猫がトイレを覚えて家の環境にも慣れてきたら、徐々に触れ合う時間を作りましょう。抱っこまでできるようになれば、お手入れをスタートする段階に入ります。猫は自分で毛づくろいをするなど、きれい好きな面があります。それでもグルーミングなどでお手入れしてあげることで、より健康維持につながります。そして、さらにそれがコミュニケーションの時間となり、絆を深めるきっかけになります。
初めてのお手入れはグルーミングから始めよう
お手入れの代表格といえばグルーミングです。ブラシなどを使って毛並みを整える作業ですが、それだけでなく病気を予防することもできる大切なお手入れのひとつです。
グルーミングの方法とポイント
グルーミングすると、毛並みを整えられる他、抜け毛や汚れを落とすこともできます。それによって、皮膚病や寄生虫の予防にもつながります。また、ブラッシングで適度にマッサージすることもできるので、新陳代謝アップにも効果的です。そんなグルーミングの方法とポイントは次のようなことを意識して行ってみてください。
スリッカーブラシを使おう
猫のグルーミングではスリッカーブラシを使うと便利です。ハードとソフトのタイプがありますが、できれば硬めのものを使うのがおすすめです。長毛種、短毛種に関わらずこのタイプでお手入れが可能です。ただしブラシが硬い分、使用前に一度自分で痛くないかどうか、力加減や方向を確認するようにしてください。
お手入れの方法
グルーミングは、長毛種、短毛種ともに比較的嫌がることの少ない頭の後ろや首回りから始めます。それから背中、しっぽと移動し、終わったら仰向けにさせてお腹周りをブラッシングします。仰向けのときには、膝の上にのせて行うとスムーズにできます。
ただし、長毛種の場合、毛が長い分次のような手順で行うことをおすすめします。
- 最初に、目の粗いブラシがあればそれを使って体全体を丁寧にブラッシングし、毛が絡まっていないか確認します。
- 引っかかりがなくなったら、スリッカーブラシで全体を丁寧にブラッシングします。耳の後ろなどは毛が柔らかく、毛玉ができやすいので特に念入りにブラッシングしましょう。
- 全体をブラッシングしたあと、余裕があればコームを使ってもつれや毛玉がないか確認します。
- 足先や足裏の毛が伸びすぎていないかもチェックします。もし気になる場合はペット用ハサミでカットしましょう。難しい場合はトリマーさんにお願いすることをおすすめします。
グルーミングをする際は、親猫が子猫をなめるようなイメージで、優しく丁寧に行うことが大切です。
グルーミングをする際のポイント
グルーミングする際は、毛の流れに沿って行うと絡まらずにできます。また、ノミを見つけたらつぶさず、台所洗剤を数滴たらした熱湯の中にそのブラシを入れるか、ガムテープに貼り付けて捨てるようにしましょう。つぶすと、もしかしたらノミの中にある卵が猫の体に付着してしまい、そのまま孵化してしまう危険があります。
また、猫はあまりじっとしていられないため、グルーミングは1回3分ほどの短時間で終了することがポイントです。それでも途中で嫌がった場合は、無理強いしないようにしましょう。無理に押さえつけて続けると、次回からはブラシを見ただけで逃げ出してしまうかもしれません。
一度では終わらないかもしれませんが、根気よく、こまめに行うことが大切です。継続することで毛玉もできにくくなり、毎回のお手入れもスムーズに行うことができます。それは猫にとっても人にとってもいいことですよね。できれば健康維持のために、少しでも毎日続けることをおすすめします。慣れないうちは、2人がかりでお手入れするのも一つの方法です。その場合1人が膝の上に抱っこして、もう一人がグルーミングします。その方が事故などの危険性を減らすことができます。
猫自身の爪とぎで間に合わない分は爪切りしよう
猫は爪とぎの習性を持っています。爪とぎ用のグッズを置いておけば、自分で爪とぎをしてくれますが、それでも間に合わないほど伸びているときは切ってあげましょう。
爪切りの方法とポイント
爪切りの目安は月1~2回くらいと言われています。定期的に確認して、伸びているようであればお手入れしてあげましょう。その際の方法とポイントは次の通りです。
猫用の爪切りを使おう
ペットのお手入れ用品はたくさんありますが、猫の爪切りにも専用のものがあるのでそれを使うのがおすすめです。爪の先を歯の間から出してカットするように作られているため、安定感があり、安全性も高いです。ただしハサミには違いないので、ケガをしないよう慎重に使いましょう。
お手入れの方法
猫の爪を見ると、血管が透けて見えています。この血管が途切れた部分からカットします。しっかりと猫の足先を握り、動かないよう固定した状態で爪切りをしましょう。爪切りも2人1組で行う方が怪我の危険性を減らすことができます。もし猫が途中で動いたりすると、手元が狂って血管を切ってしまう可能性があります。あるいは深爪になることもあります。万が一出血した場合は、止血剤を押し当てて応急処置をしましょう。できればそうならないよう、細心の注意を払うことが大切です。
自分ではお手入れするのが不安だなというときは、トリマーさんにお願いするのも一つの方法です。
爪とぎグッズを置く場所
爪切りをするとき以外は、猫自身に爪とぎをしてもらいましょう。市販でも爪とぎグッズがたくさん売られているので、猫が爪をとぎたくなるような場所に、何か所か設置するようにします。例えば家の壁や家具などです。いくつかおくことで、されたら困る場所での爪とぎを防ぎ、猫としてもしたいときにすぐできる環境が整い、心行くまで爪とぎをすることができます。
とはいえ、猫の気分によっては爪とぎグッズを設置している以外の場所でも爪とぎをしようとすることがあります。そんなときは、その雰囲気を感じ取ったときにサッと爪とぎグッズを与えてそこでしてもらうように誘導しましょう。
そのほかのお手入れについて
グルーミングや爪切りなどのように定期的に行うお手入れではないものの、気づいたときにしてあげたいこともいくつかあります。
汚れに気づいたら拭いてあげよう
頻繁にするお手入れをする必要はないものの、耳掃除や顔まわりなど、汚れに気づいたときにしてあげたいお手入れもあります。その方法やポイントについてご紹介します。
耳掃除には猫用の綿棒が便利
猫の耳掃除には猫用の綿棒があると便利です。あるいはコットンでも構いません。それらに水かイヤークリーナーを含ませて拭いてあげましょう。その際、猫をしっかりと押さえて、動かないようにすることが大切です。また、あまり奥まで綿棒を入れると耳アカまで押し込んでしまい、逆効果になることもあるので注意しましょう。優しくお手入れしてあげてください。
もし奥の方が汚れているなと思ったら、外耳炎の疑いがあります。その場合は病院で一度診てもらうことをおすすめします。
顔まわりはウェットシートが便利
もし目ヤニなど、顔まわりの汚れに気づいたときは丁寧に拭いてあげましょう。ウェットシートがあると、サッと取り出して拭いてあげられるので便利です。
お風呂はシャンプータオルなどを活用しよう
猫は一般的に水を嫌う動物です。そのため無理にお風呂に入れる必要はありません。ただ、体が汚れていたりニオイが気になるというときは、シャワーをかけて洗って上げましょう。その際、なるべく短時間で済ませられるようにしてあげてください。また、洗い終わったら素早く毛を乾かしてあげることもお忘れなく・・・。
猫用グッズには拭くだけで汚れを落としたり、毛に潤いを与えられるシャンプータオルもあります。このような便利グッズを使えば、嫌いな水に触れることなくきれいにしてあげることができます。ただし、猫は自分で毛づくろいをする習性を持っているため、シャンプータオルなどを使う場合は、毛についた成分を猫がなめても安全に作られているものを選びましょう。
猫の健康管理とコミュニケーションに必要なお手入れ
グルーミングや爪切りなどのお手入れは、猫が自分で毛づくろいしたり爪とぎをするだけでは不十分な部分を補ってあげるためにも必要なことです。そうしてお手入れしてあげることで、猫の健康状態を把握し、異常がないかを確認することもできます。
無理のない範囲で短時間でもできるだけ毎日続けよう
触れられるのを嫌がる猫もいるため、毎回のお手入れはできるだけ短時間で終わらせることが重要です。もし嫌がったりした場合は無理強いしないようにしましょう。グルーミングなどはこまめに続けることで、毎回のお手入れが楽になることも多いので、こまめに続けることが重要です。ただし、もし自分ではお手入れが不安というときはトリマーさんなどプロに頼みましょう。少しずつお手入れを続ける中で、猫とのコミュニケーションを取ったり、信頼関係を築くことにもつながります。
猫のお手入れ、ここがポイント
- グルーミングは病気予防にもなるため、できれば毎日短時間でも行いたいお手入れ。スリッカーブラシを使って、毛の流れに沿い頭の後ろ、首回りから徐々に体全体をブラッシングしよう。
- 爪とぎグッズは何か所かに設置し、それでも間に合わないときは月1~2回の爪切りをしてあげよう。その際、専用の爪切りで血管を切らないよう注意すること。ただし不安なときはプロに頼もう。
- 耳掃除には猫用の綿棒が便利。ただし耳の奥まで綿棒を入れすぎないこと。
- 目ヤニなどはウェットシートを活用しよう。水が嫌いな猫はお風呂はなるべく避けた方が無難。シャンプータオルなどの便利グッズを活用しよう。
- 慣れないうちのお手入れは、2人がかりで行うことがおすすめ。
お手入れに慣れてくれるまでは大変ですが、徐々に慣れてくると、猫の健康維持はもちろん、家族と猫とのきずなもきっと深まっているはずです。