猫を飼っていればいつかは看取る日がやってきます。悲しいことですが、いつ訪れるかわからない別れのことを考えておくことも、飼い主として必要なことです。猫の命が長くないと分かったときのために、自宅療養させるか、病院で治療するかはそれぞれの飼い主が決めることです。なかなか答えの出ないこの問題について、今回は考えていきましょう。
猫がもう長くないと分かったときどうするか
自宅療養か病院か、看取り方について家族で相談をしよう
猫との暮らしには、いつか終わりがやってきます。事故などである日突然訪れるかもしれませんし、年齢からくる衰弱や、慢性腎不全や猫白血病ウイルス感染症などの難病によって、もう長くないと伝えられるかもしれません。
もし、愛猫の残り時間がわずかだと知らされた場合は、命ある時間をどう過ごさせるか。自宅で看取るか病院か。猫をどうするのがベストなのか、その方法について家族で十分に話し合いましょう。
愛猫にどんな最期を迎えさせたいか
猫の人生が残りわずかになったと知ったとき、自宅で過ごさせるべきか、それとも最後まで治療を受けさせるべきか・・・看取り方に正解はありません。
答えが出づらい問題ではありますが、愛猫にどんな最期を迎えさせたいか、自分たちがどうしたいかを主体に考えてみてください。
精神的・経済的な観点も踏まえて決めよう
猫のことを考えると、最後まで最大限の治療を受けさせてあげたい、と思う一方で、最後は住み慣れた家で看取ってやりたい、という気持ちが沸き起こる飼い主も多いのではないでしょうか。
どちらがいいかは一概には言えず、どちらを選んでも後悔する可能性はあります。ですが、自分たちの気持ちや、経済的な観点からも総合的に考えて、結論を出すことが大切です。
安楽死の可能性についても考えておこう
猫の状態によっては、安楽死という選択肢を考えなければならないこともあります。安楽死については獣医によっても、賛否両論が分かれる問題です。飼い主たちの中でも、「苦痛を感じるだけの状態ならば、解放してあげるべき」という賛成意見もあれば、「何があっても生きているものの命を奪ってはいけない」という反対意見もあります。
安楽死を選ぶ、選ばないの最終的な決断は飼い主の判断に任せられます。どちらを選んでも、正しいということはない難しい問題です。しかし、もし獣医から選択肢を提示された場合は、じっくり考えて、後悔のない決断をしましょう。
安楽死とは?
安楽死は、鎮静剤を先に投与することで、猫が苦しむことなく死を迎えられることができる方法です。排尿・排便やけいれんなどが起こる場合はあるものの、苦痛はないとされています。一般的に、次のような方法で行われます。
- 獣医と相談の上、日時と場所を決める。
- 鎮静剤を注射し、猫をリラックスした状態にさせる。
- 心臓や脳などの機能を停止させる注射を打つ。
- 獣医が聴診器で猫の心音の停止を確認する。
獣医によっては、病院ではなく自宅へ出向いてもらえる場合もあります。自宅で看取りたいと思う場合は、一度相談してみてください。
看取り方について、かかりつけの獣医にも相談しよう
猫の状態や、経済的な面からも検討を
猫の看取り方をどうするかについては家族で話をするだけではなく、かかりつけの獣医にも相談することも大切です。動物の専門家としての意見を聞くことで、自分達では考えつかない最終的な結論を出すきっかけになるかもしれません。
家庭でも看護が可能かどうか
住み慣れた家で残りの時間を過ごさせてあげたい、そう考える飼い主は多いはずです。猫も病院という自分の知らない場所で過ごすより、自分の縄張りである家にいられる方が安心できる可能性が高いからです。
さらに、年齢が高齢になればなるほど、適応能力も下がるので、病院で過ごすことがストレスになる可能性もあります。ただし、もし自宅療養を希望する場合は、一度獣医に家庭でも看護が可能かどうか聞いてみてください。状態によっては病院での治療が必要なケースもあるかもしれません。
病院での治療がいくらかかるのか知っておこう
最期まで猫に治療を受けさせたいと考えた場合は、治療費のことも頭に入れておく必要があります。猫などのペットの治療費は、人間と比べ高額になるケースが多いのも事実です。自分たちの生活まで破たんするほどの治療費となると、それはまた別の問題も起こってしまいます。
経済的負担を考えるとあらかじめ獣医とは、どのような治療を行うのか、治療費はどのくらい必要になるのか、自分たちが治療費として出せるラインはどこまでか、などを話し合っておくことも大事です。
経済的余裕があれば往診という方法も
経済的に余裕があり、かかっている病院の獣医が往診をしてくれるようであれば依頼するのも一つの方法です。
日ごろから猫の看取り方について話し合っておこう
家族全員が納得する答えを見つけよう
猫との別れは、いつか必ず訪れます。そんな「いつか」に備えて、日ごろから猫に何かあったときどうするかを、家族全員で考えておくことが必要です。
いざというとき、納得した結論が出せるように
日ごろから家族で話し合っておけば、いざというとき慌てずに結論を出すことができます。もちろん病気が発覚してから急速に進行する可能性もありますが、日ごろから少しでも話し合っておくことで、「こうなってしまった」、「しょうがなかった」という事態になることは避けられるはずです。
家族の中でも気持ちを共有して、愛猫に最大限のことをしてあげられた、と振り返られるような結論を考えましょう。
獣医ともよく相談することが大切
家族との話し合いの他に、かかりつけの獣医との相談も大切です。病気の状態によっては、猫をただ苦しめるだけの治療になる可能性もあるからです。専門家としての意見も聞き、最善を尽くしましょう。
ペット保険を検討するのも選択肢の一つ
延命治療を希望する場合、高額な費用が必要になることは必然と言えます。「治療は受けさせたい、でも治療費の負担が大きすぎて払えない」という心配を少しでも減らすために、ペット保険を検討するという選択もあります。
最近はさまざまなタイプのペット医療保険ができています。猫に何かあったときに役立つ保険が見つかれば、加入するというのも方法の一つです。
自宅療養か病院か?猫の看取り方に正解はない
家族、かかりつけ獣医、猫の状態、全てを踏まえた上で答えを出そう
猫は人間より早いスピードで生きていて、飼っている限りいつか必ず別れが訪れます。突然訪れる可能性もありますが、病気になりある日、突然悪化する可能性もあります。猫の命があとわずか、と知らされたときどうするかは、飼い主にとって厳しく難しい問題です。
自宅で看取ることも、病院で最後まで治療を受けさせることも、どちらを選んでも後悔しないとは限りません。そしてどちらが正しいとも言えません。ですが、いざ事態に直面したとき家族全員が納得いく結論が出せるよう、日ごろから考え獣医とも相談しておくことが大切です。
日ごろから自宅療養か病院か、猫の看取り方について考えておこう
- 病気で猫の寿命が残りわずかになったとき、自宅療養させるか病院で治療を受けるかについては、家族でよく話し合おう。
- どんな答えを出しても正解はないが、猫にどんな時間を過ごさせたいか、自分たちが最大限できることは何かを考えることが大切。
- 自宅療養をさせるなら、家庭でも看護が可能かどうかを獣医に確認しよう。
- 病院での治療は高額になることも多いので、治療を受ける前に治療費についても聞いておこう。
- 猫を飼う限りいつか必ず別れが訪れる。いざという局面でどうするかについては日ごろから話し合い、納得できる答えを探そう。