ドッグフードを選ぶ時、注意しなければならない添加物や保存料の多さに、手作りした方がいいのでは、と思われる方もいるかもしれません。確かに手作りなら、何が入っているか把握できますし、食材を吟味することもできます。ただ、手作りにはメリットとともに、デメリットもあります。今回は、どちらも知った上で、手作りする際の守りたいポイント、注意点をご紹介します。
手作りドッグフードのメリット・デメリット
愛情や食事へのこだわりだけでは難しい面もある
ドッグフードに限らず、手作りのものは、なんでも手間がかかる分、愛情を込めることもできます。ですが、犬のドッグフードの場合、手作りすることで生まれるデメリットもあるため、手間をかけても報われない場合もあります。
手作りすれば安全・品質を追求できる
ドッグフードは犬のことを考えて作られたものです。そのため、栄養バランスの面から言うと、本来はそれで十分なのです。ですが、市販のドッグフードにはアレルゲンになるものや、体によくないものが添加されていることもあります。手作りするメリットは、そうした犬にとって毒になるようなもの、アレルギーを引き起こす材料を省けることです。
飼い主が安全と思う材料を使って調理できるので、高品質なご飯を作ることができます。食べることが好きな犬なら、食材にこだわったり、食を追及するのも楽しいかもしれません。
手間がかかるわりに、偏食や犬に合わない可能性もある
バランスのいいドッグフードにしようとすれば、その分手間もかかります。そのため、意外と手作りの方が、栄養バランスに偏りが生まれることがあります。また、頑張って作っても、犬によってはその食事が合わないこともあります。そうした可能性がある点が、手作りのデメリットです。
アレルゲン回避には効果的
ドッグフードを手作りすることはメリット以上にデメリットがあるということを考えた方が良さそうです。ただし、アレルギーを持っている犬にとっては、手作りする方が健康のためにはいいことも多くあります。そうした場合には、手間がかかっても頑張って手作りした方がいいですね。
手作りドッグフードの注意点
作るときに守りたいポイントとは
もし愛犬のためにドッグフードを手作りするのであれば、守りたいポイントが大きく分けて3つあります。
素材は必ず砕く!特に野菜は原型がない程度まで
人間の食事だと、見た目でおいしさが変わることも多くあります。色どりにこだわったり、食材がゴロゴロしている方がおいしそうに見えたりもします。ですが、犬の場合は違います。特に、手作りドッグフードでは、必ずミキサーなどで素材をある程度砕きましょう。
特に野菜は原型がない状態まで砕いてください。犬は本来肉食です。肉食動物は、自分で野菜を消化する力があまりありません。野菜の栄養は確かに必要ですが、潰してあげないと、かえって体調不良を招く原因になります
アクや香りの強い野菜は避けよう
野菜でもう一つ注意したいのが、香味野菜やアクが強い野菜は避けるということです。香りのある野菜も、人間にとっては風味を感じたり、食欲増進や健康に効果があることが多いですが、犬の場合は逆効果になります。体調を崩すところまでいかずとも、ほとんど健康を高める効果はないので、入れない方がベターです。
基本的に同じメニューでOK
人間は毎日同じメニューだと飽きますし、栄養も偏ってしまいます。同じように、犬のご飯も毎日変化をつけて、バランスよくしなければ、と思われるかもしれません。実は、そんなことはありません。安全と思われる食材で一度与えてみて、それで犬の体調に問題がなければ、基本的に同じメニューでOKです。むしろ、変化をつけると、その分使う食材の種類が増えるので、犬には合わないものを与えてしまう可能性も高くなります。
せっかく犬の健康のためにと、毎日手作りのメニューを考えて手間をかけても、頑張ることで逆に犬の体調不良を招いたら、元も子もありませんし、注意してみてください。
手作りする際に注意したいこと
人間の食べ物とドッグフードとは違う
手作りのドッグフードを作るとき、気を付けたいこととして共通しているのは、「人と犬とは体のつくりや感じ方が違う」ということです。例えば前述の「素材はぐちゃぐちゃに砕く」ということもその一つです。体のつくりが違う分、人間にはおいしくなさそうなものが、犬にとっては食べやすいものだったりします。
人間と犬のご飯とは違う、ということを踏まえた上で、「手作りドッグフードにどんなものを取り入れたらいいか分からない」というとき、参考にできるポイントをいくつかご紹介します。
市販のドッグフードを参考に
「ドッグフードを手作りしたいが、どんなものを入れたらいいのか見当がつかない」とお悩みであれば、市販のドッグフードを参考にしてみてください。ドッグフード自体は、総合的に犬にとっていい栄養バランスが整えられています。ドッグフードに入っている材料と似た食材を揃えれば、ある程度は栄養バランスのいいドッグフードを作れるはずです。
味見してみると、「味がない、おいしくない」と感じられるかもしれませんが、問題ありません。犬と人とは味覚も違うので、人間好みの味付けにすることは避けましょう。
あえて生にしなくてOK
当たり前の話ですが、野生の肉食動物は生の肉を食べます。そして、犬も肉食動物なので、「手作りするときも生肉がいいのでは」と考えられるかもしれません。ですが、家庭で飼っている犬の場合、あえて生肉を使わなくてもOKです。野生と同じように生肉を与えるのであれば、衛生面や鮮度も重要ですし、内臓や骨まで全て与えなければ、同じ条件にはならないからです。それでも生肉を与える際は、十分鮮度と衛生面とに注意してください。
メニュー変更するときはかかりつけ獣医に相談
犬の食事は基本的に同じメニューでOKですが、さすがにずっと同じだと、栄養が偏ることもあるので、たまには変化も必要です。ただし、アレルギーを持っている犬によっては、慎重に変化をつける必要があります。できれば、かかりつけの獣医にも相談してみてください。
手作りドッグフードを与えるときは人間の感覚にならないように
メリットだけでなくデメリットにも十分注意しよう
手作りのドッグフードは、品質を高めたり、安全面でこだわりたいときにはとてもいい方法です。アレルギーを持っている犬だと、健康のために手作りすることは効果的と言えます。ただ、メリットがある反面、使用する食材と犬の体調によっては、合わないこともあるので注意が必要です。
手作りをする際のポイントは、人間のご飯の感覚にならないことが大切です。犬は人間と体のつくりが違うため、消化機能や、味覚も違うということを頭に置いておきましょう。さらに、基本的には同じメニューで問題ありませんが、あまり長期間同じだと、偏食になることもあるので多少の変化は必要です。
まずは市販のドッグフードを参考にし、内容を変えるときは、一度かかりつけの獣医にも相談されることをおすすめします。そして何より、その都度犬の様子を確認して、異常がないかどうか見ながら与えるようにしましょう。
手作りドッグフードを与えるときは「人間の感覚」にならないよう注意
- 手作りドッグフードのメリットは、高品質なもの、安全にこだわったものを与えやすくなること。アレルギーを持っている犬ならより効果的。
- デメリットは、手間がかかる上、食材によっては犬に合わず体調不良を招くことがあるということ。また、偏食になる可能性もある。
- 手作りするときは人間のご飯の感覚にならないように注意する。素材は砕き、見た目はぐちゃぐちゃ、味はそっけないくらいがベスト。
- 一度与えてみて犬の体調がよければ、基本的に同じメニューを続けてOK。ただし偏食を防ぐため、時折内容を変えることも大切。その際は一度かかりつけの獣医に相談してみよう。
- 手作りドッグフードに何を与えたらいいか分からないときは、市販のドッグフードに含まれている材料を参考にしよう。