猫を飼い始めたら、人によっては多頭飼いを検討することがあるかもしれません。そこで今回は多頭飼いをするときに考えたい先住猫との相性や、対面させる時期のポイント、注意点などについてご紹介します。
猫を多頭飼いする前にもう一度猫の性質を考える
本当に面倒が見られるかはよく検討を
猫を多頭飼いするか決める前に、もう一度猫の性質を思い出してみましょう。たくさんの猫との生活は楽しい分、大変なこともあります。最後まで面倒が見られない、というのが一番あってはならないことですので、よく検討してから動きましょう。
毎月の費用が増えること
猫を多頭飼いするということは、その分のエサ代やトイレの猫砂など、猫の数だけ2倍、3倍と必要になります。毎月猫のために必要なお金は、5,000~10,000円ほど見ておいた方がいいと言われています。一緒に飼う全ての猫が不自由なく暮らせるだけの面倒が見られるかは大切な問題です。
猫がのびのび暮らせるスペースが確保できるか
猫は上下の空間を利用するので、犬に比べると「畳何畳分に何匹まで」といった目安はあまりありません。ですが、それでも家の広さによって猫がのびのび動けるだけのスペースが必要です。
相性が悪い猫同士だと、一緒の空間にいるだけでストレスになります。相性が良くても、1匹が病気になったときのため、家の中で別々に隔離できる場所がある方が安心です。トイレやご飯の場所もいくつか置ける方がベターです。そのため、ワンルームなどでの多頭飼いは、あまりおすすめできません。
毎日面倒が見られる家族が何人いるか
多頭飼いは、一緒に暮らす家族の協力も必要です。1人では面倒を見るのも限界があるからです。猫自身、1匹で飼う場合でも、いつ体調を崩したり、事故が起こるか分かりません。多頭飼いするとなると、よりリスクは高まります。猫同士でケンカをする可能性も考えられます。家族で分担して、何かあった時すぐに病院へ連れていける家族が必要なのはもちろん、日々猫と関わってちょっとした変化にも気付ける人が、できるだけたくさんいることも大切です。
多頭飼いするときのポイント
比較的相性が合いやすい猫と多頭飼いを始めたときの注意点
猫を迎え入れるタイミングは人それぞれですが、なるべく早く猫同士が馴染める方がいいですよね。まずはどんな猫同士なら相性がいいかを知っておきましょう。そして迎え入れるタイミングについても検討してみてください。
比較的相性がいいとされる猫同士
主に次のような猫の組み合わせは、相性が合いやすいと言われています。
- お互い子猫同士
- 親子や兄弟など、血縁関係がある猫同士
- 一方の猫が子猫の場合(ただし歳は近い方がベター)
- 去勢・避妊手術を済ませた猫
- 性別の違う猫
- 猫の社会化期間に他の猫と触れ合った経験を持つ猫
多頭飼いで猫同士のトラブルを避けるには、お互い子猫同士がベストです。生後2週間から7週間くらいは、猫が自分の住む世界を認識し、性格ができあがる「猫の社会化」と言われる期間です。猫が社会化するときに他の猫が一緒にいれば、仲間だと認識してくれるはずです。
他にも、血縁関係がある猫同士や、血縁関係がなくても、どちらかが子猫なら、比較的環境に順応してくれます。ただしシニア猫と子猫だと、シニア猫に負担がかかりやすいので歳はなるべく近い方がベターです。すでに成猫の猫同士でも、去勢・避妊手術を済ませている場合や、性別が違う猫同士、あるいは「猫の社会化」の期間内に、血縁関係のない猫に多く触れたことがある猫も、新しい環境に馴染みやすいと言われています。
相性が悪い組み合わせや注意点
多頭飼いで相性が悪いとされるのは、成猫でオス同士という組み合わせです。オス猫は特に縄張り意識が強い傾向があるので、上手にすみわけができないとおしっこスプレーなどの問題行動やケンカを起こしがちです。あまりにケンカやおしっこスプレーを繰り返すようなら、水スプレーなどでびっくりさせて注意したり、別々に隔離するなども考えなければなりません。
他にも、社会化期を過ぎた猫の場合は、他の猫を受け入れられない可能性もあります。他の猫を仲間とは認識できなければ、一緒にいるだけでストレスになるかもしれません。元々猫は単独行動をする動物なので、1人の方が幸せに感じる猫もいるということも頭の片隅に置いておきましょう。
多頭飼いでは先住猫を優先すること
仮に相性がいい猫同士だと分かっても、多頭飼いをするときは、先住猫を優先することを忘れないようにしましょう。新しく来た猫ばかり構ってしまうと、先に住んでいた猫からしたら、「自分の縄張りを荒らされた上、ご飯や身の回りのお世話まで新しい猫が優先される!」と、大きなストレスになりかねません。特に先住猫がシニア猫で、新しい猫が年若い猫だった場合、シニア猫への精神的な負担が大きいので、いたわってあげてください。
他にもストレスから先住猫が便秘や下痢をすることもあるので、注意して観察することが大切です。
先住猫と対面させるのに適した時期や方法
徐々に慣らしていくのがポイント
多頭飼いは社会化前の子猫同士からスタートするのが一番と分かっていても、どんな事情で新しい猫を迎え入れるかは分かりませんよね。迷い込んできた猫や、知人から頼み込まれて面倒を見ることになる人もいるはずです。そこで、どんなケースで迎え入れた場合でも、なるべくお互いの猫が馴染みやすくなるよう、対面させる時期や方法についても知っておきましょう。
最初は別々の部屋で先住猫に慣れさせる
新しい猫を迎え入れて、いきなり先住猫に対面させると、拒否反応を起こす可能性が高くなります。まずは新しい猫は先住猫と別の部屋に住まわせましょう。2~3日ほどかけて、新しい猫の鳴き声やニオイを、先住猫に慣れさせることが重要です。さらに先住猫の近くに、新しい猫のニオイがついたタオルを置くのも効果的です。
初対面はゲージ越しが無難
初めて対面させるときは、ゲージ越しが無難です。「シャーッ!」と威嚇しあったりするかもしれませんが、そのまま様子を見ておきましょう。徐々にお互い好奇心が勝ってくるはずなので、タイミングを見計らってゲージから出してあげます。ただしゲージから出す前に、何かあったときのために新入りの猫が隠れられるようなスペースは用意しておいてあげましょう。慣れるのは2、3週間から数カ月かかるのが通常です。徐々にお互い心を許し合うよう、見守りましょう。
トイレやご飯の場所は猫の数+1
多頭飼いをする場合は、猫が「自分用」のスペースを持てるよう配慮してあげることも大切です。できればゲージやベッドは猫の数分、トイレは飼う猫の頭数+1以上用意しておきます。
多頭飼いは先住猫を思いやることが大切
それぞれの猫が不自由なく暮らせるよう飼い主が配慮しよう
多頭飼いは相性や対面の仕方によって、先住猫に大きなストレスを与えることになります。猫が最後まで幸せに暮らせることが第一なので、それぞれの猫がのびのび暮らせるスペースがあることや、家族で協力し合えることかどうかは重要な問題です。もちろん毎月の費用も猫の数が増える分、高くなるので対応できなければなりません。
また、慣れない猫同士は威嚇し合うことが多いですが、すでに社会化期を過ぎた猫によっては、他の猫を受け入れられない性格の場合もあります。ストレスになってしまってはどうしようもないので、落ち着くまで別々の部屋で生活させるなどの工夫をしてあげてください。多頭飼いをするきっかけは、やむを得ない場合も多いですが、もう一度最後まで面倒が見られるかどうかは確認しておくことが大事です。
猫がたくさんいる生活は1匹だけの生活とは違う楽しみがありますが、猫のためにも、安易な気持ちで飼い始めて手放すことになるのだけは、避けるようにしましょう。
多頭飼いをするときのポイントと注意点
- 多頭飼いを始める前に、もう一度すべての猫を最後まで面倒が見られるかどうか、家族や自宅の環境、家計を見直そう。
- なるべく社会化が始まる前の状態の猫同士で飼うことが望ましいが、難しい場合は血縁関係や子猫、不妊手術済みの猫など相性の良さそうな相手を選ぼう。
- 社会化期を過ぎた猫やオス猫同士だと、新しい猫を受け入れられない先住猫もいる。
- 多頭飼いをする場合は、とにかく先住猫を優先すること。
- 対面は少しずつ距離を縮めるよう工夫しよう。お互いが慣れるまで数カ月かかることもあるので、根気よく見守ることが大切。