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猫の発情期と去勢・避妊手術のメリット・デメリット

寄り添う猫

猫を飼うとなれば、発情期と去勢・避妊手術の問題は避けては通れないものです。しかも猫は生まれて1年ほどであっという間に大人になります。今回は知っておきたい猫の発情期の様子と、去勢・避妊手術をするメリット・デメリットについてご紹介します。

猫の発情期とは?

早ければ生後4~5カ月くらいで始まることもある

猫は人間よりもだいぶ早いスピードで大人になります。発情期が始まるのは、性的に成熟する7カ月~1年前後と言われていますが、早い猫だと4~5カ月目くらいから始まることもあります。発情期になると、いつもと違うだみ声で鳴き出すので分かりやすいですが、発情期がどういった仕組みで起こるのか、知っておきましょう。

始まりはメスのフェロモンから・・・

猫の発情期は、メスから始まります。発情期に入ったメス猫は、鳴き声以外にも、妙にそわそわしたり、体をくねらせるような動きを始めるのが特徴です。飼い主が腰を触ると、反応することも多くあります。メスは発情すると、フェロモンを分泌します。

メス猫が出すフェロモンに反応して、オス猫も発情期が始まり、メス猫を探し始めます。メス猫のフェロモンは、広範囲まで届き、室内にいるオス猫にも届くことがあります。こうして一匹のメス猫の周りにオス猫たちが寄ってきて、メス猫とカップルになる座を狙ってケンカを始め、メス猫が最終的に一匹を選びます。

受胎しなければ発情期再開

交尾によって受胎すれば、メス猫の発情期は止まり、約2カ月の妊娠期間を経て出産します。受胎しなかった場合は、およそ1週間で発情期が止まるのですが、さらに約10日後、再び発情期が始まります。猫の発情期は、1回あたり一か月半くらい続くと言われているので、終わりが来るまで発情しては一旦終わり、また始まるというルーティンを繰り返します。現代の猫の場合は、1カ月半ほどの発情期が、1年に3~4回訪れます。

手術する・しないは早急に決断を

猫を去勢・避妊手術するかしないかは、早ければ4~5カ月ごろから始まる発情期に備え、早急に決断する必要があります。一旦始まってしまうと、うっかり外へ出した間に・・・なんてこともあるかもしれません。

去勢・避妊手術は悪いこと?いいこと?

去勢・避妊手術をすることは、「人間の勝手」「猫の自然な状態を壊すこと」と考える人もいます。そこで、野生時代の猫と比較して考えてみましょう。

野生時代の猫は今より発情期が少なかった?

今は1年に3~4回発情期が訪れる猫ですが、野生時代はもっと少なかったそうです。さらに言うと、無事に出産できる確率、出産できても子猫が大きくなる確率も、今より少なかったと言われています。理由は、今の猫のように恵まれた環境にいなかったからです。確かに、ご飯も自分で狩らなければ食べられない状況でしょうし、冬になれば、さらに困難だったはずです。

だからまずは自分が生きることが第一、繁殖活動は後回しになっていたと考えられます。現代の猫が1年のうち何度も発情期が訪れるのは、安定した環境が得られやすく、ご飯が豊富に食べられることが関係しています。発情期は本能なので、猫としては満たされているうちに、たくさん子孫を残そうとしているのではないでしょうか。

手術をしない場合のリスクとは

「人間の都合で、猫にメスを入れるのは忍びない」と考えるのは素晴らしいことです。もちろん、手術をせずとも、しっかり猫を管理して、安易な妊娠をさせずにすめば、それに越したことはありません。ですが、1年に何度もある発情期と、猫の平均寿命が15歳以上ということを考えると、全く妊娠させずにすむ確率はどのくらいあるのかは、十分検討したいポイントです。

猫は1回で3~5匹の子どもを産むのが一般的です。仮に1年に1回に3匹の子猫が産まれて、3年続けば9匹です。里親がすぐ見つかればいいですが、増えるほど難しくなり、面倒が見られなくなる可能性は非常に高くなります。実際に現在の日本では、面倒が見られず結局捨てられ、殺処分される猫が約12万匹いると言われています。手術をすることは、むやみな繁殖活動を抑え、殺処分される猫も減らすことにもつながるのではないでしょうか。

猫自身は意識していない・・・かも

手術をする飼い主からすると、「去勢・避妊手術するなんて猫がかわいそう」と思いがちですが、実は猫自身にしてみたら「手術」がどういうことなのか理解しているかというと疑問が残ります。さらに、猫は「自分がオス猫やメス猫である」という自覚はあるのかも分かりません。発情期については猫の本能行動の一つなので、猫は「自分はオス、メス」というよりも、ただ本能に従って行動しているだけと考えられます。

手術をすると、オスやメスになる前の「子猫の状態」に戻ります。そして、猫自身に「自分がオスやメスである」という自覚がないとすれば、発情期があったことも忘れてしまうと考えられます。もちろん手術のこともよくわからないまま終わるか、忘れてしまうはずです。人間からすれば申し訳ないと思っても、猫としては意識しないまま「子猫時代」に戻り、楽しく暮らせるのかもしれません。

猫の去勢・避妊手術のメリット・デメリット

手術した方が、病気やトラブルのリスクは減らせる

猫の去勢・避妊手術は、するかしないかは飼い主の考えに任せられています。では、それぞれどんなメリットやデメリットがあるのか、見ていきましょう。

去勢・避妊手術をするメリット

手術をすると病気のリスクが減る

オス猫の場合は、去勢手術をすることによって精巣がんなど生殖器の病気にかかるリスクを減らすことができます。メス猫の場合も、避妊手術によって卵巣がんなどの生殖器の病気リスクを減らせるほか、子宮蓄膿症や乳がんのリスクも軽減できるのが大きなメリットです。

さらにオス・メスともに発情期自体の活動を抑えやすくなり、オス猫の場合はおしっこスプレーというマーキングを軽減する効果も期待できます。

事故やケガのリスクが減る

発情期になると、オス猫はメス猫を探してまっしぐら、放っておくと数日帰らないなんてこともあり得ます。メス猫以外に注意が向いていない状態だと、いつも以上に交通事故に巻き込まれる可能性も高まります。さらに、オス同士でメスを取り合ってケンカをする際、ケガをしやすく、嚙み傷などから病気に感染することもあります。

近所迷惑のリスクが減る

猫の発情期は、独特のだみ声で、しかもかなりの大音量です。隣近所がない一軒家に住んでいるなら問題ないかもしれませんが、夜中に鳴かれると近所迷惑になる可能性大です。数日で終わるならまだしも、1年に3~4回、1回1か月半くらい続くと考えるとどうか、というところも考えると、手術をするメリットは十分にあります。

去勢・避妊手術のデメリット

手術をすると太りやすい

去勢・避妊手術のデメリットは、手術後に猫が太りやすくなることです。太る理由としては、次のポイントが考えられます。

  • 食欲増加
  • 安息時の代謝が下がる
  • 活動量が減る

食欲増加の原因は、今のところホルモンが関係していると考えられていますが、まだ解明はされていません。他にも、横たわった状態で体温維持や心臓を動かすために消費するカロリーを示す、安息時の代謝率が下がることも関係しています。さらに、オス猫の場合手術をすると攻撃性が弱まり穏やかになる分、活動量が減り太りやすくなるとも言われています。ただし、肥満は食事によって予防できるので飼い主次第という見方もできます。

繁殖活動はできない

当然ですが、手術をすれば子どもはもう作れません。どちらがいいと思うかは、手術する前によく検討する必要があります。

手術のリスク

去勢・避妊手術は通常、オス猫の場合5分ほど、メス猫で15~30分ほどで終了する手術です。短時間で終わるため、他の手術に比べると比較的手術のリスクは少ないと言えます。とはいえ、100%安全な手術はありません。手術後に泌尿器系に異常が出るケースや、一度で卵巣が取りきれないなどの可能性もあります。

他にも、2007年にイギリスで報告された論文の中には、79,178例のうち麻酔による猫の死亡率は0.11%と言われています。限りなく0%に近いとはいえ、麻酔を使う限り、何もないとは言い切れません。

去勢・避妊手術はかかりつけ獣医を見つけるチャンス

予防接種のときから相談しておこう

去勢・避妊手術を考えることは、かかりつけ獣医を見つけるチャンスでもあります。手術をするか悩んでいるという人も、猫の発情期が始まる前に、予防接種や健康診断などを利用して、信頼できる獣医を見つけておけば、何かと相談しやすいのではないでしょうか。

自宅から近い距離で探す

かかりつけ獣医は、去勢・避妊手術だけでなく猫が一生を終えるまで何かとお世話になる病院です。万が一猫に突発的なケガやトラブルが起こった場合、すぐに診てもらえるよう、なるべく自宅から近いところで探すのがベターです。目安としては車で30分圏内、あるいは徒歩で歩いて行ける距離が適しています。

相性が合うと感じる獣医を見つけよう

いくら近くても、相性が合わない獣医は避けた方が無難です。相性が合わないということは、信頼もできないからです。大事な猫の命を預けることも考えて、「ここなら大丈夫」という獣医を探しましょう。

できれば2~3軒回る

最初に訪れた病院がいいと思っても、念のため2~3軒回ってみることをおすすめします。より相性のいい獣医が見つかる可能性が高まります。他にも口コミなどで情報を仕入れられるのもおすすめです。

先のことも考えた上で去勢・避妊手術を検討しよう

手術するなら発情期が訪れる前に済ませるのがベター

猫の去勢・避妊手術をするかしないかは、飼い主の判断に任されます。手術にはリスクが伴いますし、猫に一度でも子どもを産ませてあげたい、と考えるのであれば、手術しないという選択もあります。ですが、猫の病気やケガ、トラブルのリスクを大幅に下げられるというメリットも、大変大きいと言えます。手術をするのであれば、大きくなってから手術をするのは猫にとっても身体的負担が大きいため、なるべく発情期が始まる前に済ませておくのが無難です。

一番大切なことは、「結局面倒が見られませんでした」とならないことです。手術をすることは、可能性として殺処分に回されてしまう猫を減らすことにもつながります。手術をしない場合は、安易な妊娠に至らないよう、十分注意しなければなりません。信頼できるかかりつけ獣医とよく相談し、愛猫のためにもじっくり検討してみてください。

猫の発情期の仕組みと、去勢・避妊手術のメリット・デメリット

  • 発情期は早ければ生後4~5カ月、遅くても1歳前後で始まる。そして発情期は1年に3~4回訪れ、1回あたり1カ月半ほど続く。
  • 手術するかしないかは飼い主に任されているが、しなかった場合放し飼いだととんでもない数の猫の繁殖に繋がる可能性がある。
  • 猫は「手術」や「自分はオス、メス」ということを自覚している可能性はとても低く、手術をしたことすら意識せず、忘れてしまう可能性の方が高い。
  • 去勢・避妊手術のメリットは病気やケガなどのトラブルから守りやすくなること、デメリットは二度と子どもが作れなくなることや、太りやすいことと、手術のリスクが多少残されていること。
  • 去勢・避妊手術は発情期が始まる前に済ませる方が猫の体にも負担が少ないので、それまでに信頼できるかかりつけ獣医を見つけておこう。

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