猫は比較的トイレを覚えるのが早いですが、ある日突然、粗相をするようになることがあります。トイレトラブルの原因として、ストレスが関係することが多くあります。今回はどのようなストレスがトイレトラブルの原因になりやすいかご紹介します。
猫のトイレトラブルが起こる原因
健康や物理的な問題がなければストレスを疑おう
今まで問題なかったのに、いきなり猫が粗相をするようになったら、何か原因があるはずです。怒るのではなく、原因を見つけて取り除いてあげることが大切です。猫が粗相をするのには、トイレが汚いといった物理的なことや、ケガや病気などの健康面で問題がある以外に、ストレスで起こることがあります。特に問題が見当たらないときは、「ストレスかも」と疑ってみましょう。
猫がストレスに感じることは?
猫は意外と繊細な性格であることが多く、飼い主が気が付かない間にストレスをためていることもあります。まずは生活環境からストレスの原因がないか、チェックしてみましょう。
- 多頭飼いをしている
- 最近模様替えか、引越しをした
- 猫にとって見知らぬ来客が来た
- 周囲の音が気になる
猫は基本的に単独で行動する動物なので、多頭飼いで自分一人になれる場所がないとストレスを感じる猫もいます。同様に、模様替えや引っ越しで環境がガラッと変わると、変化についていけずストレスになる場合もあります。さらに、来客など猫にとって知らない人が家に来ることは、自分のテリトリーに侵入されたように感じることもあります。
また、周囲の音が気になって、猫がトイレを使えなくなっている可能性もあります。猫にとって無防備になるトイレは、「邪魔されず、落ち着いて使える場所」でなければなりません。ですが、例えば家の周りを工事していて常に物音がしていたりすると、ストレスになり、使用しなくなる可能性があります。特に、トイレに入っている最中に大きな物音がすると、「嫌な記憶」としてトラウマになり、トイレを使わなくなる可能性が高くなります。
飼い主の行動がストレスになることもある
生活環境と通じるものとして、飼い主のちょっとした行動が猫のストレスに繋がるケースもあります。
- 飼い主がイライラしている
- しつこく猫を触る
猫は人間の気持ちに敏感で、ある程度、飼い主の感情を理解できる動物と言われています。そのため、飼い主がイライラしたり、ネガティブなオーラを出していると、猫にも伝染する可能性があります。また、猫が嫌がっているのに無理に構おうとすることが、ストレスになることもあります。
こんな行動を取るときもストレスの可能性あり
他にも、次のような行動が見られる場合は、何らかのストレスを感じている可能性が高いです。
- 去勢手術をしたのにおしっこスプレーをする
- 攻撃的になった
- 極端に臆病になった
- よく鳴くようになった
- 気が付けば毛づくろいをずっとしている
- 食欲があまりない
- 毛布などをよく嚙む
トイレトラブル防止はストレスをなくすことが第一
猫が落ち着ける環境に戻してあげよう
トイレトラブルが起こった時、ストレスになりそうな原因がひとつでも見つかれば、まずは思い当たる原因を取り除いてあげることが重要です。猫が落ち着ける環境に戻れば、トイレトラブルも少なくなります。
猫が1人になれる環境を作る
多頭飼いをしている場合、成長や加齢とともに、最初は仲が良かった猫と合わなくなることがあります。もし去勢手術をしたのにおしっこスプレーをするようであれば、恐らく猫同士の関係悪化が問題と考えられます。解決策としては、ストレスを感じていると思われる猫だけ、専用のゲージを用意してあげる方法があります。
ゲージの中に、トイレもご飯のスペースも作って、1人になれる環境を作ってあげましょう。そうすると安心し、徐々にストレスが和らぎます。ただ、もしかしたら関係が改善し、元通り仲良くなるかもしれないので、ゲージの扉は解放しておき、猫が自由に出入りできるようにしておく方がベターです。放っておくと膀胱炎を起こすなど、病気の原因にもなり得るので、早めに対処するようにしましょう。
静かな場所を探す
外で工事をしている場合は難しいかもしれませんが、物音が気になってストレスを感じているようであれば、なるべく家の中でも静かな場所へ、トイレを移動してあげましょう。ただ、猫のトイレは、健康チェックをする上でも大切なことなので、なるべく飼い主の目の届きやすい場所を選ぶことも大事です。他にも、猫がトイレに入ろうとしていると感じたら静かにして、なるべく落ち着ける環境を整えてあげてください。
また、もし部屋の模様替えをしたり、引っ越したことが原因でトイレを使わなくなったようであれば、元の環境に近い状態に戻すことも、ストレスを取り除くことにつながります。さらに、猫がトイレ自体に嫌悪感やストレスを感じている場合は、猫砂を変えたり、思い切ってトイレごと新しいものに変えて、トイレのイメージを刷新するのも改善策です。
猫の前ではなるべくおおらかな気持ちでいよう
猫は飼い主の気持ちに敏感なので、なるべく猫の前ではおおらかな気持ちでいることを心がけましょう。トイレを失敗すると、イライラして怒ってしまいがちです。ですが、猫は「なぜ怒られているのか」ほとんどの場合は理解できません。むしろ、飼い主が怒って「イライラしている」ことがストレスになる場合があります。
寝ているときはそっとしておこう
猫は気まぐれで、全く構ってもらえないとストレスになりますが、しつこく構われることもストレスになる、ちょっと困った性格です。難しいですが、飼い主としては疲れていても、猫の方から寄ってくるときは構ってあげて、猫が寝ているときまでは構わないようにと、猫に合わせたバランスを大事にしてあげましょう。
トイレトラブルの対応策
ストレスの原因を見つけると同時に予防しよう
もしトイレトラブルの原因がストレスにあるなら、原因を見つけて取り除くことと同時に、同じ失敗をさせないよう飼い主の方で予防策を取りましょう。
トイレの気配を感じ取る
ストレスの原因を取り除いても、猫は、一度粗相をした場所を覚えています。そこで、まずはトイレをしそうな気配を感じたら、すばやく飼い主自ら猫をトイレに連れていきましょう。寝起きや食後はトイレに行きやすいので、特に注意して観察します。
粗相をした場所のニオイを取る
猫が粗相をした場所を覚えているのは、自分のニオイがするからです。だからなるべく粗相をしたあと部分のニオイを取り去るようにしましょう。
ニオイが取りきれなければ立ち入り禁止にする
じゅうたんなど、場所によってはニオイが取りきれないこともあります。完璧に消臭するのが難しい場合は、猫が立ち入れないようにガードをしましょう。例えばアルミホイルや、粘着テープを貼っておくと猫は嫌がって入りません。
猫のトイレトラブルは原因を見つけることが第一
ちょっとしたことが猫にとっては大きなストレス
猫は人間が思うよりも繊細な性格です。人間からすれば大したことない問題も、猫にとっては大きなストレスとなり、トイレトラブルを引き起こすことがあります。放っておくと家の環境悪化だけでなく、猫自身が病気につながる恐れもあるので、早めに対処することが大切です。また、原因を見つけて対処するのと同時に、同じ場所で粗相をされないよう飼い主としても予防策をとりましょう。
猫のストレスを取り除くことがトイレトラブルを防ぐコツ
- 猫が粗相をしたとき、トイレが汚いという物理的な問題や、ケガや病気など健康面に問題が見当たらない場合は、ストレスを疑おう。
- 多頭飼いがストレスになったり、生活環境の変化、飼い主のイライラなどに猫は敏感に反応してストレスをためることがある。
- トイレトラブルになりそうな原因に心当たりがあれば、取り除くことが第一。多頭飼いの場合は、1人になれるスペースを用意したり、トイレを静かな場所にするなど落ち着ける環境を整えよう。
- 飼い主としても、同じ場所で粗相をされないよう立ち入り禁止にしたり、猫の前ではなるべくおおらかな気持ちでいることが大事。