犬を飼うことになっても、毎日ずっと一緒にいるわけにはいきません。仕事や学校でみんなが出かけ、家が留守になることは多々あるはず。そんな状況でも犬が普段通りでいられるようにするために、早いうちから慣らしておくことが重要です。
留守番のしつけは来てすぐから始めてもOK
お留守番に慣れさせるためには、できるだけ早いうちからスタートすることが大切です。なんなら来て2、3日後からスタートしてもOK。早く始めれば始めるほど、犬にとっての習慣にもなります。
お留守番に慣れさせる準備をしよう
小さいうちから一人になる習慣がつけば、成犬になってからも落ち着いていられるようになります。特に、来てすぐのときは寝ている時間の方が長いので、起きて誰もいなくても「あれ?」と思っているうちに慣れてくれる可能性が高くなります。だから早めから始めるのが吉。ただ、スムーズにお留守番ができるよう念のため準備もしておきましょう。
行動範囲を狭くする
まず、お留守番をさせる間は犬の行動範囲を、サークルの中だけにしておきましょう。普段大人しい子でも、留守番中は寂しかったり何かの拍子にいたずらをしたりすることがあります。とはいえ帰ってから叱っても、犬には何で怒られているか理解できません。そのため、そうなる前に先に行動範囲を狭めておくのが得策です。
こうすることにより、家の中で自由にさせていたずらをされたり、あちこちでトイレをされるのを防ぐ効果が期待できます。また、これは同時に、飲み込んではいけないものを飲むなどの事故を防ぐことにも有効です。犬は限られたスペースでも、少し動ける程度の広さがあれば十分満足できるので「狭いかな」という心配はいりません。ただしサークルの中には、トイレやベッドと共に新鮮なお水を用意しておきましょう。留守番に慣れてくれたら、留守番中も家の中を自由にさせて構いません。
おもちゃを置いておこう
限られたスペースでも大丈夫とはいえ、何にもない空間にぽつんといれば犬も退屈してしまいます。それを防ぐために、おもちゃを準備しておいてあげましょう。そうすればひとりのときも、少しは楽しめるはずです。できれば、いつも使っているおもちゃと別のものを用意しておくのがおすすめです。
例えば、食べ物のにおいがついているものや、おやつなどを中に入れられるものがあります。こうしたおもちゃを使えばひとりのときも夢中になり、その分いたずらの確率も減らすことができます。ただし、留守番用のおもちゃはあくまで留守番のときだけに使うようにしましょう。そうした使い分けによって、そのおもちゃを見れば「これからお留守番をするんだな」と犬も認識するようになります。
おもちゃを選ぶときは大きさにも注意
おもちゃを選ぶときは小さすぎず、大きすぎず、間違って飲み込まない程度の大きさのものを用意することが大切です。特に留守中は誤って飲み込んだりしてもすぐに気づいてあげられないので、そんな心配をせずにすむようにしておきましょう。例えばゴム製のおもちゃなどであれば壊れにくく、壊れても破片がのどに刺さる心配はありません。また、ロープも大きめのものを選びましょう。大きいことで嚙みごたえがあって、より長く遊んでくれます。
犬が寂しがらないようにお出かけの前に一工夫
留守番中、犬に寂しいと感じさせないような工夫も必要です。
普段の生活に近い環境づくり
犬が寂しいと感じないようにするためには、家の中を普段の生活に近い状態にしておくことがポイントです。また、私たちも留守番だからと過剰な態度をとらないことが大事です。
テレビやラジオをつけておく
普段の生活に近い状態、というのは「人の話し声がする」状態であることが一つ考えられます。しーん、と静まった家だと犬もさみしさを感じやすいかもしれません。だから出かけるときはテレビやラジオをつけて、音のある状態にしておいてあげましょう。ただし、テレビやラジオだと突然大きな音がして犬がびっくりしてしまうこともあります。
それが心配ならば、音楽でもOKです。もし音楽を聴かせておきたい場合は、普段からその音楽に慣れさせておきましょう。特に静かな曲であれば、マンションなど上下左右の人の迷惑にもなりにくいのではないでしょうか。いつも一緒に聴いておけば、犬もひとりになったとき私たちがいるように感じて安心してくれます。
出かけるときは黙って出かけること
出かける前後、ついつい犬に対して申し訳なくなって過剰に構いがちです。しかしこれは、かえってマイナスになる可能性大。犬は私たちが思っているより、感情を敏感に察知します。そのため、出かける前、ひとりにすることを申し訳なく思って必要以上に構ったり、「ごめんね、いいこにしててね」などと話しかけるのはNGです。
もしそんな風に構うと、こちらのネガティブな気持ちを察知して、必死に引き留めようと吠えるかもしれません。その声に見送られて出かけるのも辛いですよね。それに犬の方も「行かないでって言ったのに置いて行かれた」とますます寂しい気持ちになって、しばらく吠え続ける可能性があります。それが続くと近所迷惑にも繋がってしまいます。
お留守番に慣れるまで、出かけるときは犬に気づかれないようにそーっと出ていきましょう。おもちゃに夢中になっているときなどがおすすめです。あるいは普段からひとりで遊ばせる時間を作るようにしておけば、私たちがいなくても比較的早く順応してくれるようになります。
帰ってきたときも「普通」が一番
出かけるときと同様、帰ってきたときも必要以上に構わないことが大事です。帰ってきても、犬の顔は見ずに先に洗濯物をたたむなどの家事を済ませるのもよいでしょう。そして、ある程度犬が落ち着いた様子になったところでサークルから出して遊んであげたり、自由にしてあげましょう。こうすることで、犬に主導権が自分ではなく、人間にあると理解させコントロールすることができます。
反対に外出から戻ったとき、一緒にいるとき以上に過剰に話しかけたり態度に出したりするのはNGです。恐らく犬は、家族が帰ってきたと分かった瞬間に喜んで、しっぽを振り振り「早く遊んで!ここから出して!」と言うでしょう。しかし、そこで甘やかしたり変に同情すれば、犬は「自分の思い通りになる」と勘違いしてしまいます。
どんなに自分も「私も早く会いたかったよ~」と思っていても、「これも犬の成長のため」とグッとこらえましょう。犬にとっても、ひとりの時間を過ごすことは大切なことです。
徐々にお留守番のしつけをステップアップ
犬の状態によっては、いきなりひとりにさせると心配な場合もあります。心配な時は、様子を見て少しずつステップアップさせてもOKです。
外出の時間や行動範囲を調節
何人かの家族で住んでいると、いつも家に誰かいるという状況が多いことでしょう。そうすると小さいうちから留守番することに慣れないで成長してしまいます。ある程度成長してからだと、いつも一緒にいる人がいない状況と言うのは、犬にとってとても不安な気持ちにさせてしまいます。そうならないために、少しずつでも留守番の機会は作っていきましょう。
はじめは5分の外出からでOK
留守番といっても、最初は5分程度家を空けることからスタートしてOKです。そして少しずつ10分、20分、30分と時間を伸ばしていきましょう。短い時間であっても、出かけるときは犬の顔を見ず、帰ってきてもすぐに構わないことが大切です。
トイレの面積は広めからスタートする
トイレにまだ慣れていないうちを含め、留守番に慣れていない間は特にトイレの面積は広くしておくのがおすすめです。中にはトイレが覚えられていても、留守番中寂しくてわざと違う場所でトイレをする場合もあるからです。慣れて来たら自然と治まることがほとんどなので、最初のうちは念のため広めにしておきましょう。
吠え続けるようであればカーテンで調節
寂しさから吠え続けてしまう場合もあります。特に外が見えると、その景色に反応して余計に吠えることもあります。留守中、長時間吠えられると近所迷惑になってしまいます。それを防ぐために、慣れるまではカーテンを閉めて出ていくようにしましょう。
犬も飼い主も慣れるまでの辛抱
来たばかりで寝ている時間が長いときなら、留守番をしていることも分からず過ごしてくれます。そのため、早め早めに留守番のしつけを始めることが一番です。慣れてしまえばなんてことないお留守番ですが、それまでは今だけの辛抱と思って頑張りましょう。
犬が寂しくならずトラブルを起こしにくい環境づくりを
犬に留守番をさせるときは、いかにその間「寂しくない」状況にするかがポイントです。だから留守番のときは、なるべく普段に近い音のある環境にしてあげたり、暇を持て余さないようおもちゃを用意しておきましょう。そして、犬にとって留守番は特別なことではない、と理解させるために外出の前後は必要以上に構わないことが大切です。慣れてしまえば、犬もひとりの時間を苦にすることはありません。「プチ子離れ」の気持ちで、犬の成長のためと思って頑張ってみてください。