猫を飼うきっかけとして、道で見つけたり、迷い込んできたりした野良猫になることもあります。今回は、過酷な環境に置かれていることも多い野良猫を飼う場合、気を付けたいポイントや、室内飼いができるかなどの疑問をまとめました。
野良猫を引き取ったらすること
まずは病院へ連れていこう
野良猫を飼うと決めたら、まずは動物病院へ連れていきましょう。野良猫は飼い猫と違い、十分な食事がとれず、栄養状態が悪いことも多いからです。他にも、妊娠しているかもしれないので、獣医の診察を受けておく方が安心です。できるだけ当日中、遅くとも翌日までに連れていくことが大切です。病院で診てもらいたいことと合わせて必要な予算や、病院後にしておきたいことについてもご紹介します。
予防接種など1~2万円の予算を
野良猫の場合、80%が寄生虫に感染しているとも言われています。他にも、かかっている病気によっては、人に感染するものもあるので油断できません。診察を受けるのと一緒に、ワクチンや予防接種もしておきましょう。動物病院でしておきたいポイントは次の通りです。
- 栄養状態の診察
- 外傷、目や耳などのチェック
- ノミやダニなどの駆除薬
- 予防接種
動物病院によって値段は前後しますが、平均の予算も合わせてご紹介します。
費用名目 | 平均予算 |
初診料 | 1,000~3,000円 |
検査 | 5,000~10,000円 |
予防接種 | 4,000~6,000円 |
ノミ・ダニの駆除薬 | 2,000円前後 |
猫の健康状態によって前後しますが、最低10,000円、できれば20,000円ほど持っていくと安心です。もしその日のうちに病院に連れていけないときは、寄生虫が他で繁殖しないよう、ゲージやダンボールなどで隔離しておくことをお勧めします。
本当に野良猫かどうか調べる
猫の健康状態が把握でき、ある程度処置ができた時点で、飼う前にもう一度、「本当に野良猫かどうか」調べておきましょう。大人の猫の場合、もしかしたら迷いこんできただけで、迷子になっている猫かもしれません。交番や、ご近所の方に尋ねたり、迷い猫のポスターが貼られていないかチェックしましょう。他にも、マイクロチップが取り付けられていないか確認します。
先住猫とは隔離すること
本当に野良猫と分かれば、いよいよ共同生活の開始です。ですが、すでに先住猫がいる場合は、新しく来た野良猫とは別々の部屋で飼うことをおすすめします。猫は縄張り意識が強く、相性が合わなければケンカになってケガをする可能性があるからです。
野良猫の成長に合わせたご飯やトイレのサポートを
体重を一つの目安に考えよう
ペットショップなどから譲り受ける場合、子猫の状態で、大体どのくらいの成長具合なのか分かるので、ご飯やトイレのサポートも容易にできます。野良猫の場合は、体重によって成長の様子を判断しましょう。
目が開いていなければ離乳前
猫の成長を見るとき、まず目が開いているかどうかで判断します。目が開いていなければ、確実に離乳前の状態です。離乳前は固形物が消化できませんので、猫用ミルクなどを用意しましょう。トイレも、自分ではできないので濡れティッシュやコットンなどでお尻を刺激してあげることが大事です。
体重400g以上はオトナ猫と判断
野良猫の場合、体重が400gあるかないかが、成長を判断する一つの目安です。400gに満たない場合は、まだ固形のご飯は避け、猫用ミルクなどを与えるようにしてください。400gを超えれば、通常の固形フードを与えてOKです。総合栄養食と書かれたキャットフードを与えると、栄養バランスを整えることができます。猫によってはドライフードよりウェットフードを好むこともあります。
体重が400gを超えれば、トイレを覚えさせましょう。連れてきたときから大人だった猫の場合、なかなか覚えてくれないかもしれません。根気強く、猫がそわそわしだしたらトイレに連れていくなどして覚えさせましょう。
お風呂は入れない方がベター
ご飯やトイレに加え、お風呂にも注意が必要です。野良猫の場合、ノミやダニが気になるからとすぐにお風呂に入れたくなるかもしれませんが、実はお風呂に入れてもあまり効果は期待できません。ノミやダニは専用の駆除薬で対峙しましょう。さらに、野良猫の場合は特にお風呂が苦手というケースが多く、無理に入れるとストレスになることがあります。猫は元々シャンプーが必要ないので、無理に入れない方が無難です。
どうしてもシャンプーしたいという場合は、先に病院で診てもらってからにしましょう。
野良猫は室内飼いできる?
状況によっては放し飼いでバランスを取ることが大切
猫は室内で飼う方が健康も安全も確保できます。とはいえ、野良猫は元々外で生活していた猫なので、室内から出られないとストレスを感じる可能性もあります。野良猫を室内で飼うポイントや、難しい場合は妥協点を見つけることも重要です。
まずは根気強く家に慣れてもらう
野良猫は警戒心が強いことも多いので、室内で飼うにあたって、まずは家に慣れてもらうことが最優先です。猫によっては、すぐに馴染むこともあるようですが、繊細な性格の猫だと、一週間飲まず食わずになることもあります。さらに、ストレスで体調を崩してしまう可能性もあるので、根気強く見守ることが大切です。
室内でも思い切り動ける環境を作る
元々外でのびのびと動いていた野良猫は、室内だと物足りなく感じます。そのため、猫が飽きないよう、上下運動ができるような部屋づくりをしたり、時間が空いているときは飼い主も思い切り遊んであげましょう。同時に、脱走しないような対策も取りましょう。
引越しという奥の手
どうしても猫が馴染まない、というときは、引越しをするという奥の手があります。猫の縄張り感覚を利用し、強制的にリセットする方法です。新しい家に連れていけば、猫は一から縄張りづくりをスタートし直します。だから飼い主は猫の行動範囲を室内に限ってしまえば、室内で飼える可能性も高まります。高齢の猫であれば、ケガや病気の入院を利用するという手段もあります。
ですが、引越しはしようと思ってできるものでもないですし、入院もそんなに頻繁にはありませんよね。といって、外に出たがる猫を閉じ込めておくのもかわいそうにも感じられます。だから時々飼い主の目の届く範囲で外の空気を吸わせてあげるなど、野良猫の場合は、猫の性格に応じて室内飼いと放し飼いとのバランスをとることが大事です。
野良猫を飼うならまず病院へ連れていこう
猫の生活に応じて徐々に距離を縮めよう
野良猫を飼うと決めたら、まずは動物病院で診察を受けましょう。外で暮らしていた分、病気や栄養状態の心配があるからです。合わせてワクチンやノミ・ダニ駆除の薬を投与してもらうと安心です。飼う前には、念のためもう一度飼い主がいないか確認するようにしてください。ご飯やトイレは、猫の体重で成長度合いをはかって準備しましょう。トイレは成猫だとなかなか覚えてくれないこともありますが、負けずに根気強くしつけることが大切です。
室内飼いできるかどうかは、猫の性格にもよります。難しい場合は、猫のストレスを減らせるような環境づくりを心がけましょう。目の届く範囲での放し飼いという妥協点を見つけるのもいいかもしれません。野良猫を飼うことは、猫がそれまで置かれていた環境によっては、なかなか馴染めないこともあるなど、ハードルが高い部分があります。ですが、心が通う瞬間もきっと訪れるはずです。猫が最後まで幸せに暮らせるように、ぜひ根気強く接してあげてください。
野良猫を飼う前、飼うときにしたいこと
- 野良猫を飼うと決めたら、まず動物病院で健康状態をチェックし、予防接種などを済ませよう。できるだけ飼うと決めた当日中に行くほうがベター。費用は1~2万円を見ておこう。
- 飼う前に念のためもう一度飼い主がいないか確認しよう。既に先住猫がいる場合は、しばらく別々の部屋で過ごさせることがトラブル防止のポイント。
- 食事の内容は猫の体重で判断しよう。成猫の場合はトイレを覚えず粗相をする可能性もあるが、根気強くしつけることが大切。
- 室内で飼えるかどうかは野良猫の性格次第。まずは家に馴染んでくれるのを待ち、猫が満足できそうな部屋づくりをしてみよう。それでも駄目なら目の届く範囲で放し飼いをするなどの妥協点を見つけよう。