犬のご飯は「幼犬期」「成犬期」「老犬期」で異なります。ご飯の量は成長に合わせて調節しますが、「幼犬」と「成犬」との境目は何を目安にすればいいのでしょうか。今回は成犬用ごはんへ切り替えるタイミングや注意点などについてご紹介します。
少しずつシフトチェンジ
犬は繊細なので、いきなりご飯を変えると食べてくれなくなることもあります。成長に合わせて少しずつ中身を変えていくよう心がけましょう。
切り替えるタイミングは体重の変化を見計らって
成長とともに体も大きくなっていきますが、ご飯の中身を変えるタイミングは体重の動きが目安になります。
8カ月ごろから体重の増加がおさまったら切替時
犬の場合一般的に、8カ月~1歳くらいになると体重の増加がおさまることが多いです。その頃には大きさも成犬サイズになっているはずなので、それを目安にご飯の切り替えも行いましょう。ただし、いきなりご飯を変えると犬が食べてくれないこともあります。だから1週間くらいかけて、少しずつ成犬用ごはんの割合を増やして切り替えるようにしましょう。
成犬用ご飯の主流は?手作りしたいときは?
成犬用のごはんには、市販されている成犬用のドッグフードで構いません。主流はドライフードと呼ばれるカリカリした食感のタイプです。値段がお手ごろなのに加え、乾燥しているので使いやすく、密閉保存すれば比較的長持ちするところもメリットです。他にも、缶詰に入っていたり、レトルトパウチに入っているウェットタイプのものも人気です。ウェットタイプはより肉に近い食感に作られているので、いつもと食事に変化を与えたいときにもおすすめです。
ドッグフードは栄養バランスを考えて作られていて手軽です。しかし、添加物などのことを考えると、手作りのご飯をあげたいと思われるかもしれません。その場合注意したいのが味つけです。基本的に犬にとって人間の食べ物は塩分や脂肪分が多すぎて不向きです。そのため、味付けはせず野菜に火を通す程度でOKです。お肉であればささみなど、脂肪分の少ないものを使用するのがおすすめです。
成犬になれば1日2回が基本
子犬の頃はご飯を1日のうち数回に分けて食べさせますが、成犬になったら1日2回の回数で十分です。老犬期に入る頃には、また数回に分けた方がよくなりますが、それまで基本的には朝晩2回に抑えましょう。ご飯の量については、犬種や体型、運動量に応じて適宜調節します。適性体重を維持できるように、散歩などで運動させたり食事の量を調節して体重コントロールしてあげてください。
こんなご飯のあげ方に注意!
かわいい瞳に見つめられると、ついついもう少し、とご飯をあげたくなるものです。とはいえ、かわいがるのと甘やかすのは別。しっかりコントロールしましょう。
多少我慢させることが大切
食べっぱなしだと太ってしまうのは人間も犬も一緒。健康のためにも体重維持は大切です。
体の大きさに適したご飯の量を
成犬になれば子犬のときに比べて、体の機能も発達し食べる量も安定します。その分たくさんあげたくなったり、ほしがったりするかもしれません。ただ、犬にも大きさによって適度なご飯の量というのは決まっています。定期的に体重をはかったりして、太りすぎないようにしましょう。それが健康にもつながります。
おやつは「ごほうび」のときだけ
基本的にご飯をしっかり食べていればいいので、おやつは絶対必要なものではありません。遊んだりしつけをする中で、きちんとできたときのごほうびとして与え、日常的に与えるのは避けましょう。おやつの種類も、歯磨き効果のあるものや、チキン入りのもの、長時間嚙めるものなど豊富です。お店に行くとたくさん売っているので色々買ってあげたくなりますが、お気に入りのものを少しずつ与えるのがポイントです。
意味のない「マテ」はNG
ご飯をあげるとき、多くの人がしつけるために「マテ」をするのではないでしょうか。ところでその「マテ」ですが、ご飯のたびにしていませんか?「マテ」は本来、犬が危険な行動をしないように制止する目的のものです。覚えたあともご飯のたびに「マテ」をしていると、「ご飯のときだけマテをする」と犬が覚えてしまいます。そうすると、肝心なときに「マテ」ができなくなってしまうので注意しましょう。
犬にとっての「毒」となる食べ物
成犬になれば、ある程度体の機能の発達も落ち着き、色々食べさせられるようになります。そこで事故を防ぐためにも、犬に与えないよう注意したい食べ物も知っておきましょう。
人間にとって「おいしい」ものが「毒」になるかも
犬は人間とは違うので、人間が「栄養がありそう」と思うものが食べてはいけないものだったりします。そのため基本的には「人間の食べ物は与えない」ことが第一です。今回その中で特に気を付けたい食べ物をいくつかピックアップしました。
ネギ類、魚介類、肉の骨
タマネギやネギなどがよくないことは割と知られていることかもしれません。これは貧血の原因になりやすいからです。ネギ類そのものをあげなくても、スープなどにエキスが出ていることもあるので、うかつに与えないようにしましょう。魚介類については消化不良を起こしやすいことから避けた方が無難です。また、生の状態だとビタミンを破壊する原因になります。
フライドチキンなど、肉の骨は犬も喜びそうと思いますがこれもNG。骨を十分砕かず飲み込んだりすると、食道や腸に突き刺さったり胃壁を突き破る危険性があります。ほしがってもあげないようにしましょう。
脂肪分、塩分の多いもの、乳製品やカカオ類
人間用の牛乳は下痢を起こすことがあるので与えないように、と飼育本にもよく書かれています。牛乳をあげたいなら犬用のものを用意しましょう。それ以外にも、乳製品自体脂肪分や塩分が多く、高カロリーなのため犬にはよくありません。特に犬は汗で塩分を排出する力を持っていません。塩辛いものは避けた方が無難です。
また、チョコレートやココアといったカカオ製品も、下痢の原因になることがあります。場合によっては嘔吐や中毒症状を出すこともあるので気を付けましょう。
観葉植物、植木といったインテリアにも注意
室内に観葉植物を置かれていたり、庭に植木をされている場合はそこにも注意が必要です。何気なくおいているものが、実は犬が間違って嚙んだりすると中毒を起こすものという可能性があります。例えばポインセチア、シクラメン、アジサイ、ユリといったものや、ポトスやアイビーなどよく飾られる観葉植物にも中毒性があります。
さらにトマトやナスなどナス科の植物、サトイモ、アスパラガス、アサガオ、アロエなど私たちにとって身近なものに中毒性があることも多いです。中毒性が認められている植物は200種類以上と、ご紹介した植物以外にもまだまだ存在します。もし丸まってじっとしていたり、下痢や嘔吐、よだれが過剰に出ているといった状態が見られたらすぐにお医者さんへ連れて行ってあげてください。放っておくとひきつけやけいれんを起こすことがあります。
ひどい場合はまっすぐ歩けなくなったり、ぐったりして名前を呼んでも反応しなくなったりと緊急を要する事態を招くこともあります。外飼いにする場合は、植物が近くにない場所を選ぶようにしましょう。室内で飼う場合も、犬が間違って食べないように吊るすか、自由に出入りしない部屋におくなどの配慮が必要です。
体重が切替の目安
子犬用から成犬用へご飯を切り替えるタイミングは体重の様子が一つの目安になりそうです。様子を見て徐々にご飯を切り替えていきましょう。
大人になったからといってあげすぎないことがポイント
体は大きくなっても、基本的に人間の食べ物は犬にとってよくないことが多いです。中毒を起こすものもあるので、ほしそうにしてもあげないことをおすすめします。もし手作りでご飯を作ってあげる場合も、味付けはせず火を通すくらいが無難です。食べ過ぎは肥満犬になる元、かわいいですが上手にコントロールして健康管理をしてあげましょう。