犬にとっては、遊びも勉強の一つ。遊びを通して学ぶことがたくさんあります。子犬のときだけでなく、成犬になってからも大切な要素です。ぜひその時期に合わせた遊び方、そしておもちゃを使ってたくさん遊んであげましょう。
遊びも最初が肝心!
子犬の頃からしっかり遊んであげることは、社会性を身に着ける上でもとっても大事。遊びを通してコミュニケーションをとることで、自然と絆も深まっていきます。
ポイントを押さえて遊ぼう
ただ遊ぶだけでは犬にとって勉強にはなりません。いくつかのポイントを押さえて遊ぶよう心がけてみてください。
主導権は飼い主が持つ
遊びを始めるのも終わるのも、主導権は飼い主である私たちが持つようにしましょう。その時、気を付けたいのは、時間をちゃんと区切ることです。犬に付き合って、ダラダラと長時間遊ぶのもよくありません。1回の遊びは10~15分と短時間で十分です。
犬にとっては、1回の遊び時間を長くするより毎日遊んであげる方が重要です。そしてこちらが遊びの主導権を握ることで、もともと順位付けをする性質がある犬の方も、「楽しい時間を作ってくれるのは飼い主」と認識してくれるようになります。
おもちゃを使ってしつけも同時に行う
遊ぶときはおもちゃを使うと効果的です。コミュニケーションも取りやすいし、おもちゃを使ってしつけも同時に行うことが可能です。おもちゃは成長に応じて、使うものを変えていきましょう。また、いつも同じものではなく色んなおもちゃを使って遊ぶことが、飽きさせないようにするポイントです。
おもちゃの中には知育を目的としたものもあるので、そうしたものを使って楽しく学べるような環境を作ってあげましょう。
ストレス発散ができるようにする
遊びの目的の一つは、犬のストレスを発散させてあげることです。遊んでいる間は、思いっきり楽しませてストレス解消できるよう工夫しましょう。
犬の成長に合わせて遊びも成長させよう
犬の成長は早く、来たときは子犬でも1年も経てばすっかり大人になります。そのため遊びも成長に合わせて目的やポイントを変えるよう工夫することが必要です。
成犬になれば子犬の頃とは違う遊び方をしよう
犬の成長は、「幼犬期」「成犬期」「老犬期」と3つに分けられることができます。それぞれの時期に合わせて、遊び方も変えることがポイントです。
子犬の時期は社会性を身に着けるチャンス
子犬の時期、特に生後3週間から3カ月くらいは特に順応性が高く社会性を身に着けるのに適している時期と言われています。そのため、この時期は遊びを通して相手との力関係を学習させたり、嚙むときの力加減を覚えさせる必要があります。例えば、引っ張り合って遊んだり、おもちゃを使ってかじらせる遊びなどを取り入れることが効果的です。
成犬の時期は本能を満たしてあげられるような遊びを
子犬のときにきちんと社会性を身に着けられたら、成犬になってからは犬の持つ狩猟本能を満たしてあげられるような遊びをしましょう。例えば、ボールを投げて追いかけるなど、能力を活かしたアクティブな動きをする遊びがおすすめです。
老犬期に入ればゆったりとした時間を
年を重ねていくほどに、犬も次第に若い頃ほど動くことは少なくなっていきます。こちらもそれに合わせて、体を使った遊びからゆったり触れ合う遊びへと変えていきましょう。体は動かさなくても、スキンシップを取るだけで犬も精神的な満足を得られます。
こんなおもちゃを用意しておこう
犬のおもちゃは多種多様、目的や犬の気分に合わせられるよう、いくつかのおもちゃを用意しておきましょう。
代表的なおもちゃは3種類
おもちゃの形やデザインはたくさんありますが、今回は代表的な3種類とその選び方のポイントをご紹介します。
ぬいぐるみや木のおもちゃ
子犬の時期からあるとおすすめなものが、ぬいぐるみなどの人形や木のおもちゃです。かじったり、くわえたり、振り回したりと犬が一人のときでも遊べて便利です。嚙んで遊ぶことにより、力加減を学ぶのに効果的です。中には嚙むと音が出るおもちゃもあります。ゴム製のものに多く見られますが、音が鳴ることでさらに喜んでくれます。
ぬいぐるみなら、遊ばないときも寄り添って眠ったりと、安心材料の一つになります。ぜひ早い段階から与えてあげましょう。選ぶときのポイントは、嚙んだりかじったりすると砕けてしまうものや硬いものは避けることです。歯を傷めたり、飲み込んでしまう危険性があります。木製のものであれば、口に入っても大丈夫な素材を選ぶことが大切です。
また、歯の生え変わりの時期はプラスチックなどの硬いものを嚙ませると、永久歯の生え方がおかしくなることがあります。その時期は硬いものは避け、嚙むと食い込むくらいの硬さのおもちゃで遊ばせるよう注意しましょう。さらに、布素材のぬいぐるみでも、ボタンがついていればあらかじめ取り外しておいてください。
ぬいぐるみなどのおもちゃも、一つだけでなく、色んな形のものをいくつか用意してあげましょう。そうすれば犬の方も気分に合わせてお気に入りのおもちゃで遊べます。
ロープはコミュニケーションと学習に効果的
犬は「引っ張り合い」が大好きです。一説には野生時代の名残とも言われていますが、ロープを使うと夢中で遊んでくれる子が多くいます。どんなロープでも構いませんが、タオル地や繊維でできたものがおすすめです。そうすれば、ロープを嚙むことによって自然と歯石や歯垢を落とすことにもつながります。
また、特に幼犬期には、ロープを取り入れることで乳歯から永久歯への生え変わりをスムーズに促進する効果も期待できます。そのとき、もし出血があったとしても、繊維でできたものであれば血を吸い取ってくれて安心です。ロープに歯人形つきのものも売られています。ボロボロになったら取り換え時ですが、それがもったいない、と思う人は使い古しのタオルを代用してもOKです。
ただし「タオル=おもちゃ」と思われないよう、与えるときはあらかじめぐるぐるねじって両端を止めておくことをおすすめします。ロープを動かすときのポイントは、左右に動かしたりして犬をワクワクさせてあげることです。
手軽にじゃれ合うことができ、コミュニケーションにもピッタリです。一度夢中になると興奮状態になってしまうこともあります。そうなったら一度休憩して落ち着かせてあげましょう。そうしてテンションを上げたり落ち着かせたり、こちらが様子を見てコントロールすることによって、犬自身も学習することができます。
運動不足解消にはボールが効果的
犬の本能として「獲物を追いかける」という習性があります。それを満たすのに効果的な遊びがボールを使ったものです。よく公園などで、ボールを投げて取ってこさせるという遊びを見かけますよね。あのようにボールを追いかけて走る、飛びつくという行動は、犬としての本能を発揮し、満足感を得るのにとても大切なことです。
ボールを使った遊びで「こちらが投げたものを取ってきて渡す」というトレーニングができれば、いろんな場面で役立ちます。犬にとっては楽しみながら学習をすることができ、理想的です。また、大型犬の場合は体が大きい分運動量もたくさん必要です。ボール遊びはその意味でも適した遊びと考えられます。
ボールを選ぶときは、大きすぎてくわえられないほどではなく、小さすぎて誤飲することもない大きさのものが適しています。素材は犬によって好みが分かれますので、いくつか用意しておくと安心です。
「楽しく学習」が大事なポイント
基本のしつけでもそうですが、犬にとって一度嫌なことがあると、それについて悪いイメージしかなくなってしまいます。そのため、遊びでも犬にとって「楽しい」と思ってもらえることが第一。楽しいと思ってもらえる気持ちを上手に利用してしつけや成長に役立てていきましょう。
上手にコントロールしながら絆を深めよう
遊ぶときは犬の方に主導権があると思わせてはいけません。メリハリをつけて、こちらがコントロールしつつ上手にストレスを発散させてあげましょう。また、おもちゃは犬の成長に合わせ、一つではなくいくつか用意して飽きさせないことが大切です。使い古しのタオルなど、代用できるものがあれば利用するのも一つの方法です。遊びを通して犬にも満足させつつ、コミュニケーションを取ることで絆も深めていきましょう。