猫と一緒に暮らし始めると、大切な家族の一員です。猫は、言葉を話せない分、ケガや病気がないかどうかを飼い主がしっかりチェックしてあげなければいけません。そんな猫の体調について、皆さんこんなことが気になっているようです。
猫の体調、一年を通してどんなことに気を付けたらいい?
Q:初めて猫を飼うことになりました。季節ごとに気を付けたいケガや病気はありますか?
ケガや病気に気を付けるといっても、猫を飼うのが初めてだと、どんなことに気を付けたらいいかわからないという人も多いようです。一年を通して季節ごとに気を付けたいポイントは異なります。
A1:春はノミやダニも活発になりやすい
さむ~い冬からようやく暖かくなる春は、ノミやダニが増えてくる季節です。人間だって、ポカポカ暖かいと「ちょっと外に出ようかな」という気分になるのですから、ノミやダニが活動的になるのも当然ですよね。ただ、自然の摂理とはいえ、猫にとっては皮膚病などの危険が生まれるので大迷惑ですね。夏毛に生え変わる時期でもあるので、抜け毛による病気にも注意するようにしましょう。
A2:夏は寄生虫にも注意
夏は腸内寄生虫も増える季節です。様子がおかしいなど気になることがあれば、検便を受けるようにしましょう。また、暑さで食べ物も傷みやすい時期です。ご飯やお水が傷んだりしていないかどうか、こまめにチェックするようにしてください。さらに、春に引き続き、夏もノミやダニに注意しなければいけません。
A3:秋はご飯をたくさん食べさせよう
暑さが和らぎ、涼しくなる秋は夏バテが起こりやすい季節です。猫も人間と同じように季節の変わり目は体調を崩しやすくなります。なるべくご飯をたくさん食べて冬に備えられるよう、食事を工夫してあげましょう。また、今度は冬毛へと生え変わる時期でもあるので、春と同じように皮膚病や抜け毛による病気に注意しましょう。
A4:冬は暖かい環境づくりを
猫は寒さに弱いので暖かくしてあげることが第一です。体を触って冷たくないかもチェックしましょう。ペットヒーターなどを活用するのがおすすめですが、低温やけどにならない程度に上手に調整してあげてください。また、空気が乾燥する冬はウイルス感染にも気を付けましょう。部屋は暖めるだけでなく、適度な湿度を保つことも大切です。
知らない間のケガや病気
Q:うちの猫は知らない間にケガをしたり、具合が悪くなることが多いのですが・・・
猫はケガや病気をしていても、なかなか態度に表さず普段通り過ごしていることが多くあります。自分の不調を隠しがちだからこそ悪化しないうちに、なるべく早く気付いてあげたいですよね。
A1:普段から観察をしっかりと
猫の性格からして、私たちが気づかない間にケガや病気になることがあります。ただ、それでもそのまま知らずに悪化して手遅れ・・・なんてことにならないよう、少しでも早く気付けるようにすることが大切です。そのためにも、普段から体調の異変がないか観察するようにしましょう。例えば、ご飯はちゃんと食べているか、便の状態は正常かなどです。もし普段と違う様子が見られたら、ケガや病気を疑ってみてください。
A2:部屋の隅っこでじっとしているときは要注意
猫は我慢強い性格から、具合が悪くてもアピールすることはあまりありません。ただ、いつもは飛び跳ねるように遊んでいるのに、今日は部屋の隅っこでじっとしているなと思ったら要注意です。野生時代の名残で、体調が悪いと「敵に襲われないように身を守る」、という習性が働くからです。体調が悪い時は身を守るために部屋の隅っこなど人目につかない場所でじっとします。もしこういう様子が感じられたら、体の異常を疑いましょう。
A3:体重管理で健康管理
特に病気などの兆候を早めにつかむために、普段から定期的に体重をはかっておくことをおすすめします。体調不良は体重の増減にも表れます。肥満予防の一つにもなるので、できるだけ管理してあげるようにしましょう。
年齢とともに気になる病気も増える
Q:そろそろ「シニア」と呼ばれる年齢に差し掛かるうちの猫、これから気を付けたい病気にはどんなものがありますか?
猫の成長は早く、1歳前後で成猫になったかと思えば8歳くらいから老化が始まると言われています。そして高齢になるにつれ、気を付けたい病気も増えてきます。
A1:高血圧は失明の危険もある
10歳以上になると高血圧の心配が出てきます。高血圧でなくとも、甲状腺機能亢進症などの症状がある場合は、高血圧につながる恐れがあるので治療が必要です。高血圧は放っておくと腎不全や失明といった状態になる可能性があり、大変危険です。早期発見できれば薬によってそれを免れることもできるので、定期的に病院で健康診断を受けるようにしましょう。病院によっては血圧の測定ができるところもあります。
A2:歯肉炎、歯周病になる可能性
若い頃はあまり歯石が気になることはなくても、年齢を重ねるごとにたまりやすくなるのは猫も人間と同じです。歯石は歯周病、歯肉炎の原因となり、口臭も生まれます。猫の歯周病は歯を失ったりするばかりではなく、血液を介して内臓疾患を生み出すこともあります。例えば心内膜炎などです。
歯石のつき方には差がありますが、特に缶詰のおかずや、人の食事を与えられている場合はつきやすい傾向があります。病気につながるリスクもあるため、定期的に歯磨きをしてあげましょう。できれば子猫のうちから始める方が慣れてくれますが、大人になってからでも始められます。最初は嫌がることが多いですが、優しく無理強いはせず短時間から始めましょう。根気よく続ければ慣れてくれるはずです。
歯磨きする際は猫用のハブラシ以外に、子ども用で柔らかいブラシを使っても構いません。歯磨き粉は必要ありませんが、慣れやすくするため猫好みの味がする猫用の歯磨き粉ペーストを使ってもOKです。
A3:雌猫の場合腫瘍にも注意
シニア期にさしかかった雌猫は、乳房やその周辺の乳腺に「しこり」が発生しやすくなります。猫の場合、乳腺にできた腫瘍の約90%は悪性と言われているので、見つけたら早く切除しなければなりません。ただし、1歳までに避妊手術を行った猫の場合、そのリスクも低下します。避妊手術は子宮蓄膿症などのリスクを軽減する効果も期待できるため、できれば早めに行っておく方が、健康で長生きできる確率が高くなります。
段から愛猫の体調をよ~く観察
コミュニケーションとともに異変がないかチェックしよう
猫は体に異常があっても私たちに気づかれないよう隠したがる傾向があります。そういう習性を理解した上で次のようなことを気遣ってあげましょう。
- 春夏秋冬、一年を通して時期ごとに気を付けたい病気や症状が異なる。その時期に合わせた体調管理をしてあげよう。
- 普段から体重管理をして体調の変化に早く気付けるようにしよう。もし部屋の隅っこで大人しくしているなど、いつもと違う様子がみられたら要注意。
- 年齢を重ねるにつれ、高血圧や歯周病など病気にかかる可能性がある。早期発見により治療ができれば大事に至らないことも多いが、放っておくと命に関わるリスクもあるので注意しよう。
我慢強い性格の猫だからこそ、何か異常がないかどうか私たちの方で常にチェックしてあげることが大切です。もしケガや病気をしていても、早く発見することができれば回復する可能性も高くなります。少しでも健康に、長生きしてくれるようサポートしてあげたいですね。