猫を飼う場合、猫の健康のことなどを考えたら室内飼いが一番安心ということをご存じでしょうか。日本では「猫を飼う=放し飼い」というイメージが強いですが、現代社会を考えると、むしろリスクの方が勝るのだとか・・・今回は猫を室内で飼うメリットについてご紹介します。
「室内飼いはかわいそう」ではない?
そう思っているのは人間だけかも・・・
猫を室内で飼うのは、閉じ込めるような気がしてかわいそう、と思われる方は多くいることでしょう。確かに、一般的な猫のイメージは、のびのび自由に行動している様子が思い浮かびますよね。ですが、実は猫にとってみれば、室内でいられることは「最高のぜいたく」かもしれません。
昔はネズミを捕る目的があった
猫が放し飼いにされていたのは、ネズミなど人間を困らせるものから守ってもらうためでした。猫にとってみても、今のようにキャットフードが必ず与えられるわけではないので、自分で食べるものを見つけなければ生活できません。だから放し飼いにされることは、とても合理的なことだったのです。
ですが現代社会は、猫は家族の一員として、まず健康でいることが第一です。そしてご飯も、自分で見つけなくても家族から毎食与えられます。だからあえて外に出る必要がなくなっているわけです。
猫が外に出るのは習慣
実は、猫は元々行動範囲が広くありません。動く必要がなければ動かなくてもいい、という考えの動物です。ご飯(ネズミなど)が見つからなければ、仕方なく行動範囲を広げていくだけの話で、基本は自分の縄張りが決まれば、縄張り以上外へはあまり出ようとしません。
だから、放し飼いにして猫が外に出るのは、本能行動ではなく習慣です。外に作ったトイレへ行ったり、昼寝をするためだけに行くようなものと考えられます。室内で行動が完結できれば、猫としては何も不自由はないはずです。
室内飼いは猫にとって最高の贅沢?
現代に生きる飼い猫は、食事もトイレも、遊び相手もすべてが家の中で済ませることができます。狭くても、自分のテリトリーさえあればいいので、昔に比べたらパトロールする範囲が限定されて、衣食住に困らないというのは、猫にとって最高の贅沢なのかもしれません。
室内飼いにするメリット
病気やトラブルから猫を守りやすくなる
猫を室内で飼うことは、猫だけでなく私たち飼い主にもメリットがあります。大きなメリットは、病気やトラブルから猫を守りやすくなることです。具体的なポイントについてご紹介します。
ノミ、ダニ、猫エイズ・・外にはさまざまな病気リスクが
外の世界は開放的ですが、猫にとっては天敵のノミやダニもつきやすくなります。さらに猫の病気でリスクの高い、猫エイズや猫白血病などを予防することができます。放っておくと手遅れになる病気もあるため、なるべくリスクを減らすためにも、室内飼いの方が安全です。
他の猫とのトラブル
相性の悪い猫と出会ってしまうと、ケンカになってケガをする可能性もあります。ケンカをした相手猫が、何かの病気を持っていれば、傷口から感染する危険性もあります。さらに、メス猫の場合、ケンカどころか避妊手術をしていなければ、望まない妊娠をしてしまうことも考えられます。
交通事故やご近所とのトラブル
猫に交通ルールはありませんから、急に飛び出して交通事故に巻き込まれるリスクも考えられます。軽傷ですめばいいですが、もしものときは命にも関わります。他にも、勝手にご近所の花壇をトイレに使って、嫌がられるケースも考えておかなければなりません。ご近所トラブルは、猫だけの問題でなく、家族全体が抱える大きなトラブルに発展しかねません。そんな心配も、室内飼いならせずにすむので、猫と仲良く、幸せに暮らせるでしょう。
猫を室内飼いにするときの注意点
室内の事故に気を付けよう
放し飼いより室内飼いの方がリスクは減りますが、だからといって100%安全とも限りません。室内は室内で、予想外の事故に備えて対策をとっておかなければなりません。
家の中で事故が起こりやすい場所は猫をブロック!
猫にもさまざまな性格があり、困った行動をする猫もいます。なるべく事故を防ぐために、家の中で猫が来ると危険な場所は入らせないようブロックしておくと安心です。特に事故が多いのは、お湯が張った状態の浴槽への転落や、電気コードをかじって感電というトラブルです。
家の中をウロウロするのが好きな猫であれば、お風呂場に入れないようにしておくことで事故を防ぐことができます。電気コードについては、コードを隠すか、カバーをつけるなどして対策をとりましょう。他にも、猫によってはガスコンロをつける、ストーブの上に飛び乗ることもあるので、変なクセがあるなと感じたら、台所に入れないようにしたり、ストーブに飛び乗りそうだったら止めるなど、都度対策を取ることが大切です。
誤飲誤食トラブルを防ごう
猫のトラブルで、誤飲誤食もよくあるトラブルです。特に気を付けたいのは、中毒を引き起こすことがある観葉植物を始めとした植物です。食べ物であれば、タマネギが危険です。猫が口に入れないよう、手の届かない場所に置くようにしましょう。他にも、猫によってはビニール袋を食べたりすることもあるので、こちらも手が届かないところへ保管することが大事です。
熱中症対策、寒さ対策をしよう
室内で飼う場合、暑さ寒さの対応もしなければなりません。夏場は猫も熱中症になりやすいので、日中留守にする間は、特に注意しなければなりません。ですが、ほとんどの猫はクーラーが苦手とされています。暑さ対策としては、ペットボトルに水を入れて凍らせたものを置いたり、冷却シートを活用するのがおすすめです。そして、猫が脱走しない程度に窓を開け、換気できるようにしておきましょう。
できれば、旅行などで長期的に留守をする場合は、一緒に連れていくか、どこかで預かってもらう方が安心です。寒さ対策としては、ペットヒーターの活用が一般的です。他にも毛布などを活用して、猫が寒くないよう気を付けてあげましょう。ストーブなど暖房器具を使う場合は、目の届く範囲に設置し、事故が起こらないよう気を配ることが重要です。
猫の健康を考えると室内飼いが安心
室内でも事故予防の対策は必要
猫は放し飼いの方がのびのび暮らせそうに思われがちですが、実はそうではないことが多くあります。本来の性格からいって、自分のテリトリーさえあれば、広範囲でなくとも構いません。だから室内で、自分の食事、トイレ、遊びができれば猫としては十分満足に感じられるのです。
さらに室内飼いにすることは、猫の病気やケガ、ご近所トラブルなどの心配の種が減り、ひいては、猫の健康や寿命を延ばすことにもつながっていきます。もちろん、室内で飼うからと言って100%安心とは限りません。室内は室内なりに、事故やケガ対策をとることが必要です。それでも、室内であれば飼い主も目が行き届きやすく、ほとんどの危険を予防することができます。だから猫を飼おうと思っている人は、ぜひ室内で飼われる方向で検討されてみてはいかがでしょうか。
猫を室内飼いするメリットと注意点
- 猫は本来、広範囲を移動する動物ではないので、縄張りの範囲内で食事やトイレ、遊び相手がいれば十分満足できることが多い。
- 猫を室内で飼うと、ノミやダニを始めとする病気、他の猫とのケガ、予期せぬ妊娠、交通事故などのトラブルから守りやすくなる。
- 放し飼いにすると、ご近所の家で粗相をしたなど、トラブルなどを招きやすい。
- 室内で飼う場合も、事故や誤飲誤食トラブルの予防、暑さ寒さの対策は必要。