犬を家に迎え入れる方法として、保護されている犬や、引き取り手を探している犬の里親になるという方法があります。実際に家に迎え入れるには、クリアしなければならない条件があったり、心身ともに傷ついた状態の犬を飼うには、難しいことや大変なこともあります。今回は、犬の里親になるための心構えやその方法についてご紹介します。
里親の情報や迎え入れるまでの流れ
直接やりとりをするか譲渡会で見つけるのが一般的
犬を飼う家庭が一般的になっている一方で、捨て犬や保護される犬は後を絶ちません。そして、そうした犬たちを救おうと活動をされている方々も大勢いらっしゃいます。犬の里親になりたいと思ったら、そうした保護活動をされている方や団体と直接やりとりをするのが一般的です。あるいは、「譲渡会」と呼ばれるイベントを利用するのも一つの方法です。
インターネットで検索
犬の里親募集の情報は、インターネットで検索するとたくさん出てきます。個人で活動されている方もいれば、団体もあります。応募可能な地域が決められていることがありますが、そうしたサイトを通じて直接電話をかけたり、メールでやりとりをすることができます。
譲渡会や里親の活動へ出席
インターネットを利用した場合、申し込みをするまで実際に犬を目にすることは難しいため、「譲渡会」と呼ばれるイベントに、積極的に参加するのも一つの方法です。これは、保護された犬を飼いたいと思う人に紹介するためのイベントで、多くの人に出会えるよう各地で開催されています。
里親になるまでの流れ
実際に里親になるまでには、いくつかのステップを踏むことになります。まずは、保護活動をされている方や団体への申し込みをした後、書類のやりとりや面談をします。面談では、里親に慣れる条件を満たしているか、細かいチェックが行われます。問題がなければ、引き取る犬を見つけて家に迎え入れます。
里親になるための条件
引き取りたいという気持ちだけでは難しい
犬の里親になるためには、飼いたいという気持ちだけではなく、犬にとって快適な飼育環境を整える事が重要です。そのため、里親募集をされている方や団体への申し込み、および面談では里親になれる条件を満たしているかどうか確認されます。
一般的に求められる条件とは
里親になるために設けられている条件は、それぞれの団体によって内容が異なることがありますが、一般的には次のような条件を満たしていることが求められます。
- 家族全員の同意があるか
- 最後まで面倒を見ることができる環境が整っているか
- 先住犬やその他のペットがいる場合、保護犬を引き取れる環境にあるか
- 近況報告をできるかどうか
犬を飼うということは、新しい家族が増えるということです。そのため、誰か一人が飼いたいと思うだけではなく、家族全員の協力なしで飼い続けることは困難です。ましてや、犬アレルギーの方がいる家庭では、せっかく引き取ってもまた手放すことになりかねません。また、一度引き取ったあとも保護してくれた方や団体と、定期的にコンタクトを取り合うことを条件とされる場合もあります。
最後まで面倒を見ることができる環境とは
里親になるための条件は、引き取ったあとに問題が起こらないよう、犬たちが幸せに暮らせるようにという思いが込められています。例えば、先ほど条件にあげた、「最後まで面倒を見ることができる環境」については、具体的に次のようなポイントをクリアする必要があります。
- マンションやアパートの場合、ペット可の物件であるかどうか
- 一軒家の場合、犬が逃げ出さないようしっかりした塀、あるいはフェンスがあるか
- 自分の年齢が、犬の面倒を最後まで見られるに足りているか
- 毎年のワクチン接種や日々の諸費用、病気やケガをしたときの治療代が支払える能力があるか
保護された犬たちは、他の犬たちと比べて警戒心が強かったり、不安な気持ちから迎え入れたあと逃げ出すことがあります。そうしたトラブルを防ぐため、一軒家の場合は、犬が逃げ出さない環境であることが求められます。また、犬を飼うとなれば、毎年のワクチンや狂犬病の予防接種代、病院代、あるいは日々のご飯代やお手入れの費用がかかるため、ある程度の収入が必要とされます。
そのため未成年の方が里親になりたいと申し出ても、受け入れてもらえないことがあります。また、収入があっても、高齢の方や、犬を最後まで見られる健康状態にない人の場合は、引き取ることが難しいと判断されます。それ以外に、誰かの代理で申し込む場合も、断られるケースが多くあります。さらに、ペット可の物件であっても、一人暮らしの方は引き取りを認められないこともあります。
先住犬がいる場合は去勢・避妊手術を
既に現在、犬を飼っているというおうちの場合は、その犬が去勢・避妊手術をしているかどうかがチェックされる場合が多くあります。これは先々で新たなトラブルや、保護犬を生み出さないようにするためです。犬以外でも、他のペットを飼っている場合は、そのペットと引き取る犬とが仲良くできそうかどうかもチェックされます。この他にもそれぞれの保護団体によって、細かい規定があるので、よく確認してから申し込みを行いましょう。
里親になる心構え
心身に傷を負っていることも多い
里親を探している犬は、飼い主に捨てられたり、迷子になって保護された犬だけでなく、悪質なブリーダーによって捨てられたり、そこから救出された犬もいます。そうして保護された犬の中には、劣悪な環境で飼育され、心身に傷を負っていることも多いです。そうした悲しい傷を負った犬を引き取ることは、難しいことや大変なことも多々あります。このような困難な状況にも向き合えるかどうか、冷静に検討してみてください。
数週間はそっと見守る
一度保護された犬は、その経験から家に連れてきてもすぐには馴染めず、信頼関係を築くまで時間がかかることがあります。里親としては辛いですが、犬が「ここは安心」と思えるまで、そっと見守るようにしましょう。また、初めのうちは慣れない環境で体調を崩す場合もあります。万が一体調を崩してしまった場合は、すぐに気づいて対処してあげることが大切です。
特に、引き取る前の状態が分からない犬の場合は、どんな病気を持っているか、体調を崩しやすい体質かなどが分かりにくいことがありますので、こまめなチェックが必要です。不測の事態に備え、何かトラブルがあったときに、迅速な対処ができるよう、事前にかかりつけの動物病院を見つけておくと安心です。
ネームタグをつける
里親となったら、まず最初にネームタグや、狂犬病予防注射済票のついた首輪をつけてあげましょう。これは、保護された犬は昔の体験などから、迎え入れても逃げ出してしまう恐れがあるからです。万が一脱走しても、ネームタグを付けていると見つかる可能性が高くなります。
また、慣れるまでリードを首輪に付けておく方が安心です。これは、リードがついていれば室内でいけないことをした時、すぐにそこから引き離すことができるのと、外出する際は脱走防止の役割を果たすからです。一度怖い思いをした経験を持つ犬だと、ちょっとした音や動物に驚いてパニックになり、逃げだそうとすることがあります。
何かのきっかけで牙をむくこともある
保護された犬の中には、前の飼い主から虐待を受けていたというケースもあります。そうした過去を持つ犬の場合、何かの拍子に人間に牙をむくという可能性は否定できません。このきっかけは何で起こるかはわかりません。例えば女の人は大丈夫でも、男の人に対して異常に反応したり、何か特定のモノを見ると興奮するなど、犬によって異なります。こうした行動は、トラウマになっていることもあり、成犬となってから治すのは難しいとされています。
とはいえ、迎え入れたからには、他の人に危害を加えるようなことがあってはなりません。万が一こうした兆候が見られる場合、散歩の際は人通りの少ない時間帯や場所を選ぶなどして注意や対策を行う必要があります。
待っている犬はたくさんいる
迎え入れるまでにしっかりと相談や準備を整えよう
全国にはたくさんの里親を探している犬たちがおり、引き取ってくれる人を待っています。インターネットを利用すれば、情報をすぐに得ることができます。譲渡会などのイベントに参加すれば、犬たちと会うこともできます。ただ、実際に犬を迎え入れるとなると、細かな条件をクリアしなければなりません。
また、家に連れて帰って来てからも、すぐに馴染んでくれるとは限りません。中には過去の経験から牙をむく子もいるかもしれません。それでも一度里親になったからには、最後まで面倒を見ること、その責任を果たすことが大切です。新しい家族として犬を飼うことを考えている方は、是非一度、里親になるという選択肢を候補に入れて考えてみられてはいかがでしょうか。