猫が健康で長生きできるように、飼い主も安全なキャットフードを選んであげたいですよね。今回はキャットフードにどのような種類があるか、選ぶ際に気を付けたいポイントなどについてご紹介します。
キャットフードを選ぶ前に猫が必要とする栄養分を知っておこう
人間の味覚とは違うことを意識しよう
キャットフードについて見ていく前に、まず猫がどんな栄養を必要とする動物かをご紹介します。
人と猫とはほしい栄養が違う
猫の必要とする栄養を人と比べてみた場合、次のような違いがあります。
- 人よりも多くのたんぱく質と脂質が必要
- 人よりも塩分はいらない
- 人と違って炭水化物や甘いものは必要なし
猫は肉食動物なので、人よりも多くのたんぱく質や、脂質が必要です。また、人よりも塩分は少なくて構いません。そのため、猫用のご飯は、人が食べると「味気ない」と思うくらいの味付けで十分なのです。
人間の食べ物は猫に合わない
猫がほしい栄養素は、人とまったく異なるため、人間用のご飯をほしがっても、与えない方が無難です。人が食べるご飯は猫には塩分が強すぎるため、病気の原因になりやすいからです。
猫の好きな「甘いもの」
和菓子などを食べていると、猫が寄ってくることがあります。どうやら寄ってくるのは、砂糖のニオイにひかれているわけではなく、あずきに含まれる「アミノ酸の甘味」に反応しているからだそうです。アミノ酸は、カニやエビなどにも多く含まれるので、好んで食べる猫が多くいます。ただし与えるときは、しょうゆなど余計な塩分を摂らせないよう注意しましょう。
キャットフードの種類と選ぶポイント
表示名を確認して猫に合うものを選ぼう
キャットフードにはいくつか種類があり、それぞれ役割が異なります。猫の状態に合わせ、それぞれに合ったものを選ぶことが、猫の健康を守るために大切です。
キャットフードの種類
一般的には、キャットフードは次のような種類に分けられます。
表示名 | 役割 |
総合栄養食 | 猫に必要な栄養がバランスよく配合されたキャットフード。基本的には水と総合栄養食があればOK。ドライフードタイプ全般と、缶詰の一部が該当する。 |
一般食 | 猫に必要な栄養が一定基準満たされたキャットフード。一般食だけでは栄養バランスが偏るため、総合栄養食と合わせて使用する。缶詰の多くやレトルトタイプが該当する。 |
療法食 | あらかじめ栄養成分が調整された、特定の病気に対する食事療法のためのキャットフード。 |
この他にも、ジャーキーやチーズといった間食用のおやつや、栄養補助食などがあります。さらに、それぞれ年齢別や体重別に分けられていることもあります。通常は、猫に何かトラブルがなければ、総合栄養食を与えればOKです。猫の年齢に応じて、見合ったものを与えるようにしましょう。
猫の健康やダイエットにはウェットフードがおすすめ
キャットフードは主に、ドライフードとウェットフードとに分かれます。総合栄養食の場合、ほとんどがドライフードですが、より本来の食生活に近づけたいのであれば、ウェットフードの方が効果的です。猫は野生時代に生肉を食べていましたが、生肉には適度な水分が含まれているからです。
猫は元々水分摂取量が少なく、腎臓病や尿路結石などの泌尿器系の病気にかかりやすい動物です。ウェットフードにすれば、自然と水分量を増やせるので、症状の改善も期待できます。さらに、ウェットフードの方がドライフードに比べてカロリーが少なく、ダイエット中でも量を食べられます。体重を落としたいけれど、満腹感も与えたいときにはウェットフードは効果的です。ドライフードと上手に使い分けることがポイントになりますね。
より質を求めるなら「プレミアムフード」を
総合栄養食の中には、「プレミアムフード」と呼ばれる種類があります。プレミアムフードは一般的に、合成保存料や添加物を使用していないものや、より安全性の高い原材料を使用するなど、ワンランク上の質を求めたキャットフードのことを指します。猫が安全に食べられるものや、健康的な生活を送られるようにしたい、と考えるなら、プレミアムフードを検討するのも一つです。
価格は通常より高めですが、猫によってはプレミアムフードに変えることで、下痢などの体質が改善されることもあります。ただし、もちろんプレミアムフードを食べさせていれば猫が病気にならない、長生きできる、というわけではないのでご注意を。
肉食の猫にキャットフードの炭水化物は不要?
猫は肉食、というのは先にお伝えした通りですが、ほとんどのキャットフードを見ると、小麦やトウモロコシなど、炭水化物になるようなものが含まれています。本来なら、猫は炭水化物を摂らなくてもいい動物です。そのため、炭水化物が含まれていると健康に悪いのでは?と考えられる方もいるかもしれません。ですが、現在のところ、小麦やトウモロコシなどが含まれることが、猫の肥満や病気に直接関係している、と証明はされていません。
それでも心配、という人には、「グレインフリーフード」をおすすめします。グレインフリーは、その名の通り、小麦やトウモロコシなどの「穀物を含まない」キャットフードのことです。一般的なキャットフードが悪い、というわけではないですが、グレインフリーにすることで、猫にとっては、より本来の食生活に近い、栄養バランスを整える効果が期待できる可能性はあります。
安全なキャットフードを見分けるコツ
原材料をよく確認しよう
キャットフードを選ぶ際、種類を確認するだけでは、たくさんの商品の中から安全なものを見分けることは困難です。そこで、種類をチェックすると同時に、原材料もチェックしてみてください。そして、次のポイントに当てはまるキャットフードは、避けた方が無難です。
低品質な原材料が入っているものは避けよう
キャットフードは多くのメーカーから販売されていますが、中には低品質な原材料が使われていることがあります。注意してチェックしたいのは、「4Dミート」が使われていないかということです。「4Dミート」とは、病気や死にかけている動物、あるいは死んだ動物の肉のことを言います。人間の食べ物としてなら、廃棄されるものなので出回ることはないはずですが、猫のごはんとしては、安く仕入れられてコストが抑えられるため、入れられていることがあります。
「4Dミート」が人間の食べ物として出回らないのは、安全性が確認できないからです。だから、キャットフードに入っている場合も、猫が栄養失調になったり、アレルギーが出るなど病気を引き起こすことがあったり、毛ツヤが悪くなる、口臭が強くなるなどの危険性があります。ちなみに、「4Dミート」が入っているキャットフードの多くは、次のような表示がされています。
- ミートミール
- 肉の副産物
- 家畜ミール
- マグロミール
- 家畜副産物粉
添加物や保存料がたくさん入っているものは避けよう
キャットフードの賞味期限を見て、「思ったより長持ちする」と思われたことはありませんか?長持ちする理由としては、防腐剤などの添加物が入っている可能性があります。しかもキャットフードには、次のような危険な添加物が入っていることがあります。
名称 | リスク |
エトキシン | 防腐剤の役割がある反面、ベトナム戦争で使われ、出産異常や奇形児の原因となった、枯葉剤の成分という側面がある。 |
BHA(ブチルヒドロキシアニソール) | 発がんリスクがある物質、内分泌かく乱を起こす「環境ホルモン」と言われている。 |
BHT(ジブチルヒドロキシトルエン) | 酸化防止剤になる反面、発がんリスクや胎児の先天性異常を招く可能性がある物質の一つと言われている。 |
注意したいのは、エトキシンは表記義務がないことです。そのため、「エトキシンは使用していません」という表記のあるものを選ぶのがベストです。また、価格があまりにも安い場合は、危険な添加物が入っている可能性も高くなります。なるべく同じ添加物でも、ハーブや天然由来のビタミンなど、自然派の添加物が入っているものを選ぶようにしましょう。
表示がしっかりされていないものは避けよう
キャットフードの中には、原材料の表示がはっきり書かれていないものや、賞味期限が正確に表記されていないケースがあります。しっかりと丁寧な表示がされていないものは、トラブルの元にもなりやすいので、避けるようにしましょう。
キャットフードの基本は総合栄養食を選ぼう
猫の状態に合わせて安心できるものを見つけよう
猫は人と違う味覚を持つ動物ですが、キャットフードのうち総合栄養食は、水と一緒に与えるだけで、猫に必要な栄養をバランスよく摂ることができます。猫が元気な状態なら、年齢に合わせて総合栄養食と書かれたキャットフードを選びましょう。ドライフードであれば、ほとんどが総合栄養食と考えられます。ただし、ダイエットをしたい場合などは、況に合わせてウェットフードを与えたり、他の一般食などと調整して利用する方がいい場合もあります。
安全なキャットフードを見分けるポイントは、原材料です。表示を見て、低品質な材料や、危険な添加物が含まれていないかをチェックしてみてください。さらに、より猫の健康を高めたいと思ったら、プレミアムフードやグレインフリーのキャットフードを選ぶのも、有効な手段といえます。
猫の味覚と、猫の安全と健康を守るキャットフードの選び方とは
- 猫の味覚は人と違うので、人の食べるものは猫に与えない方が無難。
- キャットフードにはいくつか種類があるが、猫の健康に問題なければ総合栄養食と水でOK。猫の年齢や状態に合うものを選ぼう。
- 総合栄養食はドライフードが大半だが、ダイエットをする場合はウェットフードも適宜すると効果的。
- より猫の健康や安全を考えたい場合は、プレミアムフードやグレインフリーといった種類のキャットフードを検討するのも一つの手。
- キャットフードを購入するときは、原材料に低品質な材料や、危険な添加物が入っていないか、じっくり確認しよう。