猫は自分で毛づくろいをしますが、シャンプーは必要ないかと言うとそうではありません。今回はどんなときにシャンプーが必要かということと、安全なシャンプーの選び方や、洗い方についてご紹介します。
猫もシャンプーが必要なときはある
シャンプーをする時の注意点は?
猫は長毛種と短毛種とに毛の長さが分かれます。それぞれ、シャンプーが必要になるタイミングは異なります。シャンプーをする際の注意点と合わせて知っておきましょう。
短毛種は換毛期ごと、長毛種は定期的に
同じ猫でも、短毛種の場合は毛が短いので、普段は自分の毛づくろいだけで十分です。短毛種がシャンプーを必要とする時は、換毛期です。普段よりも抜け毛が多くなる春や秋は、毛づくろいでは追いつかないので、シャンプーをしてあげましょう。
対する長毛種は、毛が長い分毛玉もできやすく、普段から定期的なケアが必要です。調子が良ければ月1回くらいを目安にシャンプーをしてあげましょう。
シャンプーもやりすぎは厳禁!
短毛種の場合は換毛期の間に1回の頻度、長毛種も定期的に、といってもやりすぎには注意しましょう。例えば1日おきにする必要はありません。シャンプーをこまめにしすぎると、猫の毛に必要な脂分までとってしまい、パサパサになります。皮膚の脂分もなくなるので、肌が弱くなり、かえって健康によくありません。
ただし、どんなにシャンプーが必要といっても、気温が低く、乾きにくい冬場は、基本的にシャンプーは避けた方が無難です。他にも、予防接種の前後2週間も体調を崩しやすいので避けましょう。もちろん猫の体調を見てあまり具合がよくなければ、無理にシャンプーをする必要はありません。
シャンプーは猫がなめても安全なものを選ぼう
当然ながら、猫に使用するシャンプーは、動物用のものでなければなりません。そしてできれば、猫が毛づくろいをしてなめても安全なものを選びましょう。例えば大豆やハーブなど植物由来のシャンプーや、「純石けん」で作られたシャンプーなどであれば、比較的安心です。界面活性剤や香料、アルコールは入っていないものを選びましょう。他にも、重曹を溶かしたお湯をシャンプー代わりに使っても構いません。
猫をシャンプーするときの洗い方
洗い方は「優しく」が基本
猫は元々水が嫌いな場合が多く、シャンプーも苦手です。洗うときは、時間をかけて優しくゆっくりと、猫の様子を見ながらシャンプーするように心がけましょう。具体的な洗い方のポイントは次の通りです。
まずはブラッシングをする
いきなりシャンプーするのではなく、まずはブラッシングから始めましょう。長毛種の場合、毛がもつれやすく、そのまま濡らすと固まって、毛玉ができやすいからです。優しくブラッシングしながら、下毛も目の細かいブラシを使って取り除いておくと、後の掃除も楽になります。
肛門腺を絞る
シャンプーの前にもう一つ、肛門腺を絞っておくこともポイントです。猫の肛門には、時計でいうと4時と8時の位置に当たる部分に、強いニオイを出す分泌器官を持っています。ニオイを出すことで、猫同士でコミュニケーションを行います。シャンプー前に肛門腺を絞ることは、炎症を防ぐために効果的です。ただ、猫は肛門を触られるのを嫌がることが多いので、できれば2人で行うことをおすすめします。
肛門腺から出る分泌物のニオイは強烈なので、ゴム手袋やティッシュを使いましょう。絞るときは、まず、しっぽを根元から片手で持ち、猫が痛がらない程度まで上に持ち上げます。そしてもう片方の手で、肛門を人差し指と親指を使い、下側から押し込むようにして絞ります。もし、分泌物が固まっているようであれば、無理をせず、動物病院で相談するようにしてください。
シャンプーはベビーバスを使おう
肛門腺が絞れたら、いよいよシャンプー開始です。シャンプーをするときは、ベビーバスやタライなどを使って行う方が、猫の恐怖心も抑えられやすく、おすすめです。まずは38~39℃くらいのお湯をタライに入れ、適量のシャンプーをお湯で希釈します。そして、指先を優しく猫の毛の中に差し込み、毛並みに沿ってなでるように洗います。洗うときは、毛を逆なでないよう注意しましょう。
背中から始め、脇腹、お腹と洗い、お尻付近は念入りに洗います。顔まわりは嫌がらなければ、柔らかいスポンジを使って洗います。リンスは途中で手にとり、お湯で溶かして使います。それから洗い流しましょう。ここでシャンプーやリンスを十分にすすぎ落すことが大切です。ただし、お湯はあまり勢いよく出しすぎないように注意してください。
乾かすのはタオルドライを中心に
すすぎ終わったら、乾いたタオルでよく水分をとばします。タオルも毛の流れに沿ってふきとるのがポイントです。ドライヤーは苦手な猫が多いので、無理に使わなくてもOKです。嫌がらないようであれば、ドライヤーをお尻の方からかけ、ある程度乾いたところで根元にドライヤーをあてて完全に乾かします。乾いたら、もう一度ブラッシングをします。毛がもつれるのを防ぐためです。
猫をシャンプーするときの注意点
シャンプー嫌いな猫は無理強いしないことが大切
猫によってはシャンプーをとことん嫌うこともあります。嫌がる猫を無理に洗うと、トラウマにもなりかねません。猫が嫌がるときは、次のような方法でもシャンプーの代用になるので、試してみてください。
蒸しタオルでふき取る
水自体が苦手な猫には、蒸しタオルで汚れをふき取るだけでもOKです。シャンプーをするときも、最初は顔まわりを避けて洗い、シャンプーが終わってからウェットティッシュなどで顔だけふき取ってあげるのがおすすめです。
部分シャンプーなどを使う
部分シャンプーやドライシャンプーを使って、汚れた部分だけ洗うという方法もあります。ふき取るだけでは落ちない汚れなどには、有効な手段です。
シャンプーするときは事故に注意
猫がシャンプーに慣れてきたとしても、何がきっかけでパニックが起こるか分かりません。シャンプーをするときは、必ずお風呂の扉は閉めておき、浴槽にはフタをしてからするようにしてください。
猫のシャンプーは必要に応じて行うのがベスト
猫がなめても安全なシャンプーを使い、無理のない範囲で行おう
猫は自分で毛づくろいをしますが、短毛種の場合は換毛期に1回、長毛種の場合はある程度定期的にシャンプーしてあげる方がベターです。ただし、猫の体調や、気候に応じて適宜調整してください。使用するシャンプーは、猫が毛づくろいをしても安全なように、自然由来のものや、「純石けん」と呼ばれる余分な成分が入っていないものを選びましょう。手軽にすませるのであれば、重曹をお湯に溶かすだけでもOKです。
猫によっては水を嫌がることもあるので、蒸しタオルや部分シャンプーなど、猫の性格に応じて出来る範囲できれいにしてあげましょう。ただし、猫がシャンプーに慣れてきたとしても、浴槽にフタをしたり、脱走を防ぐなど、万が一のトラブルにも備えることも大切です。ある程度のシャンプーは必要ですが、シャンプーのしすぎも猫の肌トラブルを招きやすくなるので、ほどほどにしながらきれいにしてあげましょう。
猫のシャンプーを行う頻度とシャンプーの選び方、洗い方
- 短毛種は換毛期に1回、長毛種は月1回など定期的にシャンプーを行う。ただし予防接種前後や猫の体調が悪いとき、冬場などは無理にシャンプーをしなくてもOK。やりすぎもトラブルの元。
- シャンプーは動物用のものの中でも、特に、猫がなめても安全な大豆など植物由来のものや、界面活性剤などが入っていない純石けんがおすすめ。あるいは重曹をお湯に溶かしたものも代用できる。
- シャンプーをする場合はブラッシング、肛門腺を絞ってから始めること。ベビーバスやタライなどにお湯を張り、ゆっくり優しく洗おう。乾かすときはタオルドライを中心に。
- 水が嫌いな猫は蒸しタオルや部分シャンプー、ドライシャンプーを活用しよう。
- シャンプーをしている間、事故が起こらないようにお風呂場の扉を閉めたり、浴槽にフタをすることも忘れないようにしよう。