痛いことをされない健康診断を定期的に受けることにより、猫に「病院は怖いところ、嫌いな場所」と思わせずに、恐がらずスムーズに診察を受けてもらうことができるため、定期的に通える病院があると安心です。
飼い主の心配事も相談を
信頼して任せられるかかりつけの獣医がいることは、飼い主にとっても大きな安心につながります。愛猫のことで心配なこと、気になることがあれば相談できるからです。
さらに最近の動物病院は獣医と飼い主だけでなく、飼い主同士で交流できるスペースが作られている病院もあります。そんなコミュニティスペースがある病院であれば、かかりつけ獣医を持てるのと同時に、情報交流の場も持てて一石二鳥と言えるでしょう。
かかりつけ獣医の選び方
気になる病院が見つかったら一軒ずつ回ろう
愛猫のかかりつけ獣医を選ぶ際のポイントはいくつかありますが、なんといっても飼い主自身が信頼できるか、安心して愛猫を任せられるかがポイントです。
ただし、選ぶ際は最初から一つに絞らずいくつか候補をあげた上で、実際に足を運んで決める方がおすすめです。その際、最初に自分の中でクリアしておきたい条件をいくつか考えておき、一つでも多く満たす病院を選ぶようにするのも有効な手段です。それに加え、次のようなポイントも加味して検討しましょう。
電話の応対はどうか
まずは通えそうな動物病院を見つけたら、電話で予防接種や健康診断などの問い合わせをしてみましょう。電話の応対や受け付けの方には獣医の考えが表れている事が多く、電話の印象が判断材料の一つになることもあります。
家から近い病院の方がベター
かかりつけの動物病院は家から近い方がベターです。一般的には徒歩で10分、車で30分以内の病院を探すことが多いようです。家から近い病院であれば、一分一秒を争うような深刻な状態に陥ったときも、すぐに対応してもらえるのが大きなメリットです。
ただし、いくら近くても相性が悪い病院に通うのは・・・という話はよく耳にしますが、信頼できる獣医が見つかれば徒歩20分、車で40分など多少遠くても通っている方もいるようです。
緊急時、時間外などにも対応してもらえるか
愛猫の体調不良は、昼間に起こるとは限りません。夜間や早朝などに起こることは十分考えられます。そんな時、時間外や緊急対応してくれる病院だと安心です。
最近は24時間体制で診察が受けられる病院も増えていますが、もし見つからなければ電話での相談が可能な病院を探してみましょう。かかりつけの病院はいくつか持っていてもいいので、「通常時はこっち、緊急用の病院はここ」と決めておくのもおすすめです。
院内は清潔か
動物病院といっても病院は病院、清潔に保たれているかどうかも重要なポイントです。電話では雰囲気が良さそうだと思っても、実際訪ねてみなければ分かりません。きちんと掃除がされていて清潔感があるかどうかは電話では分かりません。そのため最初から一軒に絞らず、いくつか候補を見つけて一つずつ受診し、院内の雰囲気を知ることも大事です。
待ち時間を猫がストレスなく過ごせるかどうか
人気のある動物病院だと、待ち時間が長いこともあります。猫が退屈したり、ストレスなく過ごせる環境か、「猫専用スペース」が設けられているかもチェックしておきましょう。
治療の方法・治療方針・治療費の説明が納得できるか
信頼につながるポイントとして、診察は処置を看護師に任せず獣医自身がしっかり診てくれるかどうかもチェックしましょう。治療の説明をするときは専門用語ばかり並べるのではなく、今の状態を飼い主にもかみ砕いて分かりやすく説明してくれる獣医かどうかもポイントの一つです。
検査の方法や治療方針についても、飼い主が納得し、理解できるまで説明してくれるか、おおよその費用を治療前に知らせてくれるなどの配慮があるかどうかも、確認しておくと安心です。
先生に質問はしやすいか
説明が少々難しい先生でも、質問がしやすければ通ってもいいと感じるでしょう。本当は理解出来ていなくても質問されなければ「理解してもらった」と獣医師も勘違いします。しかし、飼い主としても獣医がバタバタと 忙しそうだったり、どのように質問したらいいかわからないということもありますよね。
そんなとき、遠慮せず分からないことを分からないと言えたり細かいことを聞いたり、普段の何でもないことを気軽に相談できる獣医であることも、安心して任せられる要素の一つです。
その場で質問や決断ができず、後日相談する場合はアポを取るのがベター
時にはその場で質問が思い浮かばず、あとから疑問が思い浮かぶ場合もあります。あるいは、猫の状態によっては重大な決断をしなければならなかったり、高額な治療を提案されるケースでは、一旦帰宅し冷静になってから話をした方がいい時もあります。
もし、時間が経ってから相談する場合は、一旦病院に電話を入れ、獣医が相談にのってくれる時間があるかどうかのアポを取ることをオススメします。
かかりつけ獣医を決めるための情報収集の手段
迷ったときは一旦地域の動物病院にかかってみるという方法も
かかりつけ獣医選びに迷ったときは、一旦住んでいる地域の動物病院を受診してから考える、という手段もあります。そこから、次のようなポイントでいろんな情報を集めましょう。
猫を飼っている飼い主同士で意見交換
情報収集の第一は、まず猫を飼っている人に聞いてみることです。ご近所に猫を飼っている人がいれば尋ねてみたり、知り合いが近くに住んでいれば情報を教えてもらってもいいでしょう。あるいはペットショップに聞いてみる、という方法もあります。
インターネットの口コミをチェック
猫を飼っている親しい付き合いの人がいなかったり、家の近くで猫を飼っている人も見かけないなどといった状況であれば、インターネットが情報収集に役立ちます。口コミなどをチェックして、評判が良かったり、実績のある動物病院を調べてみましょう。
引っ越すときは、今かかっている獣医に相談してみよう
これから引っ越しをする場合、引っ越し先の土地柄がぜんぜん分からない、というケースもあるはず。そんな時は、現在のかかりつけの獣医師に、引っ越し先で紹介してくれる病院もしくは、評判がいい病院がないかを聞いてみる、という手段もあります。もしかしたら、引越し先でも信頼できる獣医が見つかるかもしれません。
愛猫がいつまでも健康で長生きできるようにかかりつけ獣医を持とう
かかりつけ獣医は一つに絞る必要はなし!状況に合わせて通える病院をいくつか持とう
愛猫が健康で長生きできるようにするためにも、健康チェックを行ってくれるかかりつけの獣医を持つことは大切です。定期的に通う病院があることで、万が一のときも安心して治療を任せられます。
一方で、愛猫の病気やケガはいつ起こるか分かりません。時間外や緊急時にかかれる病院を見つけておくこともポイントです。つまり、かかりつけの獣医は一つに絞る必要はありません。
さらに、いくつかかかりつけを作っておくことは、セカンドオピニオンにも役立つ可能性もあります。通っているうちに「なんだか合わないな」と感じたときに別の病院へ移ったり、また最初から病院を探さなければならないという労力を削減できるはずです。
愛猫のことを一緒に考え、守ってくれるようなかかりつけ獣医を得るためにも、しっかりとコミュニケーションが取れるような病院選びをすることが大切です。
愛猫のかかりつけ獣医を持つメリットと選び方
- 定期的にかかる動物病院があることで、健康診断を受け愛猫のことを獣医に理解してもらう。それによって万が一猫が病気やケガをした場合も適切な治療を受ける事ができる。
- 飼い主自身も、心配なことが起こった際には獣医に相談する。
- かかりつけ獣医を選ぶ際は、家からの距離や電話の印象、実際の治療風景や説明の仕方、院内の雰囲気など、さまざまなポイントから判断しよう。
- 近所の人やインターネットの口コミなど、情報収集も十分に行おう。
- かかりつけ獣医は通常の健康診断、緊急時や夜間の診察時など、状況に応じてかかれるよう、いくつか持っておくと安心。