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シニア犬で気を付けたい内臓や歯の老化トラブル、ガンの問題

老犬

犬も年齢を重ね、シニア犬となると体のあちこちに老化トラブルが起こりやすくなります。今回は気を付けたい内臓や歯のトラブルや、シニア犬に起こりやすいガンの問題についてご紹介します。

シニア犬の内臓・歯に起こりやすい老化トラブル

それぞれの機能が徐々に弱ってくる

シニア犬となると、内臓も歯も、あちこちが徐々に老化し、弱ってきます。まずは起こりやすいトラブルについて見ていきましょう。

代表的な内臓や歯の老化

歯とともに、体の機能の中でも中心となる、心臓、肝臓、腎臓、胃腸について、高齢になるとともに起こりやすいトラブルを、表にまとめてみました。

内臓 起こりやすいトラブル
心臓 血液の循環能力が衰えたり、心臓弁の開閉に障害が生じて、雑音が発生しやすくなる。運動などで心拍が上がると、めまいや呼吸困難を起こしたり、腹水にもなりやすくなる。
肝臓 分解能力が衰えてくるので、薬を服用するときは注意が必要。たんぱく質を合成する力が弱まる「低タンパク血症」にもなりやすくなる。
腎臓 高齢になるにつれ「腎不全」のリスクや、多飲多尿が進行しやすい。他にも老化が進むにつれ、電解質バランスが崩れたり、貧血を起こしやすくなることもある。
日々のドッグフード、おやつで、硬いものやガムなどは消化しづらくなる。食事量も一気にたくさん食べられなくなる。食べられたとしても未消化で嘔吐することも増える。
腸全体の消化・吸収能力が落ちるため、下痢や便秘をしやすくなる。
歯垢が石灰化し、沈着した状態の「歯石」が増え、歯周ポケットに入り込むと歯槽膿漏にも発展しやすくなる。長期間放置すると歯のぐらつきや、化膿し痛みを引き起こしやすく、抜歯手術をしなければならないこともある。最悪はアゴの骨まで破壊される可能性がある。

悪性腫瘍(ガン)のリスクも高まる

特に内臓機能は、高齢になるにつれ悪性腫瘍(ガン)のリスクが高まります。ガンは放っておくと増殖し、転移する危険性も高いため、早く見つけて治療を開始することが重要です。

シニア犬の内臓機能や歯の老化に対してできること

こまめなケアが何よりも大切

犬も年齢を重ねれば、ある程度内臓機能や歯に老化が起こることは、仕方ないことでもあります。ですが、飼い主としてできる限りのケアはしてあげましょう。

定期的な検診

老化によるトラブルは、ある日突然起こるというより、ゆるやかに機能が下降することで分かってきます。異常に早く気付くためには、シニア犬の場合1~2か月に1回、獣医の診察を受けることが理想とされています。何もなくても、獣医と雑談をしたり、耳掃除や触診を受けるだけで異常が見つかることもあるからです。

検査で異常が見つかることも多い

老化トラブルは、検査から発見されることも多くあります。レントゲンでは、脊髄の様子や内臓の様子も見ることができますし、血液検査や超音波検査は繰り返すことで前のデータと比較し、異常が見つかることもあります。できるだけ変化を比較できるようにするためには、定期検診は2~3歳のうちから年1回程度検診を受けておく方がベターです。

シニア用ドッグフードに切り替える

胃腸の機能低下には、シニア用ドッグフードに切り替えて対応しましょう。おやつもシニア犬の場合、基本的に必要ありません。ただし、年齢だけで判断して一気に切り替えると、体内年齢が若い場合シニア用のドッグフードでは持たないことがあります。だから切り替える際は、様子を見て徐々にシニア用の分量を増やしていくようにしましょう。

嘔吐が増えたら柔らかく消化のいい状態で与えよう

胃腸機能が低下したシニア犬にとって、硬いドッグフードは消化不良の原因になりやすいです。場合によっては未消化のまま嘔吐したり、便秘や下痢につながることもあります。愛犬に消化不良の兆候が見られたときは、ドッグフードを柔らかくしたり、食事の回数を細かく分けるなどして、消化しやすいようにサポートしてあげましょう。

歯の老化防止は歯磨きが一番

歯の老化を防ぐには、何よりも歯磨きです。歯石の沈着を防ぐのに効果的です。歯磨きは嫌がる犬も多いので、次のような手順で慣れさせるのが効果的です。

  1. 素手の状態で、手を犬の口の中に入れて歯を触る。歯の表側を指の腹でマッサージするように触って、飼い主が口の中に手を入れることに慣れてもらう。
  2. 口の中に手を入れても嫌がらなくなったら、手袋をはめ、濡らしてから手を口の中に入れ、素手のときと同じようにマッサージする。手袋は100均で売られているような布手袋でOK。大型犬なら軍手も代用可能。
  3. 手袋にも慣れたら歯ブラシを使って歯磨きをする。犬用の歯磨き粉は基本的に不要なので、犬が嫌がれば無理に使わなくてもOK。歯ブラシの場合は強くこすりすぎないこともポイント。

注意点としては、犬の歯は真っ白のピカピカにする必要はないということです。磨きすぎはかえって歯肉を傷つけて逆効果になることもあるので、ほどほどを意識しましょう。

どうしても歯磨きを嫌がる犬にはおもちゃを使おう

歯磨きをどうしてもさせてくれない犬には、歯磨きおもちゃを補助的に使うのも有効です。ただ、歯磨きおもちゃは犬が好んで嚙んでくれるとは限らないことと、磨きたい部分の歯が当たらず効果が得られない可能性もあることを覚えておきましょう。犬は基本的に食べ物を丸飲みする傾向があるので、せっかちな犬や、食べ物を小さくちぎって食べるような犬の場合も期待したほど効果が得られないこともあります。

犬も「歯石とり」ができる

大量に歯石が沈着している場合は、動物病院で「超音波スケーラー」という道具を使えば削り取ることができるようです。ですが、クリーニングしても完璧に歯石がとれるわけではなく、歯の根元部分の歯石は残りやすく、歯周ポケットも元に戻らないため、元の状態にも戻りやすい傾向があります。クリーニングの際は全身麻酔もしなければならないようなので、できれば自宅で予防してあげたいですね。

シニア犬に起こりやすいガン

見つけにくい場合もある

老化が進むと、悪性腫瘍(ガン)が起こるリスクも高くなりますが、すぐに分からないようなガンも多くあります。なるべく早くガンに気づいてあげられるよう、犬の様子を観察する際チェックしたいポイントなどを知っておきましょう。

ガンによって起こる症状

ガンができると、犬には次のような症状が見られます。

  • 食欲低下や体重の減少
  • しこり
  • 貧血や原因不明の微熱が起こる
  • リンパ節の腫れ
  • 運動を嫌がる
愛犬の様子をチェックしよう

症状が見られなくてもガンが発生する可能性はあります。日々、触れ合う中で愛犬に変わった様子がないか、次のポイントもチェックしましょう。

  • 目の色が黄色かったり、耳や鼻にできもの、舌に黒いできものはないか、口臭はないか
  • 食欲はいつも通りあるか、下痢や血便をしていないか
  • 口の中、足、お腹、皮膚全体に腫れているところはないか
  • 触ると嫌がるところはないか
  • 動きはスムーズ化、咳、息切れは見られないか

シニア犬に起こりやすく、見つけにくいガンとは

老化は、ガンが起こりやすくなる一つの要因です。そして一口にガンといっても、中には見つけにくく、厄介なものもあります。

ガンの名称 症状
肥満細胞腫 皮膚にできる腫瘍の一つで、大したことのないデキモノに見えやすい。しかし大きさに関係なく、手術が難しく、突然ショック死を引き起こすこともある危険な腫瘍。デキモノを見つけたらすぐ病院にかかることが重要。
扁平上皮ガン 目や唇、肉球などにできる腫瘍。手術で切り取りづらいところにできやすく、四肢にできた場合腫瘍が大きくなると切断しなければならないケースもある。細胞検査を行わないと見つからないことも多い。
骨腫瘍 四肢に起こる腫瘍。犬には関節痛や不快感が起こるため、足をかばったり引きずる等の兆候が見られるが、初期はレントゲンにも写りにくく、判断がしづらい面がある。通常は根元から切除しなければならない。
乳腺腫瘍 初期段階は乳腺にしこりができるので、切除すれば完治も見込める。しかし、転移や遠隔転移を引き起こしやすく、高齢になるほど手術も難しくなる。避妊手術をしている犬の場合は、発生率を抑える効果が期待できる。
内臓のガンは進行してから症状が出やすい

ご紹介した見つけにくいガン以外に、内臓のガンもシニア犬に多い病気です。しかも内臓も、症状が出る頃にはある程度進行していることが多く、手術ができない場合もあります。内臓のガンは、次のような場所に起こりやすいと言われています。

内臓器官 ガンの種類
脳神経 脳腫瘍
循環器、呼吸器 悪性リンパ腫、血管肉腫、白血病、肺ガン
胃腸などの消化器官 胃ガン、大腸ガン、食道ガン、咽頭ガン、口腔ガン
生殖器 前立腺ガン、精巣ガン、乳ガン、子宮ガン、卵巣ガン
肝臓、膵臓 肝臓ガン、胆嚢ガン、膵臓ガン
泌尿器 腎臓ガン、膀胱ガン

手術をするか否かは愛犬の幸せを考えて決めよう

愛犬がガンになった場合、手術ができるようであれば、するかしないかの選択を飼い主は迫られます。ですが、高齢の犬にとって手術は負担が大きく、リスクも伴います。何が正解かということはない問題ですが、犬にとって最善と思える方を考えたり、幸せに感じられる選択をすることが一番です。

ガンだからと諦めないことも大切

犬のガンは見つかったときには、完治が難しい状態になっていることも多いですが、飼い主が諦めないことも大切です。手術による完治は難しくても、薬などによってうまくコントロールしていく方法はあるかもしれません。あきらめず、信頼できる獣医と共に、愛犬を見守ることも飼い主に求められる役割かもしれません。

シニア犬が少しでも健康でいられるようなケアを行おう

内臓や歯の老化に対応した健康管理が大切

シニア犬になると、ある程度内臓や歯に老化トラブルが起こることは避けられない問題です。だから飼い主には、なるべくトラブルを悪化させないよう、こまめなケアを行うことが求められます。定期的な検診に連れていくことに加え、自宅でも、歯磨きや変なデキモノがないかなど、全身チェックを行いましょう。食欲に変化が見られたときは、食事内容の調整も大事です。

老化トラブルのうち、特にガンは見つかったときにはかなり進行しているケースもあります。手術するかしないかという決断をはじめ、手術ができない場合の愛犬のサポートなど、飼い主にとっては辛い場面も訪れるかもしれません。ですが、どんなときも、愛犬が快適にいられること、幸せでいられることを考えて支えてあげてください。

内臓や歯のトラブル、ガンはシニア犬にとって避けられない問題

  • シニア犬になるにつれ、内臓器官の衰えや、歯のトラブル、ガンなどの問題が起こりやすくなる。
  • 内臓機能の異常は、なるべく早く見つけられるよう定期検診を受けることが大切。
  • 食欲が落ちてきた場合は、シニア用ドッグフードに切り替え、柔らかくして与えるなどの工夫を行おう。
  • 歯のトラブルはとにかく歯磨きが第一。抜歯しなければならないほど進行する前に食い止めよう。
  • ガンは見つけにくいものも多いため、日々愛犬に触れて異常がないか確認しよう。少しでもおかしいと思ったらすぐに病院へ。

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