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犬の認知症と介護、いずれ来る別れと向き合う

散歩する犬と人

犬も年齢を重ねることにより認知症の症状が出る可能性があります。体の機能も弱り、寝たきりになった場合は介護も必要です。今回は、愛犬が認知症や寝たきりになった場合の介護方法と、いずれ訪れる別れへの向き合い方についてご紹介します。

犬の認知症による起こりやすいトラブル

犬の様子次第では、薬に頼るのも一つの手

犬が認知症になると、夜鳴きや徘徊など、これまでとは違う行動をとる可能性が高まります。まずは犬の安全確保を第一に見守ることが大切ですが、症状の進行具合によっては、薬に頼ることも一つの手段になります。

「夜鳴き」が始まったら早めに獣医へ相談を

認知症で多いトラブルの一つが、犬の夜鳴きです。認知症によって犬の中で昼夜の区別がハッキリしなくなることで、夜鳴きが起こると考えられています。例えば、昼間ウトウト眠っていたかと思えば、夜ハイテンションになって吠え始めるという症状が見られます。

夜鳴きの対処策としては、精神安定剤や睡眠薬でコントロールする方法があります。薬を使うことで認知症が進行するリスクはありますが、毎日夜鳴きされることで近所迷惑になることはもちろん、飼い主自身が参ってしまう可能性も高くなります。薬を服用させる場合は、早めに対処をしないと、症状が進行してからは効き目が出るまで時間がかかったり、大量の薬が必要となる場合もあります。そのため、兆候が見られた早い段階で一度獣医へ相談しましょう。

「徘徊」は犬自身がケガをしないよう配慮を

シニア犬が夢遊病者のように、夜な夜なフラフラと歩き回りだしたら「徘徊」の兆候かもしれません。徘徊を始める段階になると、犬自身が痛みに対する感覚も鈍っていることがあります。そのため、不用意にぶつかったりしてケガをするのを防ぐために、行動範囲をサークル内に限定して、犬を保護してあげることをおすすめします。

サークルで保護するときは、サークルの外周をスポンジ状のマットやお風呂マットなどをつなぎ合わせて、クッションを作ってあげてください。感覚が鈍った状態の犬は、ぶつかってケガをしても気づかないことがあるからです。排せつも、ところかまわずする可能性があるので、サークルの中にはトイレシートを敷き詰めておきます。

吠えだしたら薬の検討を

徘徊は、ただ黙ってウロウロしているケースもあれば、吠えながらする場合もあります。静かに徘徊している分には見守っていてOKですが、吠えるようになり、度合いが強くなってきたら獣医に相談しつつ、安定剤や睡眠薬の使用も検討しましょう。

「無気力、無反応」でも刺激は与え続けよう

認知症になると、こちらがいくら話しかけたり触ったりしても犬は無気力、無反応のままということが多くなります。ですが、反応しないからといって諦めないようにしましょう。放っておけばおくほど、犬にとっては刺激がなくなり、認知症の進行も加速しやすくなってしまいます。

認知症の進行を遅らせるために、反応がなくてもコミュニケーションを取りましょう。話しかけたり、動けるようであれば散歩に行きます。歩けない状態であれば、ベビーカーなどにのせて、お気に入りの場所へ連れていってあげても構いません。できるだけ今までと変わらない生活スタイルを維持することが大切です。時には、認知症の症状が和らぐ日もあるはずです。そんな日は、いつも以上に一緒に遊んであげてください。

飼い主を忘れて攻撃するようなら薬を検討しよう

認知症の度合いによっては、犬は飼い主を忘れることもあります。仕方ないことですが、もしそれで飼い主に対し攻撃を始めるようであれば、薬を使うことも検討してみてください。薬の副作用などを考えると、できることなら服用させたくない気持ちもありますが、飼い主自身に危険が及ぶ場合は、対策を取る必要があります。

犬が寝たきりになった場合の対策や食事の方法

飼い主としてできる限りのことをしてあげよう

犬は高齢になると、認知症とともに、運動器官が弱ることで寝たきりになる可能性もあります。犬が動けなくなった場合でも、出来る限りなでたり、話しかけたりなどコミュニケーションを取ってあげてください。他にも犬の為にできることや、食事方法などをご紹介します。

ご飯は飼い主の手で、様子を見ながら与えよう

犬が寝たきりの状態になったら、基本的に飲み水はすぐ近くに置いて犬が不自由しないようにしてあげましょう。そして、ご飯のときは一口ずつ、飼い主が口まで運んであげてください。犬の状態によっては、水が飲みにくくなるケースがあります。犬が水を飲み込みづらくなったときは、ドッグフードと水とをミキサーにかけ、ペースト状にしてみてください。

ペースト状にしたドッグフードは、ペットショップなどで手に入る注射器を使うと簡単に与えることができます。頬の内側、舌の上など犬が飲み込みやすい場所を探して少しずつ食べさせましょう。ただし、飲み込めたように見えて、気管に流れていることもあるので、ご飯のあとしばらく、犬がむせたり呼吸がおかしくないか観察するようにしてください。

床ずれ対策をしよう

寝返りが打てないほど寝たきりの状態になると、犬も床ずれを起こしてしまいます。床ずれは横顔、肩甲骨、腰骨、ヒジ、ヒザ、くるぶしといった圧力のかかりやすい部分にできます。まずは厚みのあるマットを敷いて対策を取りましょう。低反発ウレタンなど体圧を分散できる素材のものを使うのも効果があるほか、シュレッダーのクズを袋に入れて座布団状にしたものも代用できます。

マットレスは、そのままだと犬が汚す可能性があるので、ゴミ袋で覆いましょう。さらにその上からペット用のトイレシートを置き、一番上にバスタオルやシーツなどをかぶせて使います。汚れたらすぐに清潔な物に取り換えられるようにしましょう。尿の量が多いときは、トイレシートを犬の腰の下にも置いてあげると効果的です。

ほとんど動けなくなったら定期的に体位変換も

愛犬がほぼ完全に動けない状態になった場合は、30分~2時間に1回、可能な限り体位変換をしてあげましょう。様子を見るとき、床ずれの起こりやすい部分もよく観察し、少しでも赤くなっているようであれば、ひどくならないうちに獣医に相談しましょう。

寝たきりの場合オムツは使わない方がベター

犬が寝たきりの状態になったら、オムツを使わないことをおすすめします。横になった状態だと、尿漏れすることが多いからです。オムツを使うのは、まだ犬が立てる状態のときまでにしておく方がベターです。

犬の最期の看取り方を考える

自分たちのベストを尽くせるように

どんなに愛犬と幸せに暮らしていても、いつかは別れが訪れます。犬の最期をどのように看取るかについての正解はありませんが、時間が経って振り返ったとき、自分たちがベストを尽くしたと思えることが大切です。

家で看取るか、病院に入院させるか

犬の命が残りわずかだと分かった時、家で最期を看取るか、入院させるかという選択があります。病院であれば、点滴など、ある程度の治療が受けられます。ですが、24時間体制の病院でない限り、夜間に急変しても対応できないことが多いのです。限界まで入院させるか、いよいよとなったら家に連れて帰るかは飼い主の判断に任されます。

緊急蘇生をするかしないか

ショック状態に陥った犬に対して、緊急蘇生を行うかどうかも考えておく必要があります。若い犬や、比較的体力のあるシニア犬なら緊急蘇生で回復することがありますが、高齢の犬の場合は、一時的に回復はしても数十分後に再び呼吸が停止し、繰り返しても2、3回目には緊急蘇生に反応しなくなります。

旅立とうとしている犬を無理に連れ戻すことがいいのか悪いのかは、飼い主の判断に任されます。獣医から連絡を受けて駆け付けるまでの間に緊急蘇生をすることにより、最後の瞬間に立ち会うことができる可能性も出てきます。

犬が何を望んでいるかは飼い主にしか分からないこと

病気などで苦しんでいる状態の犬を見て、何がしてあげられるのか。犬を苦痛から救ってあげたいと、安楽死を選ぶ人もいるでしょうし、もう少し一緒にいたいと思う方もいるでしょう。獣医は犬の状態を見て、いくつかの選択肢を与えてくれますが、決断するのは飼い主です。犬と共に暮らしてきた飼い主にしか、犬がどうしてほしいと思っているかは分からないからです。

恐らくどの決断をしても、後から後悔せずにいられることはあまりありません。ですが、犬が何を望んでいるか、真剣に向き合って考えることで、最大限配慮した手当てはできるはずです。そうすれば、愛犬を失ったあと悩む度合いも、少しは軽くなるかもしれません。

認知症や介護が必要になっても出来る限りのケアを

辛い別れにも向き合って、ベストと思える判断をしよう

愛犬が認知症や、寝たきりで介護が必要な状態になると、元気だったころの犬と比べて辛いことも増えるかもしれません。反応してくれないと寂しいですし、寝たきりになるとご飯や床ずれ予防など、毎日のケアは大変です。ですが、認知症も寝たきりも、犬がそれだけ長生きした証です。そして、恐らく残り少ない愛犬と過ごせる大切な時間でもあるはずです。

いよいよとなった時、看取り方をどうするか、何が愛犬にとって幸せなのかを考えるのは、飼い主にとって答えが出ず、苦しいことかもしれません。それでも、どうか最後まで寄り添い、向き合って精一杯の看護をしてあげてください。

犬の認知症や寝たきり介護の対策と看取り方

  • 認知症の症状の一つが夜鳴き。吠え続けて周囲にストレスを与える前に獣医に相談して、薬を服用するか検討しよう。
  • 徘徊などの兆候が見られたら認知症の可能性あり。犬がケガをしないようクッション材を取り付けたサークルで保護するなど対策を取ろう。
  • 認知症の症状として無気力、無反応になることもある。反応してくれなくても、諦めず散歩に連れ出したり、コミュニケーションを取って、こちらからの刺激を与え続けよう。
  • 寝たきりで介護が必要になった場合は、厚みのあるマットレスで床ずれ防止対策を。食事も飼い主の手で一口ずつ様子を見て食べさせよう。
  • 犬の最期をどう看取るかという問題に正解はないが、飼い主自身が犬と向き合い、犬が望んでいることを考え、出来る限りのベストを尽くそう。

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