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シニア犬に起こりやすい関節や骨のトラブルと対策とは

シニア犬

犬もシニア犬と呼ばれ、高齢になってくると、筋肉が衰え、関節や骨のトラブルが起こりやすくなります。今回は、シニア犬に起こりやすい足回りのトラブルと、対策についてご紹介します。

シニア犬になると関節や骨がどうして弱るのか

潤滑油やクッション機能が低下することが原因

関節は骨と骨との間に、衝撃を和らげる軟骨や「滑液」と呼ばれる潤滑油の役割を果たす液などによって構成されており、年齢を重ねるごとに減っていきます。シニア犬になると、関節や骨が弱る原因はここにあるようです。

関節を構成するものとは

関節は、骨と骨、骨との間を取り持つ軟骨、滑液を充てんする関節腔、滑膜、関節を固定する靭帯などによって構成されています。加齢によって、それぞれのパーツは弾力がなくなり、次のような問題を生み出しやすくなります。

名称 加齢で生じる問題
密度が低下し、強度も低下する。「骨棘」が形成されると痛みも伴う。
関節軟骨 骨と骨との間にあるゴム状のクッションシート。通常は軟骨があることで激しい運動に耐えられるが、加齢とともにすり減り、変形しやすくなる。
関節腔 骨端を囲う、ぬるぬるした、潤滑油としての働きをもつ「滑液」を充てんする場所。滑液は加齢により量が減る。
滑膜 内側に張られた膜のような内壁。加齢とともに炎症を起こしやすくなる。炎症を起こすと、ぶよぶよしたり、滑液の分泌を低下させる。関節もずれやすくなる。
靭帯 関節の周囲を固定する役割を持つが、加齢とともに弱り、損傷しやすくなる。

関節の老化によって起こる障害

関節の機能が老化によって弱ってくると、骨と骨とがこすれて摩擦が生まれたり、炎症や損傷が進みます。そして犬は、次第になめらかに動けなくなります。

  • 起き上がるときスムーズに動けない
  • 段差や階段の上り下りがしづらくなる

炎症などが大きくなると、痛みも生じ、関節をかばうようにもなります。

筋肉の低下も原因

関節機能の衰えは、筋肉の低下も原因です。筋肉も関節を支える役目を持っているので、衰えることで関節の負担が増えるからです。

シニア犬に起こりやすいケガ・トラブルの例

ちょっとした衝撃でもトラブルを起こしやすくなる

シニア犬になればなるほど、若い頃はなんともなかったような少しの衝撃でも、関節や骨を傷めることがあります。シニア犬に多いトラブルの例を見ていきましょう。

変形性骨関節症

変形性骨関節症は、関節の変形や痛み、こわばりを生じる病気です。骨自体に出っ張りが発生して動きが悪くなり、かばっているうちに、反対側の足まで傷めてしまい、歩行不能になるケースもあります。進行すると、患部を動かしたときに関節から「捻髪音」と呼ばれる異常な音が聞こえたり、関節の動かせる範囲が減少するなどの症状が現れます。

特に肥満の犬に多く見られるため、小さい頃から体重管理をしておく方がベターです。治療方法は、痛みを緩和する非ステロイド性抗炎症剤などの投与や、体重管理、運動療法で症状の進行を抑えることが基本とされています。

変形性脊髄症にも注意

変形性骨関節症とともに、変形性脊髄症にも注意しましょう。変形性脊髄症は名前の通り、脊椎の変形を起こす病気のことです。脊髄の一部に突起ができたり、隣り合う脊髄がくっついたりするなどして、周りの神経や臓器に影響を与え、腰痛や歩行困難、場合によってはしびれや麻痺、排尿排せつ障害を引き起こすこともあります。

変形性脊髄症は生活習慣や、若いうちの外傷が原因となることもあります。無症状という犬もいますが、症状を訴える場合は完治は難しいため、症状を和らげるため抗炎症剤や鎮痛剤などが使用されます。変形性骨関節症と同様、予防には肥満にならないよう体重管理と、負担の大きい運動を避けることがポイントです。

リウマチ関節炎

リウマチ関節炎は、ただの関節炎ではなく、免疫システムの異常により起こる病気です。「免疫介在性疾患」とも呼ばれ、原因はまだ解明されていない部分がありますが、発症すると関節の痛みや硬直、腫れ、跛行、発熱、食欲低下などの症状が起こります。一見ただの関節炎に見えることがありますが、放置すると骨組織を溶かし、関節を破壊して変形が進み、痛みも激しくなり、歩行困難を引き起こします。

発症した場合、完治は難しいですが、消炎鎮痛剤や抗リウマチ薬などの投与で痛みを緩和したり、温浴治療なども効果的と言われています。早く見つけて治療を開始すれば、進行を抑えることもできます。

関節痛の緩和には湯たんぽも効果的

寒い時期など、犬が関節痛で痛そうにしていたら、湯たんぽで温めてあげるのも効果的です。湯たんぽは、市販のチャック式密封保存袋にお風呂のお湯を入れるだけで作ることができます。使い捨てカイロは低温ヤケドなどの恐れがあるため、避けた方が無難です。湯たんぽを作ったら、膝の上に犬をのせながら、温めてあげてください。温めてあげるとき、同時に四肢の曲げ伸ばしを行うと、筋肉と骨に刺激が加わり、萎縮の進行を遅らせるのに効果的です。

靭帯断裂

シニア犬になると、筋肉の低下とともに、靭帯の強度も弱くなり、靭帯断裂を引き起こしやすくなります。断裂とは、靭帯が切れることを意味します。若い頃であれば、問題なかったジャンプや、少し走ったりすることでも起こることがあるので注意しましょう。また、若いうちでも、肥満の場合は常に膝関節に負担がかかるため、起こりやすいトラブルの一つです。

靭帯が断裂した足は、体を支えることができなくなります。膝も正しく曲げ伸ばしをすることができなくなるので、関節の変形や、半月板損傷など別のトラブルも生みやすくなります。

脱臼にも注意
靭帯断裂と共に脱臼も起こりやすいトラブルの一つです。脱臼は関節が完全に外れた状態の「脱臼」と、一部だけ外れた「亜脱臼」とに分けられます。一見強めの捻挫にも見えるため、数日様子を見れば治るのではと思いがちですが、触診すると見つかることが多くあります。愛犬が足を引きずるようであれば、疑ってみて、念のため病院の診察を受けることをおすすめします。

骨粗しょう症

人と同じように、シニア犬も骨粗しょう症になります。骨粗しょう症は、骨量が減り、弾力性やしなやかさがなくなりもろくなることです。もろくなった状態で衝撃が加わると、ちょっとしたことでも骨折しやすくなるので注意しましょう。

シニア犬になってからの関節や骨のトラブルを防ぐ方法

若いうちから健康管理をすることが大切

シニア犬になってからの関節や骨のトラブルは、若いうちから予防に取り組むことが大切です。シニア犬になってからも、工夫することで関節や骨のトラブルの対策を取ることができます。

若いうちは無理のない範囲で十分な運動を

関節周りのトラブルは、筋肉の衰えも原因です。だから若くて元気があるうちは、なるべく運動をさせて犬が筋肉を維持できるよう努めましょう。例えば散歩のときに平坦なアスファルトを歩くだけでなく、公園の車止めをジグザグに歩かせたり、ゆるやかな起伏のある場所を歩くなどの方法があります。普段の生活で使わない筋肉まで十分に使うことで、筋力アップや維持に効果的です。

ただし、犬の足は意外とねんざや骨折を起こしやすい面があるため、あまり無理な動きをさせるのは避けましょう。

シニア犬になってからは無理をさせないこと

若いうちは積極的に運動させて筋力を維持することが大切ですが、シニア犬になってから無理は禁物です。同じ運動量をとらせると、逆効果になることも多いからです。特に、関節の病気を発症している場合は、無理に運動させること自体を避けましょう。なるべく平坦な道を選んだり、無理のない範囲で運動させることがポイントです。

歩けなくなったときは補助具を使う方法も

もし愛犬が歩けなくなった場合は、歩行補助具を使うと歩けるようになることもあります。歩行補助具とは、下半身にベルトをかけて、人力で持ち上げるというものです。ただし、持ち上げる人の腕の力も必要となるので、大型犬が歩行補助具をつけるのは困難なこともあります。

シニア犬は無理をさせないことが関節・骨トラブルを避けるコツ

思いもよらないことでトラブルが起こるので細心の注意を

犬も高齢になると、関節や骨の機能が低下するため、ちょっとした衝撃でもトラブルが起こりやすくなります。予防策としては、若いうちに十分に運動させて筋力をつけておくことです。そして肥満は関節トラブルを起こしやすいため、体重管理もきっちり行いましょう。

シニア犬となってからは、若いうちのように運動させるとケガやトラブルを起こしやすいため、無理のない範囲で運動させましょう。段差など、衝撃が加わりやすい行動を避けることが重要です。関節痛が出るようであれば、温めてマッサージしてあげることも有効です。年齢とともに、運動機能が低下すると心配事も増えますが、少しでも元気で犬が暮らせるよう、飼い主としてサポートしてあげたいですね。

シニア犬に起こりやすい関節・骨トラブルと対処策

  • 犬も年齢とともに筋力の低下や、関節を取り巻くクッション材(軟骨)や潤滑油(滑液)の働きが弱くなるため、関節機能に問題が起こりやすくなる。
  • 関節トラブルで起こりやすいのは変形性骨関節症、変形性脊髄症、靭帯断裂、脱臼など。まれにリウマチ関節炎を起こす犬もいる。それぞれ放っておくと悪化し、歩行困難となるケースもあるので注意しよう。
  • シニアになるにつれ、骨の密度も減り、骨粗しょう症を起こしやすくなる。骨粗しょう症になると、ちょっとした衝撃で骨折する可能性も高くなる。
  • シニア犬になってからの関節・骨トラブルを防ぐポイントは、若いうちに十分運動させることと、肥満にならないための体重管理、シニア犬になってからは状態に合わせ無理のない範囲で運動させよう。

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