猫の成長はとても早く、あっという間に大人になります。大人になった後は、ゆっくりと時間を過ごします。授乳期からシニア期まで、猫の成長とともに気を付けたいポイントをまとめました。
猫は生後2か月で幼年期
猫は生まれてから2カ月くらい経てば幼年期となり、一人でいろいろなことができるようになります。トイレなどのしつけも、この時期にきちんとすることが大事です。
授乳期を過ぎたら幼年期へ、少しずつ人に慣れさせよう
生後1週間ほどすると目が開き、たどたどしくも少しずつ歩き回るようになります。1か月もすれば乳離れの時期となり、2か月目くらいからは早くも授乳期から幼年期に入ります。固形物も食べられるようになり、足取りもしっかりとしたものへと変化します。順応性が高いこの時期に、トイレを覚えさせたり人間に慣れてもらうようにしましょう。
ご飯は離乳食を準備しよう
幼年期に入ると乳歯が生えそろい、固形物が食べられるようになります。とはいえ、まだ体のつくりとしては発達段階で消化不良なども起こしやすい時期です。そのため、ドライフードはふやかして柔らかくし、ミルクを作るなど、離乳食のような消化の良い子猫用のご飯を準備しましょう。半日でも食べないでいると命に関わることもあるので、きちんと食べさせることが健康な猫に育てる大切なポイントです。量は体重や状態に応じて調整しましょう。
トイレなどのしつけはこの時期に
順応性が一番高いこの時期が、トイレなどを覚えさせるチャンスです。比較的、猫はトイレを早くに覚えますが、落ち着ける場所や好みのネコ砂を用意するなど、猫が気に入る空間となるように工夫しましょう。そして、少しずつ触れ合う時間を作り、子猫のうちから人間に慣れさせておきましょう。
ワクチン接種終了までは自宅内で遊ばせよう
猫は生まれた年に、最低2回のワクチン接種が推奨されています。これは、母猫からもらう免疫が生後45~90日くらいで切れてしまうからです。ワクチンの接種が終わるまでは、まだ体の機能が不十分で免疫力も弱い状態なので、外に出したりお風呂に入れたりなど、体の負担となりそうなことは避けましょう。
思春期を過ぎて1歳になるころには成猫へ
幼年期も生後5カ月ほどになると、少しずつ子どもよりオトナへと近づいていきます。一般的には生後半年くらいが思春期、それを過ぎて1歳前後にはもう成猫と言われる大人になります。
オスらしさ、メスらしさも感じられるようになる
完全に大人になるまでの一歩手前の時期に、オス・メスらしさといった特徴がはっきりしてきます。やんちゃな時期でもあるので、社会性をしっかりと身につけさせたいところです。
イタズラが始まる頃
生後5カ月くらいからは、嚙んだりひっかいたりといったやんちゃな一面が表れるようになります。これは、乳歯から永久歯へと生え変わる時期に感じる違和感の影響もあるようです。とはいえ、こんな困った行動も大人になってからもずっと続けられては大変です。猫は叱れば覚えてくれる、ということがほとんどありません。犬のように訓練でしつけられるとも限らないのが困ったところ。ただ、「嫌なこと」は強烈な印象として残るようです。
そのため、何か「問題行動を起こしそう」と思った瞬間に、大きな声や音を出して行動を止めることが効果的です。「びっくりした=嫌な気分になった」と認識させると、次からはその行動をしなくなるからです。あるいは、そのような行動を起こさないようあらかじめ予防をしましょう。例えば、爪とぎをしてほしくない場所にはカバーをしたり、ガムテープを貼るのも効果的です。ガムテープは粘着面を表にして貼るのがポイントです。爪がひっかかって、猫としては嫌な気分になります。
少し根気がいりますが、この時期にきちんとしつけると後々の生活が楽になります。もちろんそれと共に、「爪とぎはここでするもの」と教えてあげることも必要です。
お手入れもしてあげよう
人間にも慣れてきた頃を見計らって、お手入れを始めましょう。特に、ブラッシングをこまめにしてあげましょう。最初は嫌がるかもしれないので、まずは手で毛並みを整えるところから始め、それからブラシを使うなど様子を見ながら徐々に慣れさせましょう。ブラッシングをする範囲も、最初は比較的やりやすい首回りから背中、慣れてきたらおなか周りというように徐々に範囲を広げていきます。ブラッシングは、毛並みにそって行うのがポイントです。
それ以外にも、爪とぎや耳掃除を定期的に行ってあげるのがおすすめ。永久歯が生えれば、歯磨きなどもしてあげたいところです。こうしたお手入れを通じて触れ合うことにより、猫の健康をチェックすることもできます。
去勢・避妊手術をするならこの時期までがベスト
オス・メスの性別による「らしさ」が出てくるこの時期、オスはマーキングを始めます。それと同時に考えたいことが去勢・避妊手術です。なるべく生後7か月くらいまでに手術をしてあげる方が、体への負担が少なく済みます。また、手術をする場合、手術により病気になりにくくなるというメリットがあります。さらに、オスは発情期の攻撃性が弱まります。メスの場合も子宮回りの病気にかかりにくくなったり、発情行動がなくなる傾向が見られます。
体重が落ち着いたらオトナに成長した証、2歳から青年期へ
1歳前後で体重の増加が落ち着きます。体もできあがり、成猫の仲間入りをした証拠と言えます。活発に行動するようになるとともに、なんとなく風格も出てくるようになります。
元気に育つように、という目的から健康維持へと変化
成猫になれば成長は落ち着くので、ここからは健康を維持する方へ力を注ぎましょう。猫の日々の様子や、コミュニケーションを図る中で体に変わったところはないかチェックしてあげることが大切です。
ご飯は成猫用へ切り替え
体重の増加が落ち着いたら、ご飯は成猫用へと徐々に切り替えていきます。キャットフードを中心に、時々は手作りにしてもいいですね。回数は子猫の時期は小分けにして数回に与えていたところ、1日2回程度に落ち着かせていきましょう。また、食べ過ぎはデブの元。量が多すぎて肥満にならないよう、体重を見てコントロールしてあげてください。特に人間用の食べ物は猫にとって毒となることが多いので、与えないことが鉄則です。
たくさん遊んで絆を深めよう
活発に行動するこの時期は、たくさん遊んで絆を深めるチャンスです。猫の方から「構ってほしい」サインを感じたら、狩猟本能をくすぐるおもちゃなどを使いながらコミュニケーションを取りましょう。あまり運動せずにいると、そこから肥満状態に陥ることもあるので、適度に発散させてあげることが大事です。遊ぶ時間は1回10~15分程度の短時間で十分です。猫は瞬間的にたくさんエネルギーを使うので、あまり長時間の運動は避けましょう。また、猫が興味を失ったようであれば、無理強いはしないほうがよいでしょう。
日々健康チェックを忘れずに
活動的な時期ではあるものの、外にでる猫は特に、どこかでケガをして帰ってくるかもしれません。また、人間と同じように風邪を引いたり、ノミやダニによる皮膚炎にかかるなど、病気になることもあります。こうした体の異常にはとにかく早く気付けるよう、普段から猫の様子や行動を観察しておきましょう。食事の様子や便の状態など、目で見て確認できるものもありますが、お手入れや遊んでいるときの時間を利用して、体全体をこまめにチェックします。
猫は言葉を話すことができません。自分の体の不調を周りに悟られないよう、体が不調なときは静かにしていることが多くあります。ただ、放っておくと怖い病気もあるので、早期発見が何よりも大切です。ちょっとでも異変を感じたら、様子を見て病院にも連れていきましょう。そうした日々の健康チェックとともに、年に一回はワクチンを接種したり、健康診断を受ける日を作りましょう。
8歳ころからシニア期を迎える愛猫のために
猫は1年におよそ人の4歳分の年をとると言われています。そのため8歳ごろからは徐々にシニア期に突入します。老化の進行は個体差がありますが、毛が白くなるなど少しずつ老化が始まります。
より長く、健康に過ごせるサポートをしよう
何歳まで元気でいてくれるか、というのは分かりませんが、シニア期に入ったら少しでも健康で長生きしてくれるような生活、環境づくりをサポートしてあげましょう。
ご飯はシニア用へ切り替え
年齢や食事の様子に応じて、少しずつシニア用のご飯へと移行します。体力も成猫期より衰えていくので、ご飯もカロリーが低く栄養面も考えられたものを選びましょう。食事の回数も2~3回と小分けにします。
徐々に寝ている時間も多くなる
猫は睡眠時間が長い方です。これは野生時代、狩猟時以外は体力を温存するためにそうしていた名残と言われています。子猫だと一日の大半、成猫でも14時間くらい眠ることが一般的です。そしてシニアになると、成猫のときより眠る時間が多くなります。一般的には10歳を過ぎると子猫のときのように一日の大半を眠って過ごすことが多くなり、活動量は減ります。
元気はつらつだったころに比べると、衰えを感じることも増えますが、寄り添いながら猫が安心して休めるような環境づくりに取り組みましょう。
健康診断の回数は年2回に増やすのが理想的
シニア期では1年、年をとるごとに、体の老化は目に見えるほど大きくなります。その分一年一年が貴重な時間になります。少しでも長く、一緒に暮らせるように健康管理をしっかり行いましょう。できれば、健康診断は年2回に増やすのが理想です。さらに、睡眠時間が長い分、一日の中でも多くの時間を過ごすベッドを常に清潔の状態に保ちましょう。老化が進むと歯周病にもなりやすくなるので、こまめに歯のお手入れもしてあげてください。
愛猫の老いを感じたらゆったりとした時間を
猫の一生は、生まれたかと思えばあっという間にオトナになって、そこからゆっくりと人生を送るイメージです。ただ、人間の4倍のスピードで年を重ねるので、シニア期の1年は、一緒に過ごせることが日に日にとても貴重な時間になります。
順応性が高いうちに!しつけや社会化は最初の1年が肝心
大人になるのが早い分、成猫になるまでの1年はしつけをするのに肝心な時期。それと同時にコミュニケーションも深めましょう。飼い主と猫との絆を深めることにより、お互いが仲良く暮らせることにもつながります。また、猫が日々健康であるように体の異常がないかもチェックすることが大切です。
- 目が開き乳離れが済めば2カ月目くらいから子猫用ご飯に切り替えたり、トイレのしつけをしよう。
- だんだんやんちゃになってくるのを、上手に「いけないこと」と認識させよう。成猫となる1歳前後までにお手入れに慣れさせることが大事。去勢・避妊手術をするなら負担の少ないうちに済ませよう
- 体重が落ち着いたら成猫になった証拠。たくさん遊んでコミュニケーションを深め、同時に運動不足にならないようにしよう。ご飯も食べ過ぎて肥満に繋がらないようコントロールするのがポイント。
- どこか体に異常はないか、健康チェックは欠かさずに行おう。普段の様子や行動を目で確認するほか、遊んだりお手入れするときなど、触れ合う時間を利用して確認しよう。
- 老化の出方には個体差があるが、シニア期に入ったらゆったりとした生活を送れるような環境を作ってあげよう。ご飯も切り替え、ベッド周りは清潔をキープすることが大切。
人間とは違う時間軸を持っている猫ですが、一緒に過ごせる時間はかけがえのないものです。猫が元気で暮らせるよう、成長過程に応じてサポートしてあげたいですね。