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猫のワクチン接種の種類

見つめる猫

猫に健康で長生きをしてもらうためには、ワクチン接種も大切な予防策の一つです。猫の病気は、細菌や寄生虫などの病原菌が原因となります。中でも特に厄介なのは、薬では直接殺せないウイルスです。

そのため、ウイルスを退治するには、ワクチン接種によって、体の中に免疫抗体をつくる必要があります。そうすれば、もし感染しても軽い症状ですむ可能性が高くなるからです。死亡率の高い病気も、ワクチン接種をしておくことで、ある程度の予防や重症になるのを防ぐ効果が期待できます。

猫のワクチン接種には、いくつかの種類があり、通常はいくつかのワクチンを混ぜ合わせてある「混合ワクチン」を接種します。今回は、猫が予防できるワクチンの種類や、一般的な組み合わせについてご紹介します。

猫がワクチン接種できる感染症の種類

それぞれの病気の症状や感染経路について

まずは、猫のワクチンは、どのような感染症を防げるのか見ていきましょう。現在のところ、ワクチン予防接種が可能な病気は、次の6つとなっています。

猫汎白血球減少症

猫汎白血球減少症は、猫伝染性腸炎ともいわれ、感染後数日で症状が表れるのが特徴です。具体的な身体症状は、発熱、食欲減退、嘔吐、下痢、脱水症状などです。死亡率が高く、手遅れになりやすい病気なので、特に注意が必要です。子猫の場合は、1日が命取りになる危険性もあります。

主な感染経路は、すでに感染した猫に舐められるなどの接触によるものです。他にも、尿、便、嘔吐物などからも感染する可能性があります。また、感染した猫が使っている、トイレや食器の共有も、感染リスクが高く危険です。

猫カリシウイルス感染症

猫ウイルス性呼吸器感染症の一つで、くしゃみや鼻水、目ヤニ、発熱といった、風邪のような症状が出るのが特徴です。他にも結膜炎や口内炎ができることもあります。感染から肺炎を引き起こすと、命に関わることもあり、危険です。

感染経路は、すでに感染した猫のくしゃみの飛沫や唾液が原因になります。また、猫ウイルス性鼻気管支炎と混合感染することもあります。

猫ウイルス性鼻気管支炎

猫カリシウイルス感染症と同じ、猫ウイルス性呼吸器感染症の一つです。症状や感染経路については、猫カリシウイルス感染症とほぼ同じ、くしゃみや鼻水、目ヤニ、発熱、食欲不振などの症状が見られます。

悪化すると、脱水症状を引き起こして衰弱し、命に関わるリスクもあります。特に体の弱い子猫やシニア猫、さらにすでに体調不良で体力が低下している猫の場合は、注意が必要です。

猫白血病ウイルス感染症

猫白血病ウイルス感染症は、食欲不振、貧血、体重減少、口内炎、下痢、リンパ節の腫れなどの症状が起こるのが一般的です。妊娠している雌猫の場合は、流産のリスクもあります。感染経路は、すでに感染した猫に舐められたり、噛みつかれた場合の他、母子感染によってうつるケースもあります。

また、症状が落ち着いても、ウイルスが体内に残っていると、何かのきっかけで活性化し、「リンパ腫」や「腎臓病」、「白血球減少症」などを引き起こすことがある、厄介な病気です。

猫免疫不全ウイルス感染症

猫エイズとも呼ばれる、免疫機能の低下を引き起こす病気です。感染した場合、初期症状には発熱、下痢、リンパ節の腫れなどの症状が見られ、程度は比較的軽いことがほとんどです。その後、潜伏期間として、数年は症状が出ないことも特徴の一つです。

数年たち、発症すると、口内炎や鼻炎、皮膚病など、さまざまな慢性症状が起こります。そして、免疫不全症候群となり、衰弱し、最終的には死に至る病気です。感染経路は、すでに感染した猫との交尾、あるいはケンカによるかみ傷がもとで感染します。

猫クラミジア感染症

「クラミドフィラフェリス」と呼ばれる病気で、猫ウイルス性呼吸器感染症に似た、風邪のような症状(くしゃみ、鼻水、発熱など)や、結膜炎、角膜炎などの症状が起こります。他のウイルスや、細菌と混合感染し、症状が重くなりやすいので注意が必要です。感染経路として多いのは、すでに感染した猫の目ヤニ、よだれ、鼻水、便などとの接触によるものです。

命に関わるような重篤な症状に陥ることは少ない病気ですが、人にうつる可能性もあるので、注意しなければならないことには変わりありません。

一般的な混合ワクチンの種類と値段とは?

かかりつけの獣医と相談しながら決めよう

猫のワクチン接種では、いくつかの種類を混ぜ合わせた、混合ワクチンの接種が一般的です。ワクチン代も、何種類の混合ワクチンかによって変わってきます。また、より多くの種類のワクチンを打てば、安心感は高まるものの、猫によってはアレルギー反応や副作用を起こすなど、負担が大きい場合もあります。

そのため、何種類の混合ワクチンをうつかは、かかりつけの獣医と相談することが大切です。デメリットも頭に入れた上で、混合ワクチンの種類ごとに予防できる病気と、平均的な料金についてみていきましょう。

3種混合ワクチン

3種混合ワクチンは、別名「コアワクチン」と呼ばれ、猫を飼う上で最低限必要な、厳選されたワクチンとして認知されています。3種類には、次の感染症のワクチンが含まれています。

  • 猫汎白血球減少症
  • 猫カリシウイルス感染症
  • 猫ウイルス性鼻気管支炎

料金は、一般的に4,000~6,000円に設定している病院が多いようです。猫カリシウイルス感染症については、ウイルスのタイプがいくつか分かれますが、そのうちの1つを予防することができます。

3種混合ワクチンは、合わせられているワクチンの数が少ないことで、猫自身の体の負担も少なくすむのがメリットの一つです。そのため、比較的多くの飼い主や、ペットショップで行われるワクチン接種では、選ばれることが多い種類のワクチンです。

4種混合ワクチン

4種混合ワクチンは、3種混合ワクチンに「猫白血病ウイルス感染症」を追加したワクチンのことです。料金は一般的に5,000~7,000円程度で受けられます。

注意したいのは、猫白血病ウイルス感染症のワクチンは、8割近く病気を防ぐ効果がある反面、副作用の心配があることです。

5種混合ワクチン

5種混合ワクチンは、4種混合ワクチンにさらに「猫クラミジア感染症」のワクチンを追加したものです。料金は5,500~7,500円ほどです。

7種混合ワクチン

5種混合ワクチンに加えて、猫カリシウイルス感染症の2つのタイプを追加したワクチンが、7種混合ワクチンです。猫カリシウイルス感染症は、ウイルスのタイプが多く、3種混合ワクチンではそのうち1種類にしか対応できませんが、7種混合ワクチンであればプラス2種類に対応できるということです。料金は7,500~8,000円くらいが平均的です。

単体ワクチン

猫免疫不全ウイルス感染症については、現在のところ単体でしか接種できないことになっています。そのため、猫免疫不全ウイルス感染症と、混合ワクチンとを組み合わせて接種することになります。

また、猫の体を考えて、ひとまず最低限の3種類だけをワクチン接種し、その後必要なワクチンを単体で追加するという選択肢もあります。さらに、アレルギー反応が心配であれば、不活性ワクチンを使用してもらうという方法もあります。

猫にワクチンを打つ時期について

猫の生育状況と合わせて、ベストな時期を見計らおう

最後に、ワクチンを打つ時期についてもご紹介します。ただし、ワクチンの接種時期は、厳密に決まっているものではないので、かかりつけの獣医と相談して決めるのがベストです。

母乳を飲んで育った猫の場合

母乳を飲んで育った子猫の場合は、ある程度体内に抗体がある状態が続きます。そのため、初めてのワクチン接種のタイミングは、一般的に生後8週以降にするのが一般的です。

母乳を飲まずに育った猫の場合

母乳を飲まずに育った子猫の場合は、体内に抗体がない状態なので、初めてのワクチン接種のタイミングは生後4週ごろからといわれています。

猫がワクチン接種できる病気は6種類

それぞれの混合ワクチンを上手に活用して猫の健康を守ろう

現在、猫がワクチンで予防できる病気は6種類あり、ワクチン接種では、そのうちのいくつかを組み合わせた混合ワクチンを打つことが主流です。ただし、猫免疫不全ウイルス感染症だけは単体で打つことになるのと、猫カリシウイルス感染症は、ウイルスの種類が多いため、いくつかを選択して打つことになります。

混合ワクチンは、種類が多いほど予防できる病気の数も多くなります。ですが、その分猫にとっては体の負担が重くなり、場合によってはアレルギー反応や副作用を起こす可能性があります。

また、ワクチンを打ったからといって、100%確実に病気にならないわけではありません。そのため、どのワクチンを接種するかについては、猫の体調を考慮し、獣医ともよく相談して決めるのがベストといえます。

猫のワクチン接種の種類について

  • ワクチン接種で予防できる猫の病気は6種類。
  • ワクチンは、3種類から7種類まである混合ワクチンから選んで打つのが一般的。ただし猫免疫不全ウイルス感染症は単体で接種することになる。
  • 混合ワクチンの種類が多い方が予防できる病気の数は増えるものの、その分アレルギー反応や副作用に注意が必要。
  • どのワクチンを接種するか、時期も含めてかかりつけの獣医とよく相談して決めることが大切。

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