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犬が足を引きずっているのはケガや病気のせいかも

犬の足

犬が足を引きずる原因にはケガだけでなく病気によるトラブルや、先天性の異常なども考えられます。今回は犬の足に起こりやすいトラブルの原因についてご紹介します。

犬が足を引きずる原因

引きずる様子は「跛行(はこう)」と呼ばれる

犬が足を引きずったり、特定の足をかばう、あるいはブラブラさせている状態を「跛行(はこう)」といいます。跛行は、ケガや関節炎、病気、先天性異常などによって起こります。犬が足を引きずっているのを見つけたら、まずチェックしたいポイントがあります。

犬の足に外傷がないか

犬が足を引きずるのは、何かトラブルが起こっている証拠。まずは足に何か外傷がないか確認しましょう。

  • 足の爪が伸びすぎている、あるいは巻き爪になって歩行を邪魔していないか
  • 足の裏や肉球に何か異物がささったり、入り込んでいないか
  • 足の裏や指の間に出血や炎症が起こっていないか

夏は足にやけどをすることも

肉球は頑丈に見えて意外と傷つきやすいです。デコボコした道を歩くと、肉球を傷めて出血することもあります。さらに、指の間は傷つきやすい上に通気性が悪く、ちょっとした傷に雑菌が入り込んで趾間炎と呼ばれる炎症を起こしてしまいます。夏は灼けたアスファルトによって、足の裏をヤケドすることもあるので油断できません。

マダニに感染することも

指の間は炎症のほかに、マダニに感染することもあります。よく注意してチェックしましょう。

犬の足のケガを見つける方法とその治療方法

意外と骨折やねんざをしやすい

犬は活発なので、動き回っているうちにどこかでぶつけたりして骨折したり、ねんざをすることがあります。外傷がないのに足を引きずっている場合、もしかしたら一時的に足がしびれているだけかもしれませんが、ケガや病気も疑いましょう。特に、小さい犬や肥満犬、栄養不足の状態の犬などは、骨折しやすい傾向にあるので、注意が必要です。

犬の足を触ってみる

犬の足に何か異常がある場合、病院へ行けば、レントゲンを撮り、原因が分かることがほとんどですが、病院へ行く前に、大体どの部分に異常があるかチェックしておきましょう。足の裏などに外傷がない場合は、関節などを触ってみてください。骨折やねんざなどにケガをしている場合は、犬は触られるのを嫌がったり、怒ったりします。まれに警戒心が強い犬は、必死で平静を装うこともありますが、見ていないときは足をかばって歩いたりするはずです。

骨折やねんざの治療方法

ねんざの場合は、数日安静にしていればほとんどの場合は治りますが、骨折の場合はそうはいきません。ひどい骨折だと皮膚を突き破ったり、それが内臓を傷つけることもあるため、ギプスを着用します。骨折の度合いが複雑骨折なら、手術も行われます。


手術の可能性が高いヒザ周りのケガ

脱臼や靭帯損傷などの可能性

犬のケガで骨折などと並んで起こりやすいのが、ヒザ周りのケガです。具体的には次のようなケガが挙げられます。

  • 膝蓋骨脱臼
  • 膝の前十字靭帯断裂
  • 半月板損傷

軽い症状であれば様子を見て終わることもありますが、手術が必要となることもあります。ただし、手術で100%完治するとは限らず、場合によっては跛行が残ったり、後々同じところをケガする可能性もあります。

膝蓋骨脱臼とは

脱臼には、「脱臼(完全脱臼)」と、「亜脱臼」があります。脱臼(完全脱臼)は、関節の骨と骨とが完璧にずれた状態で、亜脱臼は骨が一部分だけ外れた状態をいいます。膝蓋骨脱臼は、ヒザの靭帯が伸びて、ヒザの「お皿」部分の位置がずれた状態です。「亜脱臼」なら自然治癒することもありますが、症状が重くなると、痛みや腫れ、ヒザから下が内側や外側に曲がるなどの変化があります。外傷が原因で起こることが多いですが、犬によっては生まれつき外れやすい場合もあります。

膝の前十字靭帯断裂とは

膝の前十字靭帯断裂は、膝の靭帯が切れた状態のことです。膝蓋骨脱臼が原因になることや、クッシング症候群と呼ばれる、ホルモン分泌が関係することもあります。靭帯が切れた場合、触ると痛がったり、歩行は足を引きずるか、ブラブラと上げたままの状態になるのが特徴的です。放置すると関節炎になることがあるため、手術をし、靭帯の移植が必要です。速やかに病院へ連れていってあげてください。

靭帯が切れる原因には、肥満による足の負担が考えられます。それ以外に、年齢とともに靭帯が弱ることで切れることもあります。

半月板損傷とは

ヒザは、上から大腿骨(太ももの骨)、下から脛骨(すねの骨)とが出会う部分です。それぞれの骨は軟骨で覆われていますが、その間に、クッションの役割をするものが挟まっています。それが半月板です。半月板損傷は、このクッションの役割をする半月板が欠けたり、断裂した状態のことをいいます。

半月板はどこかで激しく打ち付けたり、負荷がかかった場合に損傷しやすくなります。一旦損傷すると、クッションの役割をするものがなくなるため、ヒザの曲げ伸ばしに不自由が生じ、動きを制限されてしまいます。

股関節周りの異常から足を引きずるケース

股関節脱臼

ヒザ周りではないですが、足の付け根である股関節も脱臼をしやすい部分です。足を引きずっていたり、足を上げて歩いていて、ヒザ周りに異常が見られない時は、股関節もチェックしてみてください。骨盤と足の付け根がずれた股関節脱臼を起こしているかもしれません。

股関節脱臼の原因は、外傷だけでなく、突然現れるような先天的な要因であることもあります。股関節脱臼をした場合、まずは麻酔をかけて骨盤と足の付け根とが正常な状態になるよう骨を戻しますが、治らない場合は手術になります。

股関節形成不全

股関節形成不全は、ラブラドールレトリバーや、セントバーナード、シェパードなどの大型犬に多い病気です。主な原因は先天的なもので、股関節をつくる骨が発達しない状態になります。成長とともに症状が現れることが多く、徐々に骨と筋肉のバランスが崩れ、股関節が変形します。

生後5カ月前後から、運動をしたがらない、すぐに座り込むなどの様子が見られたら、股関節形成不全の可能性があります。そのままだと、脱臼や亜脱臼を引き起こしやすいので、病院で診察を受けてください。軽ければ痛み止めなどで緩和できますが、症状によっては手術が必要です。

病気から足を引きずるケース

ケガから関節炎を起こすことも

犬が足を引きずるのは、病気が原因にある可能性もあります。しばらく横になったりして休んでいた犬が立ち上がるとき、ゆっくりだったり、辛そうなときは、関節炎や股関節形成不全などの可能性があります。起こりやすい病気について見ていきましょう。

関節炎とは

関節炎は、名前の通り関節が炎症を起こす病気です。ケガが発展して起こる場合もありますが、加齢や肥満、運動不足で起こることもあります。痛みがひどくなると歩けなくなり、歩いたとしても足を引きずります。触られることを嫌がることも多いです。残念ながら関節炎を完全に治すことが今のところ難しく、鎮痛剤などによって進行を遅らせるなどの治療が行われます。

事故や病気後に起こりやすい変形性関節炎

関節炎には、変形性関節炎と呼ばれるものもあります。変形性関節炎は、事故による傷が原因になったり、感染症や関節リウマチなどの病気が原因で、膝関節の軟骨がすり減って痛みが起こる病気です。関節炎の場合も、足を引きずってあるくことが多いです。変形性関節炎の場合は、鎮痛剤とともに、軟骨を保護する薬が処方されます。家庭でできることとしては、筋肉を優しくマッサージするのも効果的と言われています。

脊髄などの神経が麻痺して起こる足の異常

足に「ナックリング」が見られたら神経に異常があるかも

後ろ足を地面に置いたとき、肉球を地面につけるのではなく、足の甲でついている状態をナックリングといいます。本来は何かに当たった時、犬は反射的に肉球で接地するはずです。そのため、ナックリングの状態が見られたときは、神経に何か異常があると疑ってみてください。他にも、突っ張り気味でロボットのようにあるいたり、千鳥足、座った時後ろ足を前に伸ばして投げ出すなどの症状が見られた場合も、同様に何か神経に異常が起こっていると考えられます。

椎間板ヘルニア

犬の背骨(脊椎)は、椎骨がいくつも連なって形成されています。椎骨と椎骨の間には、椎間板という軟骨が挟まっています。椎間板は強い衝撃や老化によって飛び出すことがあり、飛び出した椎間板が脊髄の神経を圧迫すると、椎間板ヘルニアという病気になります。特にダックスフンドなどの胴長の犬や、シーズー、パグ、大型犬に起こりやすいと言われています。

脊髄の神経が圧迫されると、麻痺や痛みを伴います。足がもつれたり、引きずったりするなど、歩き方がおかしくなるのはそのためです。軽い状態のときであれば、温めたり、副腎皮質ホルモンや、抗炎症剤で症状の緩和が見込めますが、重症になると手術が必要です。ただし、どんな治療も再発の可能性は大きいため、なるべく階段の上り下りやソファから飛び降りるなどの行動を減らし、太りすぎに注意して予防する必要があります。

脊髄の病気としては他にも、変形性脊髄症と呼ばれる病気もあります。これは体の痛みがあまりないのが特徴で、2~3年ほどかけて下半身から上半身へと徐々に進行します。10歳前後から始まることが多く、最終的には延髄まで麻痺がすすみ、命を奪われることも多くあります。

足をひきずるのはこわい病気の可能性もある

レッグ・ペルテス

レッグ・ペルテスは、大腿骨頭に血液が流れなくなることで、壊死するという病気です。小型犬の子犬の時期に現れることが多く、痛みによって足をあげたり、ひきずる症状が見られます。原因については、先天的異常を始め、栄養不足やホルモン異常などが考えられますが、まだ詳しく分かっていない病気です。症状が軽ければ、運動を控えて安静にすることで回復することがありますが、重症の場合は手術が必要です。

骨肉腫

足を引きずるような病気で一番怖いとされるのが、骨肉腫です。骨肉腫は腫瘍、いわゆるガンです。死亡率も高いと言われています。悔しいことに、飼い主だけでは気づきにくく、犬が足を引きずりだす頃には、それなりに症状が進行しているケースが多いです。治療方法としては、細胞を切除するため足を切断する場合もありますが、進行具合によっては、手術が難しく、ギプスで固定したり、消炎剤を使うなどの温存方法がとられることもあります。

単にケガだけで犬は足をひきずるわけではない

簡単に判断せず、まさかの病気のリスクも頭に入れておこう

犬が足を引きずる原因には、軽いケガやねんざといったものから、骨肉腫のような怖い病気までさまざまです。「ちょっとひねったのかな」「足がしびれただけかな」などと簡単に判断せず、まずは足の裏などをチェックして、外傷がないか確認しましょう。特に異常が見当たらなければ、関節なども確認し、少しでもおかしいと思ったら病院で診察してもらうことをおすすめします。

特に骨肉腫などの腫瘍の場合は、放置するほど進行し、手遅れになるケースもあります。飼い主が四六時中犬の様子を見ていることはできませんが、できるだけ病気の早期発見につながるよう、異変に気付いたときは細かなチェックを行ってあげてください。

犬が足をひきずるのはケガや病気の可能性あり

  • 犬が足を引きずっていたら、まずは足の裏や指の間をチェックしよう。肉球や趾間炎が起こっている可能性がある。
  • 足の裏に異常が見られなければ、ヒザや股関節などの関節をチェック。触るのを嫌がるときはケガをしている可能性大。骨折や脱臼などであれば手術が必要になることも多い。
  • 関節のケガから関節炎になることもある。
  • 後ろ足を地面につけるとき「ナックリング」が見られるなどの場合は脊髄に麻痺が起こっているかも。なるべく体に負担のかけない生活をさせてあげよう。
  • 犬が足を引きずるのは、ガンができている可能性もあるので、簡単に判断せず、変だと思ったら病院で診てもらおう。

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