犬も病気になると発熱したり、逆に体温が下がることがあります。体温の変化を知るためには、正しい検温の方法を知っておく必要があります。普段から体温を測って、愛犬の平熱を知っておくで、病気の発見にもつながりやすくなります。
犬の熱の測り方
正しい検温方法で状態を把握しよう
人間ならワキや口の下で熱を測る方法が一般的ですが、犬の場合は違います。正しい検温方法をとらないと、今、愛犬がどんな状態かを把握することは難しいです。犬の体温を測り方は次の通りです。
犬の検温は肛門で行う
犬の検温は肛門を使って測ります。使用する体温計は、人用のものの検温部に、使い捨てカバーを付ければ問題ありません。肛門に2~3cmほど差し込んで測ってください。最近は、体温計の先が柔らかく曲がるタイプの体温計も、ペットショップで見かけることがあります。価格も1,000円前後と比較的手に入りやすいので、こうしたものを活用すれば、犬にとっては、よりソフトな感覚で無理なく検温できます。
愛犬がリラックスした状態で測ろう
体温を測るときに気を付けたいのは、愛犬がリラックスした状態で測ることです。興奮したら体温が上がるので、暴れたりするようであれば獣医に任せましょう。その方が、無理に測るより肛門を傷つけるなどのリスクが少なくなります。
犬の平熱は38.5~39.5℃
犬の体温を測られると、人間なら高熱と思われるような温度で、「元気に見えるけど、体調不良なの!?」とびっくりされるかもしれません。基本的に38.5~39.5℃くらいの間が犬の平熱と言われています。人間よりだいぶ体温が高いのが特徴です。
犬の体温は体表温度とは違うことが多い
また、犬は人に比べると、体温の上下が頻繁に起こりづらいと言われています。だからこそ、異変を感じたらすぐに対処しなければなりません。注意したいのは、体表温度と実際の体温は違うということです。体の表面を触ったときは熱かったのに、検温すると意外と平熱だった、というケースはよくあります。反対に、表面はそんなでもないのに、熱を測ると体温に異常があった、となる可能性もあります。
大事になるのを防ぐためにも、表面的な印象だけで判断せず、きちんと検温しましょう。
日ごろから平熱を把握しよう
先ほどもお伝えした通り、熱が上がっている、下がっているという状態は、測ってみないとわかりません。犬の体調不良は、顔や全体の様子の方が早くあらわれやすいので、体温を測るのは体調不良を確かめるための手段になります。
ですが、日ごろから平熱を把握していなければ、今のこの温度が、いつもより高いのか低いのか、という判断をするのは難しいです。平熱を知っておくためにも、なるべく検温を、日課の一つとして行う方がベターです。
愛犬の熱を測ったら体温が39.5以上だったとき
「発熱」ではあるものの、原因はそれぞれ
検温してみて、犬の体温が39.5℃以上だったときは、発熱と考えられます。発熱で考えられる病気や対処方法について調べてみました。
明確な病気は見つけにくい
実は、犬の発熱は、はっきりと「この病気」といえる原因を見つけにくいのが実状です。漠然と体調が悪いとき、あるいは熱中症だったり、傷を負っているときにも体温は上がりやすくなります。さらに、内臓が痛いときや、てんかんの発作が起こったときも、体温が上昇することがあります。
まれに難しい病気の可能性もある
発熱する病気が明確ではないものの、まれに「犬ジステンパー」や「レプトスピラ病」にかかっている可能性もあります。どちらもワクチンで予防できる病気ですが、可能性は検討してみましょう。
犬ジステンパーの症状
犬ジステンパーの場合、感染初期は鼻水や目やにとともに、40度前後の発熱が起こります。他にも、食欲低下、咳やくしゃみ、嘔吐下痢などの症状が出ることがあります。放っておくと悪化し、肺炎を起こしたり、ウイルスが神経に及ぶと、脳脊髄炎や麻痺などの症状も起こりやすくなります。最悪の場合命の危険もある病気で、回復したとしても、目が見えなくなったり、神経に後遺症が残ることもあります。症状の進行に数カ月かかるケースもあり、長引きやすい病気です。
レプトスピラ病の症状
レプトスピラ病は、感染しても目立った症状が現れないまま、尿とともに菌を排せつし、自然に治ることもある病気です。ですが、出血型と呼ばれるレプトスピラ・カコニーラ(イヌ型レプトスピラ)という種類の菌に感染したときは、40℃前後の発熱や、充血、嘔吐、血便、食欲不振などの症状を引き起こします。
レプトスピラ病の場合、さらに注意したいのは、黄疸型と呼ばれるレプトスピラ・ヘクテロヘモラジー(黄疸出血性レプトスピラ)という種類の菌に感染することです。黄疸型の場合は発熱の症状は見られないものの、黄疸、嘔吐、下痢、口の粘膜からの出血症状などが起こり、出血型に比べ、重症となることが多くあります。最悪の場合、発病して数時間から数日後で命を落とす可能性もあります。
発熱が認められたときの対処方法
体温が高く、発熱していると分かった時は、まず犬の様子を確認しましょう。呼吸が辛そうなら、すぐに病院へ連れていってください。呼吸が通常で、食欲があり、睡眠、尿や便にも異常がないときは、一旦様子を見てみましょう。ただし、高熱が続くようであれば、病院へ行きましょう。判断に迷った時は、かかりつけの獣医に相談することをおすすめします。
検温で体温が38.5℃以下だったとき
命に関わるかも!すぐに対処しよう
動物の場合、体温が低いということは死に直結する可能性もあるということです。検温して調子が悪いことが分かったら、すぐに対処しましょう。
38℃以下の時は特に注意を
犬の場合、体温が低くなるのは、傷を負っている時を始め、あらゆる疾患の可能性があります。特に38℃以下の場合は、すぐに死に直結する可能性もあり危険です。
応急処置は「湯たんぽ」がおすすめ
体温が低い場合は、すぐに病院へ連れていくことをおすすめしますが、応急処置として、湯たんぽで犬の体を温めることができます。ペットボトルに40℃くらいのお湯を満杯に入れ、タオルを巻いて犬のそばへ置いてあげましょう。タオル以外に、靴下をかぶせてもOKです。湯たんぽがあれば、体温の低下を遅らせることができます。注意点は、お湯の温度です。あまり熱すぎると、犬がやけどをする可能性もあります。
シニア犬によってはそれが平常ということもある
体温が低いと危ない、というのは若い元気な犬には当てはまりますが、シニア犬になると当てはまらないこともあります。年老いた犬の場合、37.5℃前後が普通、というケースもあるからです。判断をするためには、やはり日ごろから検温が大切です。
早期に病気を発見するためにも愛犬の検温は習慣にしよう
普段から測っていれば、いざというときの判断に役立つ
犬の検温方法は、人用の体温計で肛門に差し込めば測れますが、犬によっては嫌がることもあります。嫌がった場合は、肛門を傷つけないためにも、無理をしないことが大事です。測れるようであればなるべく検温を習慣に取り入れ、平熱を把握しておくようにしましょう。犬の体温は、体表温度とは違うことがよくありますし、体調不良を確認するためにも有効だからです。
また、犬の体温は、発熱したときよりも、低温になったときの方が心配なケースが多いです。体温が下がっているようなら、応急処置として湯たんぽで温めつつ、すぐに病院へ連れていきましょう。体温計は、ペットショップなどで先が曲がるような柔らかいものも売られているので、愛犬のために一つ用意しておくと安心ですね。