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注意!犬から人への感染症|犬と触れ合ったあとは手洗いを忘れずに

犬と手

犬との触れ合いの時間は楽しいものですが、そこには危険も潜んでいることをご存知でしょうか?感染症がその一つです。犬はもちろん、人へも感染する病気はいくつかあり、症状の重いものもあるので注意しなければなりません。今回は犬から人への感染経路や、気を付けたい病気についてまとめました。

犬から人へ感染する病気の種類

たいていは病院で治療を受ければ治る

人と動物、両方に感染する病気のことを「人畜共通感染症(ズーノーシス)」あるいは、「人獣共通感染症」と言います。その原因は、細菌やウイルスなどで、たいていの場合は、病院で治療を受ければ治ります。ただ、犬がかかった場合は、重症になったり、人も免疫力の弱っている高齢者や小さなお子さんの場合、注意しなければならないこともあります。まずはどんな種類の病気があるのか見ていきましょう。

特に注意したい病気

まずは、犬は無症状でも人が感染すると重症化するなど、特に注意したい病気をいくつかまとめました。

  • エキノコックス症
  • Q熱
  • レプトスピラ病

特にエキノコックス症やQ熱の場合は、犬は感染していても無症状ということがあるので気を付けましょう。

エキノコックス症の症状

エキノコックス症は、「エキノコックス」という寄生虫が、主に肝臓に寄生する病気です。キツネや野ネズミなどが持っていることが多いですが、犬から人へ感染することもあります。初期症状はあまりないですが、徐々に癌のように増殖し、周囲の組織へ入りこみ、転移する可能性があります。放っておくと、臓器がむしばまれ、重症化します。

Q熱の症状

Q熱は「Q熱コクシエラ」という細菌によって引き起こされる病気で、発熱や頭痛などインフルエンザに似た症状が出ることが多く、時には肺炎や肝炎なども引き起こすことがあります。猫からの感染が多いと言われていますが、犬が感染していてその糞尿、あるいは出産時の胎盤などに触れることで菌を吸入し、感染することもあります。

Q熱は急性と慢性に分けられ、急性であれば潜伏期は2~3週間と言われています。多くの場合、自然に治りますが、その実態はまだ分からないことも多く、症状もインフルエンザや肺炎に似ていることもあって、Q熱かそうでないかは診断が難しいとされています。また、弁膜症を患っている人の場合、心内膜炎など重症化することがあるので注意が必要です。

レプトスピラ病の症状

レプトスピラ病は、既に感染している動物の尿で汚染された下水や川、泥などを通して、皮膚に触れて感染します。例えば、感染した犬が電柱にかけたおしっこのニオイをかいだり、汚染された川に入ったりすると危険です。あるいは、汚染された飲食物を摂取することで感染することもあります。潜伏期間は3~14日と言われ、突然悪寒がしたり、高い熱、目が充血するなどの症状が現れます。その後、黄疸や出血傾向が強くなることもあります。レプトスピラ病は、犬のワクチン接種によっても予防できますが、種類が多くすべてに対応できていないのが実情です。そのため、川などに不用意に入られないことをおすすめします。

他にもある、思わぬ病気

犬から人への感染症は、他にも次のような病気があります。

  • 猫ひっかき病
  • パスツレラ症
  • カプノサイトファガ症
  • イヌブルセラ症
  • カンピロバクター症
  • エルシニア症
  • イヌ・ネコ回虫症
  • 犬糸状虫症(フィラリア)
  • ライム病
  • バベシア症
  • ノミ・ダニ
  • 皮膚糸状菌症

エキノコックス症にキツネのイメージがあるように、「猫ひっかき病」など、猫からうつる病気のイメージがあるものも、犬からうつることがあるので注意が必要です。同様に、犬の疾患として代表的なフィラリアや、イヌブルセラ症も、まれに人へ感染するケースがあるそうなので油断できません。

狂犬病は要注意!必ず予防接種を

犬から人への感染症として特に怖い病気が、狂犬病です。この病気は、犬だけでなくすべての哺乳類が感染する可能性があり、一度発症すると100%死に至るものです。日本ではここ60年ほど発症例がなく、根絶されたように思われていることもありますが、世界的に見るといまだに毎年、55,000人以上が亡くなっています。

狂犬病はウイルスに感染した動物から、傷口や粘膜などを通して発症することがほとんどです。そのため、愛犬のためにも、自分たちや周りの人のためにも、毎年の予防接種を忘れないようにしましょう。

犬から人、どういう経路で感染するのか

犬との触れ合いが元でかかる場合も

次に、犬から人へ病気が感染する経路についてご紹介します。レプトスピラ病のように、汚染された川から経皮感染する場合もありますが、実は犬との触れ合いが元で病気をうつされることもあります。

外傷感染

一番多い感染ルートは、外傷感染です。これは、感染した状態の犬にかまれたり、引っかかれたりしてうつります。犬を室内で飼っている場合でも、散歩のときに感染するケースがあります。また、特に難しい病気でなくとも、動物の爪には雑菌が多く存在するため、小さい傷でも油断はできません。

外傷感染の具体的な例は、先ほどご紹介した病気でいうと、猫ひっかき病、パスツレラ症、カプノサイトファガ症がそれにあたります。それぞれ発熱や痛みを伴うケースが多いです。パスツレラ症の場合は、「日和見感染症」ともいわれ、免疫力が低下したときにだけあらわれることもあります。

経口感染

経口感染も、外傷感染と同じく多くみられる感染ルートの一つです。犬を触ったあとや、フンを始末したときなどに手を洗わずにいた場合や、口移しで食べ物を与えたときなどに起こります。イヌブルセラ症やカンピロバクター症、エルシニア症などは経口感染によって起こりやすいです。

イヌブルセラ症の症状

イヌブルセラ症の場合は、発熱などの他、犬に起こる症状と同じで男性であれば、まれに精巣炎が起こり無精子症になるケースもあり得ます。他にもリンパ節や肝臓、脾臓などが腫れるなどの重症となるケースもあります。

カンピロバクター症の症状

カンピロバクター症は食中毒菌の一つで、発熱や嘔吐、下痢などの症状を伴うことがあります。食中毒なので、食べ物から感染することも多く、ノロウイルスなどと並んで、よく知られる細菌の一つです。エルシニア症も細菌が引き起こす病気で、発熱、強い下痢などの症状が出ます。

イヌ・ネコ回虫症

イヌ・ネコ回虫症も経口感染しやすい病気です。回虫は、犬が他のフンのニオイをかいだとき、体内に入りやすく、条虫はノミをかみつぶしたときに、その中に入っている幼虫が口の中に入ることで発症します。そこから人へと感染するのを防ぐためには、まず犬を汚いものに近寄らせないようにすることが先決です。ノミはつぶさず、テープに貼り付けて取りましょう。感染していないか確認するために、定期的な検便も有効です。

ベクター感染

ノミやダニが媒介となり、感染することをベクター感染と言います。ライム病やバベシア症がそれにあたります。また蚊によるベクター感染がフィラリアです。

接触感染

皮膚糸状菌症は水虫などと同じ真菌の一つですが、こちらは感染している犬などに触れることで発症するため、接触感染と呼ばれるルートになります。接触感染の場合、健康な状態であれば抑え込めるものが、たまたまその時免疫力が低下していて、発症するというケースもあります。

ノミやダニによる寄生虫

その他、犬にも起こりやすく、人へ感染する可能性のあるものとして、ノミやダニと言った寄生虫の存在も忘れてはいけません。今は昔に比べ、衛生的に保たれていることが多く、感染するリスクは減りましたが、それでも可能性がないわけではありません。

手洗いを忘れずに!犬から人への感染を抑えるためのポイント

清潔を保つことが第一

犬から人へ感染する病気は、まず第一に清潔を保つことです。たとえ愛犬が相手だろうと、次のようなポイントを意識して接するようにしましょう。

触れ合ったあとは手を洗う

経口感染や接触感染など、感染している犬に触れることからもらう病気もあります。他のおうちの犬に触れたときはもちろん、自分の家の犬も、室内で飼っているから大丈夫だろうと思わず、触れ合ったあとは念のため、手を洗うようにしましょう。

口移しはやめよう

かわいい愛犬を見ていると、ついつい口移しで食べ物をあげたくなるかもしれませんが、これも避けた方が無難です。

駆除薬を使おう

今は衛生面が整った環境にある家庭が多く、ノミやダニが大量発生するケースは少なくなりました。とはいえ、ゼロではありません。何かの拍子にノミやダニの被害がでるケースが考えられるので、そうなる前に駆除薬を付けて対策をとっておきましょう。

どんなに犬がかわいくても感染への油断は禁物

人がかかると重症化するケースがあることは忘れずに

犬から人へ感染する病気は、意外とたくさんあり、中には重症化するケースもあるため、注意が必要です。特に、狂犬病の場合は発症すると助かる見込みがまずない、というのも恐ろしいことです。感染ルートは咬まれた時の傷が元になる外傷感染を始め、感染源を持つものに触れたり、そのあとその手で食べ物を食べることで起こる経口感染など、さまざまです。

いずれにせよ、こまめに手を洗ったり、口移しを避けるなどすれば、基本的に大事に至ることは少ないです。愛犬との触れ合いの時間は大切ですが、絶対大丈夫と思わず清潔にすることも、重要なポイントです。

犬から人への感染、そのルートや防ぐ方法について

  • 犬から人へ感染する病気はさまざまで、中には犬は無症状でもエキノコックス症やQ熱など、人間がかかると重症化するものもある。
  • 狂犬病の場合、人も犬もかかると100%死に至るとされ、予防するために毎年の予防接種は必須。
  • 感染ルートは咬まれた際の傷口から侵入する外傷感染や、感染したフンなどを触るなどしたことによる経口感染や接触感染、汚染された川に入ってしまったことで起こる経皮感染、その他ベクター感染、寄生虫などがある。
  • 感染を防ぐためには、まず清潔が第一。また、どんなに可愛くても犬を触ったあとは手を洗い、口移しなどは避けよう。犬の爪や口には雑菌が多いため、大丈夫と思わず、清潔にすることがベター。

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