猫と仲良く暮らすコツは、何よりも猫の性質をよく理解していることが大切です。猫の性質を知っていれば、仲良くなるチャンスも生まれやすくなります。そして、飼い主の猫への理解が深まれば、猫にとってもストレスが減り、猫の健康にもつながります。猫と長く暮らすためにも知っておきたいポイントをご紹介します。
猫は人と違う価値観を持った存在と理解しよう
犬と同じイメージでは嫌われる?
猫の自由奔放でなかなかなついてくれなかったり、愛らしく見えて実は気が強かったりする性格は、猫の本来の性格によるものです。猫と同じ、人にとって身近な犬と同じ感覚で接すると、知らず知らず嫌われたり、ストレスを与えるかもしれません。
猫は縄張りをつくる、単独行動の動物
犬は群れで行動し、リーダーを決めます。だからほとんどの犬は、飼い主をリーダーと認め、自分はそのメンバーとして行動します。ですが、猫は違います。猫は本来、単独で行動する動物です。周りに合わせるということも、何かに従うという意識も基本的に持ち合わせていません。犬と猫とは本質が違う、ということを理解していないと、猫と仲良く暮らすのは難しい部分があります。
さらに猫は、自分の縄張りをつくる動物です。飼われている猫にとっては「家」が自分の縄張りです。そのため、引越しは大変なストレスになってしまいます。猫と長く仲良く暮らすためには、できるだけ引越しはせず、猫に安心感を与えられる環境を作ることも大事です。
猫は嫌なことは嫌、自分が正しい
犬のように、リーダーに従うという意識を持っていない猫に対して、命令をしてもほとんど意味がありません。嫌なことは嫌ですし、いつだって自分が正しいというスタンスです。人間はどちらかというと、犬に近い性質を持っている人が多いので、猫の行動は「気まぐれ」だったり「協調性がない」と感じるかもしれませんが、猫にとっては普通のことと理解すれば、仲良く暮らせるきっかけが生まれるはずです。
猫は警戒心が強いので、待つことが大切
個体差はありますが、基本的に猫は警戒心が強いです。安心出来る相手と認識するまでは、向こうから近寄ることはほとんどありません。だからこちらも、猫が慣れて、向こうから近寄ってくれるまでは、じっと待つことが大事です。すぐにスキンシップを取ろうとすると、猫に嫌われる可能性があります。他にも、急な動きや大きな音も苦手なので、慣れるまではこちらも静かに生活するようにしましょう。
近寄ってくれるようになっても、嬉しさのあまりもみくちゃに触ったり、ぎゅーっと抱きしめると嫌われやすいので、軽いスキンシップに留めましょう。
しつけは飼い主が上手に誘導しよう
いくら自分が正しいと思っている猫でも、しつけはしないといけません。猫の性質的に、命令して言うことを聞いてくれることはほとんどない、ということを理解した上で予防策を立てましょう。
困ることをされるまえに予防する
猫の困った行動は、飼い主からすれば困った行動でも、猫にとっては道理にかなった行動という可能性もあります。だから、猫が問題を起こしたときは「なぜその行動をとったのか」を考えて、同じ行動をとられないよう予防策を立てることが大切です。例えば上ってほしくない場所にはガムテープを貼っておいて、猫が上ったら不快感を感じるようにする、などの予防策を立てることができます。
猫にとって人は「母猫」代わり
子猫気分が残っているから甘えてくれる?
猫は単独行動の性質を持つ動物とはいうものの、なついてくれることも多くあります。どうやらなついてくれる理由には、猫にとって飼い主が「母猫」の存在になっていることが関係しているようです。
本来は母猫から追い出されて自立する動物
猫は本来、ある程度成長すると、母猫から追い出しをかけられます。追い出しをかけられる理由は、自立して一人で縄張りを作って生きていけるようにするためです。だから、本来の猫は人になつくことは基本的に考えられません。たとえていうなら、野良猫などもそれに近いかもしれません。
人と猫とは「親子」のような関係
飼い猫が人になついて、一緒に暮らせるのは、飼い主のことを「母猫」のように感じているからと言われています。猫にとって飼い主は、ご飯を与えてくれて、構ってくれる存在であり、追い出されることもありません。だから安心して、甘えてくれるのだと考えられます。人と犬とは「リーダーとメンバー」ですが、人と猫とは「母猫代わりと子猫」という関係に近いと理解していれば、接し方の参考になりますね。
体をこすりつけるのは甘えている証拠
具体的に猫が甘えてくれている時というのは、猫が歩み寄ってきて、足などに自分の体をこすりつけるときです。他にも、手などを吸うしぐさが見られることもあります。どちらも、母猫におっぱいを求めるときのしぐさの名残と言われていて、甘え癖の一つです。ちなみに顔だけをこすりつけるときは、マーキングで、甘えているわけではありません。
猫と仲良くするコツ
猫に嫌われるようなことはしない
猫になついてもらって仲良く暮らすには、とにかく猫に嫌われないことです。前述した過剰なスキンシップを取ると、途端に嫌われやすくなります。猫は執念深く、嫌なことはずっと覚えていることが多いので、一度嫌われると関係修復に時間がかかることもあります。だから嫌われないよう、次のポイントを意識して接するようにしましょう。
猫の性格を探る
猫の性格にもそれぞれに違いがあります。基本的に人に触られたくない猫もいれば、比較的人が好きな猫、自分が安心できると感じたら仲良くしてくれる猫など、さまざまです。だからまず、自分の猫はどんな性格か観察するところから始めましょう。性格を知った上でお世話をすれば、猫のストレスも減らせますし、飼い主の心のゆとりもできるはずです。
もし自分の猫が人見知りの猫だったら・・
比較的人と触れ合うのが好きな猫の場合は、少し時間が経てば慣れてくれることが多いですが、問題なのは人見知りの場合です。観察してみて、自分の猫が人見知りだと思ったら、まずは空気のような存在になることから始めてみてください。
- 触らない
- 目を合わさない
- お世話もそーっとする
自分の猫がよっぽど人嫌いな性格なら、頑張っても仲良くなるのは難しいかもしれませんが、たいていの猫は「追われるより追うのが好き」です。時間はかかるかもしれませんが、「自分に興味がない、触ってこない」と認識できたら、安心して近づいてくれる可能性が高くなります。
猫の嫌いなニオイに気を付ける
猫はタバコのニオイや柑橘系のニオイが嫌いです。そのため、猫のいるところではタバコやミカンを控えたり、触れる前は手を洗うなどの配慮をしましょう。柑橘系の香りもあるアロマオイルにも注意が必要です。人にとってはいい香りですが、猫はアロマオイルを分解する力を持っていないため、中毒を起こす危険性があります。
猫の鳴き声、しぐさで気持ちを察する
猫の鳴き声は、「ニャー」だけではありません。長かったり、短かったり、意外とバリエーション豊かです。特に気を付けたいのは、「ニャッ」と短く鳴くときです。短く鳴くときは、嫌がっている可能性が高いです。反対に長く「ニャ―――」と強く鳴いたら、ご飯をねだったり、構ってほしいというアピールと考えられます。
また、猫は機嫌がいいと「ゴロゴロ」鳴くことはよく知られていますが、嬉しいときだけ「ゴロゴロ」いうわけではありません。不安やストレスを感じているときにも鳴らすことがあるので、触っているときに「ゴロゴロ」と言い出したら嫌がっていないか、注意して様子を見ましょう。他にも、自分が触ったあと「グルーミング」と呼ばれる毛づくろいを激しくしだした場合は、触ったことがストレスになったのかもしれません。
猫の性質を知ってストレスをかけないことが、長く仲良く暮らすコツ
好かれるためには待つことも大切
猫とできるだけ長く、仲良く暮らすには、何よりも猫に嫌われないことが第一です。そのためには、猫の性質を理解しておくことが必要です。基本的に協調性を持たず、自分の思うまま行動し、警戒心が強いものの、一旦警戒がとけると、飼い主のことを「母猫」のように思って甘えてくれることもあります。ただし、甘えてくれるからと、そこで必要以上に構うと、また嫌われる原因にもなりかねません。
仲良く暮らしていくには、猫と適度な距離を保ち、意識的になるべく猫がストレスを感じずにすむ状況を作ってあげることがポイントと言えます。
猫と仲良く暮らすコツは猫への理解を深めること
- 猫は犬と違い、単独行動をする動物なので、周りに合わせたり、従うことはないと理解しよう。
- 猫は警戒心が強いので、慣れてくれるまではじっと待つことが嫌われないための大きなポイント。
- 警戒心がとけて猫の方から近寄ってくれても、軽いスキンシップを心がけよう。嬉しさのあまり必要以上に触ろうとすると、また嫌われるかも。
- ただし、猫の性格も個体差があるので、構ってほしい性格の猫ならスキンシップを大切に。