犬がかかりやすいさまざまな病気がありますが、目もトラブルが起こりやすい箇所です。私たちの目で見て確認できるトラブルも多くあるので、毎日顔を見てチェックしてあげてください。今回は、どんな病気が起こりやすいのかまとめました。
目をこすっているのは炎症のしるし
長時間こすっているときは病院で診てもらおう
犬が目をこすっているときは基本的に何か炎症が起こり、「かゆみ」を感じている証拠です。短時間であれば、気分がいい場合や、眠気を感じているだけの可能性もあります。ですが、頻繁に目をこすったり、長時間続くようであれば病気の可能性を疑いましょう。
目をこすることで考えられる病気
犬が目をこするのは、目の周りに違和感やかゆみを感じたり、炎症が起こっていると考えられます。例えば次のような病気の可能性があります。
- 痒みを感じている、できものができている
- 結膜炎、角膜炎
- アレルギー症状、花粉症
- 目が見えていない
炎症が起こっている場合の治療方法は、一般的に点眼液や軟膏の処方が行われますが、あまりにも目をこするようなら、首の周りにエリザベスカラーを巻いて保護されることもあります。
結膜炎や角膜炎の症状
結膜炎は細菌やウイルス、アレルギー、異物が入ったときに起こる症状で、白目の部分が赤くなるなどの影響が出ます。ドライアイが原因になることもあります。進行すると目ヤニがひどくなり、目が開かなくなることもあるので注意しましょう。角膜炎は、シャンプーや石鹸が目に入ったことなどが原因で、目をこすって角膜に炎症が起こる病気です。角膜炎の場合は、黒目全体の表層部分が白くなります。
アレルギー、目が見えないときの行動の特徴
アレルギーは、原因が多岐に渡りますが、目だけでなく身体のあちこちをかゆそうにしたり、湿疹やじんましんが出ることもあるので、それが判断材料の一つになることもあります。まれに目が見えなくてこするケースがありますが、フラフラしたり、何かを探している様子なら、病院で診察を受けましょう。
こすりすぎて眼球が飛び出ないよう注意
犬種によっては、目をこすりすぎると眼球が飛び出てしまう場合があります。特にシーズーやチワワなど、元々目が大きく、飛び出しがちな犬の場合は注意してみてあげましょう。長時間こするほど、爪などが引っかかって目が飛び出てしまう危険性があります。
万が一飛び出てしまったときは、水で濡らしたタオルなどで、目を優しく抑えつつ、すぐに病院へ連れていきましょう。
目のかゆみは自覚症状がないことも
炎症を起こしているからかゆい、かゆいから目をこする、というのはよくありますが、時には炎症が起こっていても自覚症状がないケースもあります。もし、かゆそうにしていなくても、異常に涙が出ている場合や、目やに、傷が見られる場合などは、病院で診察を受けましょう。
目ヤニからわかる病気
目ヤニは普段でも多少は出るものですが、色によっては注意が必要です。
黄色の目ヤニは感染症の疑いあり
犬の目ヤニをチェックしたとき、黄色い色をしている場合は感染症の疑いがあります。黄色になるのは、膿が出ているからだと考えられます。放置するほど治療が難しくなるので、すぐに病院で診てもらうのが一番です。
半透明~こげ茶なら問題ない範囲
目ヤニの色が、半透明からこげ茶色くらいまでの色であれば、涙が多く出ていると考えられ、しばらく様子を見てみましょう。ほこりなどに弱い犬の場合は、涙も常にたくさん出て、目ヤニになることがあります。
目ヤニに気づいたら拭き取ろう
目ヤニは気づいたら濡れタオルや、濡らした手で少しずつ、優しく取ってあげることが大切です。問題ない状態のものでも、放置していると、目の周りの毛が固まって目に刺さったり、余計に目ヤニが出たりします。症状が悪化すると犬も気になり、こすりだして、炎症に繋がる可能性もあります。
犬の目の色から分かる病気とは
目のどの部分の色が違うかで病気も異なる
犬の目に起こる病気は、色で分かることもあります。病気の種類は、目のどの部分の色が違うかによっても考えられる原因が異なります。
瞳が白いのは白内障かも
犬の目を覗き込み、黒目の中の瞳の部分が白っぽくなっているときは、白内障の可能性があります。角膜炎は黒目の表面全体が白っぽくなるので、見分ける判断材料の一つになります。白内障には次のような、いくつかの種類があります。
- 老年性白内障
- 若年性白内障
- 先天性白内障
老年性白内障は加齢とともに現れることの多い病気です。治療方法としては、ほとんどの場合は点眼薬で進行を抑えます。他には人工レンズに入れ替える手術ができる場合もありますが、手術費用が高いのと、犬はそこまで視力に頼らない動物なので、するかしないかは獣医との相談になります。若年性白内障や先天性白内障の場合は、遺伝によるものが多く、この場合は手術によって人工レンズに入れ替えるケースが多いです。
白目が黄色いのは黄疸かも
犬の白目が黄色っぽくなっているときは、黄疸が出ている可能性があります。黄疸とは、胆汁の中の色素が血液にあふれ出した状態のことを言います。黄疸が出る病気で考えられるのは、重度の肝臓病、溶血性貧血、レプトスピラ病、タマネギ中毒などがあります。白目が黄色っぽくなるのは分かりやすい症状なので、おかしいと思ったらすぐ獣医に診てもらいましょう。
白目の充血は病気の前兆かも
犬の白目が充血を起こしていたら、もしかしたら何かの病気の前兆か、結膜炎の可能性があります。ただ、犬の目は人よりも血管が多いため、充血しているように見えることがあります。間違えないようにするには、デジカメなどで目の部分を接写して必要なとき見られるようにしておくか、ふだんの様子を覚えておくことが大切です。
まぶたの異変で気付ける病気とは
タレ目の洋犬はまぶたの異常に注意しよう
犬の目で起こるトラブルとして、まぶたの異常もよくあります。特にタレ目でまぶたの重たい、バセット・ハウンドなどの洋犬は、トラブルが起こりやすいので注意しましょう。
まぶたがめくれる、変形する
まぶたのトラブルの一つが、まぶたがめくれることです。まぶたのふちには、分泌腺があります。分泌腺が炎症を起こすと、「ものもらい」の状態になります。そして炎症が深く、腫れがひどくなると、まぶたが持ち上がるように変形し、外側へ反り返り、めくれることがあります。そのままの状態だと、外気にさらされ乾燥し、ほこりによる刺激もあって、さらに悪化する可能性が高くなります。治療には点眼薬が使われることが多くあります。
タレ目の洋犬の場合は、元々下のまぶたがめくれぎみなので、ほこりや細菌が入りやすいです。場合によっては普段から点眼をして、トラブルを防がなければならないこともあります。ドライアイになるのを防ぐことで、まぶたがめくれ上がったり、変形するのを防ぐ効果が期待できます。
まぶたが巻き込まれる
まぶたのふちは、一般的に皮膚と目の粘膜の境目がある部分ですが、犬によっては内側に反りかえって皮膚や生えている毛が、眼球に接してダメージを与えることがあります。眼球が傷つくと、慢性的な炎症が起こります。軽度であれば、毛抜きや点眼薬でしのげることがありますが、重度になると、手術をすることになります。まぶたが巻き込まれるのは、先天性である場合が多いと言われています。
まぶたにできる腫瘍
まぶたのトラブルで怖いのは腫瘍ができる可能性があることです。めったにはありませんが、ゼロではないので注意して腫れたり、変形していないかなどのチェックをしましょう。
こまめなチェックで犬の目のトラブルを防ごう
早期治療が早く治すコツ
犬の目にはさまざまなトラブルが起こる可能性があります。少しでも早く治してあげるには、早期に発見しなければいけません。普段から犬の目がどんな色や状態か、覚えておくか写真に撮っておくなどしておき、変だなと思った時は見比べられるようにしておきましょう。
元々トラブルが起こりやすいタレ目の犬種などは、特に注意してみてあげることが大切です。放っておくと危険なケースもあるので、愛犬の健康維持のためにも、コミュニケーションがてら、目のチェックはこまめに行うことをおすすめします。
犬の目に起こりやすい病気とトラブルを知っておこう
- 目をこすっているのは結膜炎や角膜炎、アレルギーなどの炎症反応の可能性大。まれに目が見えづらくなっているときもある。犬種によっては、こすりすぎて眼球が飛び出ないよう注意しよう。
- 目の炎症は、自覚症状がないこともあるので、目の色などに異変が見られたらすぐに病院へ。
- 目ヤニが黄色いときは感染し、膿が出ている状態なのですぐに治療を受けよう。そうでない場合は、こまめに優しくふきとってあげることで二次トラブルを防ぐことができる。
- 白目に異常がみられるときは、重篤な状態かもしれないので病院で診察を受けよう。
- 犬種によってはまぶたが変形したり巻き込まれやすいので、乾燥しないようこまめな点眼が必要。