犬のしつけは仲良く暮らす上で必須ですが、なかなかうまくいかないこともありますよね。今回は問題行動を起こしたときに気を付けたいことや、試してみたい対処方法をいくつかご紹介します。
犬の問題行動解決の基本
犬との暮らしの中で色んなことがありますが、何か問題行動を起こしたとき、こちら側が取るべき行動は基本的にどのような場合でも同じです。
その行動には原因があるはず
犬だって意味もなく行動することは少ないはずです。だから次のようなポイントに沿ってこちらも辛抱強く、愛情を持って向き合うようにしましょう。
行動の原因を見つけてなくす
問題行動で悩んだときは、まずどうしてそういう行動をとるのか、という原因を探りましょう。きっと何らかの理由があるはずです。そして、その原因を見つけたら、何らかの形でなくしてあげるようにしましょう。例えば、外を歩く人に反応して吠えるようであれば、カーテンを閉めて見えなくするなどの対応ができます。そうすることで徐々に慣れていくこともあります。
構わない、叱らない
犬が何か行動したとき、ついつい構ったり怒ったりしていませんか?例えば吠え癖のある犬に「うるさい!」と言ってしまったり、いたずらをして怒ったり・・・実はこうした行為は逆効果になる場合があります。犬にとっては、怒られたことを「飼い主が反応してくれた!」と理解し、嬉しくなったり味をしめたりする可能性があるからです。飼い主が反応する、ということが犬にとっては何より大切なのです。
そのため、何かいけないことをする、あるいはしたときは構わず、叱らないことが一番です。吠えても飼い主が無視したり、黙って片付けたりすることで「変だな」と犬に思わせ、「いけないこと」と認識させるのに効果が生まれます。
いいことをしたときは、すかさずほめる
悪いことをしたときは態度に出してはいけませんが、「いいこと」をしたら思いっきりほめてあげましょう。そのときはオーバーなくらい喜んでほめてあげてください。そうすることにより、犬もそれを理解してくれます。ただし、ほめるのは時間が経ってからでは意味がありません。それだと犬にしてみたら「なんでほめられているの?」と分からないからです。良い行いをしたときは、すかさずその瞬間にほめるのが鉄則です。ほめればほめるほど、犬もいい子になるはずです。
興奮状態の犬への対処方法
問題行動の一つに、犬の興奮状態があります。何かの拍子にスイッチが入ってしまい、それによって困る方がたくさんいます。
落ち着いて対処するのが第一
犬が興奮したり、いきなりテンションが高くなることに慣れていないと、びっくりしたり、どうしていいか分からないですよね。ただ、飼い主まで混乱してしまうと収拾がつかないので、落ち着いて対応することが第一です。
ぐるぐる猛スピードで回りだす
犬は興奮すると、走ることによって発散することがあります。だから、「何かスイッチが入ったな」と思ってあまり驚かず見守ってあげましょう。ただ、部屋の中の家具やモノなど、犬が走っている最中にぶつかったりケガをしたりしないよう注意する必要があります。ケガを防ぐために、日ごろから余計なものをなるべく置かないようにするのもポイントです。
人に飛びつく
興奮して、人に飛びついてしまう犬もいます。嬉しくて興奮していることがほとんどですが、家族以外の人間にそんなことをすることは考え物ですよね。相手の方もびっくりしますし、犬が苦手な人にとっては恐怖です。こうした迷惑になりそうな行為をする場合は、「まて」や「おいで」、「おすわり」といった基本のしつけを応用することがポイントです。
人とすれ違うときなど、あらかじめ興奮しそうだなと思う場面では、通り過ぎるまで「まて」や「おすわり」をさせて犬を落ち着かせるようにしましょう。もし上手にやり過ごせたら、そのときはすかさずほめてあげてくださいね。そうすれば犬も徐々に落ち着いて行動できるようになるはずです。
うれションしてしまう
子犬の頃に多く見られる行動として、うれションの問題があります。遊んだりテンションが高くなると、興奮しておしっこをしてしまうと考えられます。成長するにつれ、自然と解消されますが、気になるときは事前におしっこを十分にさせておくことで軽減させることができます。
犬のいたずらや困ったクセの対処方法
留守番中などに起こす困ったいたずらやクセなどにも、何かしらの原因があるはず。その原因に合わせて解決策を探してみましょう。
ひと工夫加えることで解決することもある
いたずらや困ったクセも、ちょっと工夫をするだけで気にならなくなる場合があります。コツコツしつけも継続しながら、犬も満足できそうな生活環境への見直しもしてみましょう。
留守番中はいくつかおもちゃを用意しておこう
いたずらが起こりやすい場面の一つが、留守番をさせたときではないでしょうか。困った行動ですが、犬にしてみたら寂しい気持ちや、暇を持て余してそんなことをするのかもしれません。そうした気持ちにならないようにすることで、留守番中のいたずらを減らすことができます。
具体的に防ぐ方法として、おもちゃを一つではなくいくつか置いておくという手段があります。最近はご飯のニオイがついているおもちゃや、中におやつなど食べ物を入れられるおもちゃがあります。そうしたものであれば、より長く楽しんでくれたり、おやつを出そうと一生懸命になって、あっという間に時間が過ぎていきます。
ひっかき癖は素材チェンジで様子を見よう
ひっかき癖がある場合は、素材を変えてみることをおすすめします。実は犬は元々、土を掘るのが好きな動物です。公園などで他の犬を見ていても、時々掘っている様子を見ることがあります。室内で飼う場合も、畳や毛足の長いじゅうたんなどの場合は、土の感触に近く本能がくすぐられるのかもしれません。だから毛足が短いカーペットなどに変えて様子を見てみましょう。
噛み癖、拾い食いは根気よくしつけを
嚙む、という行為も、犬の中で本能として持っている欲求です。本来は仲間同士でかみ合いながら力の加減を覚えていくものですが、ペットとして飼う場合はこちらが教えてあげる必要があります。多くの場合は子犬の時期に教えることで、嚙んでいいもの、悪いものを覚えていきます。ただ、中にはそれがなかなか認識できず、噛み癖が残ることもあります。
噛み癖が残っても、嚙んではいけないものを嚙んだ時はおもちゃにすり替えるなどして教えていけば治ることもあります。ただ、治るまでは時間がかかる場合もあります。そのためどうしても嚙まれたくないものがあれば、それにはあらかじめ、犬の苦手な味がする「しつけスプレー」を吹き付けておくことをおすすめします。
拾い食いについても、子犬の頃から「これは食べてもいい」というものを教えることが第一です。もし、なんでもかんでも口にする傾向がある場合は、食べそうになったときに「まて」をして止めることがポイントです。そうでなければ、家の外はもちろん、中であっても異物を飲み込んでしまう可能性があります。
まずは犬の問題行動の原因を探ろう
犬が困った行動を繰り返すようであれば、まずはその原因を探しましょう。間違っても叱ったり、構ったりしてはいけません。その上で、改善できそうな方法を見つけることが大切です。
愛情と忍耐力とで見守ろう
問題行動といっても、元々犬が持つ本能から行動している場合もあります。また、一旦困ったクセがついてしまうと、改善するのに時間がかかることもあります。しかしそこで諦めてしまうと、さらに困った事態を招く可能性があります。飼い出したからには、犬も家族の一員です。より楽しく暮らせるように、コツコツトレーニングを続けましょう。そして、少しでもお利口さんにできたときは、すかさずほめてあげてください。
この記事のポイント
今回の記事のポイントは次の通りです。
- 問題行動解決は、原因を見つけてそれをなくすこと。そして悪いことをしたときは構わず、いいことをしたときだけ思い切りほめてかまってあげること。愛情と忍耐力とで見守ることが大切。
- ぐるぐる回りだしたり、人に飛びつくなど興奮状態になったときは、こちらが落ち着くことが第一。
- 困った癖には事前に一工夫することで解決できる。ただし噛み癖や拾い食いなど、人に迷惑をかけそうな行為については根気よくしつけを繰り返そう。